美しい花火、そこに秘められた鎮魂の想いとは?

花火大会が開催されるのも、あとわずかとなってきていますが、これから花火を見に行くという方は、その美しさを堪能するだけでなく、そこに「秘められた鎮魂の想い、そして生命力と希望を与えてくれるエネルギーにも想いをはせて」みてください。

【7月8月は花火の季節!】

8月も終盤にさしかかりました。日本の夏の風物詩といえば「花火」。「7月下旬から、8月下旬の1ヶ月間。週末は全国のどこかで花火大会が開催」されています。花火大会で見ることができる美しい打ち上げ花火はもちろん、夏休みに子供達が遊び手持ち花火を含めて、「夏を美しく楽しく彩ってくれます」が、実は、その「起源はスピリチュアル」であり、花火大会に「鎮魂の祈りがこめられている」のをご存じでしょうか?

花火に必要不可欠な「火薬」。火薬といえば、武器に利用されるイメージが強いですが、中国で火薬が発明されたのと、花火が作られるようになったのは、「ほぼ同時期」だとされています。これは6世紀頃のことであり『真元妙道要路』という書物に、硝石と硫黄、炭を混ぜることで爆発が起こりやすいという記述が残っているのです。これは現在では「黒色火薬」と呼ばれるものです。

銃や爆弾というような形で武器として使われるようになるのは、それから数百年後のことであり、最初の頃は「狼煙として利用されていた可能性が高い」とされています。単なる煙をあげるのではなく、より高くまで打ち上げるために、現在でいうところの「ロケット花火のような形で利用されていた」わけです。それだけ花火の歴史は古いわけですが、そんな花火の原料となる黒色火薬が発明されたのは、「不老不死の探求がベースとなっている」という説があります。

 

【火薬は不老不死の探求から生まれた】

中国には「錬丹術」というものが存在していました。錬丹術には、「内丹法」と「外丹法」の2種類があり、前者は自分の身体の中でエネルギーによって「丹薬」と呼ばれる「不老不死の薬を産み出す方法」です。これは、すでに世界的に知られている「気功法」の源流といえます。一方、外丹法は世界に存在するさまざまな物質を混ぜ合わせることで丹薬を作り出すという、「西洋の錬金術とほとんど同じもの」であり、遠く離れていても人間の考えることは共通しているということがわかります。

地道な修行が必要な内丹法と違って、レシピさえ完成してしまえば不老不死を得られる外丹法は、権力者から好まれ、「莫大な費用を使って丹薬の研究をさせていた皇帝は中国の歴史上多く存在」しています。そんな試行錯誤の中で、見つかったのが黒色火薬というわけです。そんな黒色火薬が武器として活用される一方で、実用ではなく人の目を楽しませるものとしても発達してきました。

 

【花火と徳川家の関係】

徳川吉宗(画像提供/ウィキペディア)

徳川吉宗(画像提供/ウィキペディア)

 

日本に花火が伝来したのは「1613年」のこと。駿府城においてイギリス人が中国製の花火を「徳川家康に見せた」といわれています。このときの花火は、打ち上げ式ではなく、噴出花火、一般に「ドラゴン花火」と呼ばれる種類のものでした。ただし、この説には異説もあり、伊達政宗が中国人に花火を見せられたというものもあります。

そんな家康から8代後の将軍であり、歴代将軍の中でも高い知名度と人気を誇る「徳川吉宗」が、現在のような「大規模な花火大会の起源」とされています。今でも多くの人で賑わう「隅田川花火大会」ですが、その前身である「両国花火」は吉宗によってはじめられたのです。

 

【鎮魂のためにはじまった花火大会】

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現在では隅田川花火大会は、名称からもわかるように美しい色とりどりの花火が主役ですが、両国花火のメインとは「水神祭」でした。当時、疫病によって多くの死者が出ていたために、そんな「死者の慰霊と悪病退散を祈願」した祭礼の一部として、花火が打ち上げられたのです。それが元になり、川開きにあわせて花火が行われるのが恒例となりました。江戸っ子は派手なものが好きだったので、花火が受け入れられたというのもありますが、美しい花火で死者を慰霊するというのは、お盆とも共通するものがあり、日本人にとっては「親しみやすいもの」だったのでしょう。

現在では、花火は、さまざまな色合いと形に変化しますが、これは明治時代以降に海外からさまざまな発色剤が輸入されてきたことによって可能になったものです。吉宗の頃は、「炭火のような色、つまりは赤っぽい橙色が花火の色」であり、当時の人たちはそれを見て、死者を慰霊し、邪神や疫病を祓う力を得ていたのです。

 

【人の心を希望へと向ける花火】

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スピリチュアルな観点から見ても、この「色合いにはきちんとした意味」があります。「赤」は五行では「火」。活動的であり、5つの元素の中でもっとも強いエネルギーを持ちます。西洋でも同じように、赤は火の元素であることからわかるように、世界共通で強い力を感じさせる色といえるでしょう。現代のカラーセラピーなどでも赤は「エネルギーを活性化させ、生命力を強くする」と言われています。そんな、強いエネルギーを持った色が、空に打ち上げられて、広い範囲に拡散されるというのは、ネガティブなエネルギーを祓うための儀式として非常に理にかなっていると言えるでしょう。

吉宗の時代、現代とは比べものにならない「暗い闇の中に現れる太陽のような輝き」は、人の心に巣くっていた「不安や恐怖」といった暗闇を切り裂いて、そこに「希望の光を差し込ませ、活力を与えてくれた」のです。

現代では、花火の色は増え、形も変わり、そもそも鎮魂の祈りという意義は失われてしまっていますが、7月、8月という、「お盆、終戦記念日や、広島長崎といった慰霊の日」が続く夏に、花火大会が続いているというのは、私たちの中で鎮魂のため、また私たちの心を光へと向けてくれるために「花火が必要」だということが無意識に感じられている証拠なのかもしれません。

花火大会が開催されるのも、あとわずかとなってきていますが、これから花火を見に行くという方は、その美しさを堪能するだけでなく、そこに「秘められた鎮魂の想い、そして生命力と希望を与えてくれるエネルギーにも想いをはせて」みてください。

Meaning hidden in fireworks.
Requiem and hope energy in the fireworks.

 

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