【世界的に広まりつつあるカラフルな祭】
春は、「世界各地でお祭りが行われる季節」です。昼と夜の長さが等しくなる春分の日はもちろん、月の満ち欠けにあわせるなどして、豊穣を願うための儀式が行われる国も多くあります。西洋では春と言えば「イースター」が有名ですが、インドが発祥で、現在では「ブラジル、マレーシア、アメリカ」など世界各地に広まり、最近では日本でも行われている「ホーリー祭」をご存じでしょうか?
【悪魔を払う色とりどりの粉】
このお祭りは元々は春らしく「豊作を祈願するため」のものでした。しかしながら、いつしか各地の「悪魔払いの行事」が習合した結果、世界でも類を見ないほどカラフルで派手なお祭りとなったものです。なぜ、カラフルなのか? それはこのお祭りでは、「色とりどりの粉を人にぶつけたり、水に溶かして色水にしたものをかけたり、人になすりつけたりする」のがメインイベントとなっているからなのです。
なぜ、このような派手な色を使うようになったかには諸説あるのですが、「悪鬼を追い払うために使われていた泥や汚物」のかわりに、花などからとった顔料を使うようになったというものが有力です。他にも、インドで信仰されているクリシュナの加護を得るための象徴として色を使っているともいわれています。
【儀礼がなくひたすらエキサイティングなホーリー】
通常、お祭りというのは神への信仰をあらわすことが多く、「儀礼や神事的」なものがあるのですが、ホーリーにはそういった行事は一切ありません。祭が始まった瞬間に、誰でもいいから色粉を投げつけたり、色水をかけたりするのです。まるで、子供の頃の遊びのようですが、この日は大の大人もヒートアップし、普段は飲まれないお酒も全面的に解禁されるのです。
【誰もが自らを解放する無礼講の日】
このホーリーの無礼講というのは、かなり強力なもので、表向きにはなくなりつつあるといわれながらも、インドでは根強く残っている「カースト制度」すら、この日だけは無視することが可能です。通常は、カースト制度によって上下関係はもちろん、仕事すら決められることが多いインドですが、ホーリーの日だけは下層民とされた人が、上層民に色の粉をぶつけてもOKなのです。こういった「鬱憤晴らしの側面」が、ホーリーが多くの人に受け入れられた一番の要因かもしれません。
近年ではそのカラフルさとエキサイティングな雰囲気、そして、宗教的な雰囲気がほとんどないということもあり、「世界中でホーリーが行われる」ようになっています。日本ですら2013年からホーリーが行われるようになっており、今年は4月15日から17日にかけて、横浜で開催されます。こちらは、すでにお祭りというよりも、イベントであり、色粉をファッショナブルにかけられた人を選ぶコンテストなども行われるようです。
【インドのホーリーに参加するには注意が必要】
インドではホーリーは「満月の日に行う」と定められており、今年は「3月23日」に行われます。広大なインドのあちこちでホーリーは行われますが、場所によってずいぶんと雰囲気が異なるようです。海外からの旅行者が多いところもあれば、ひっそりと伝統的に行われる地域もありますし、町を挙げての大騒ぎとなるところもあります。日本のホーリーならば気軽に参加することも可能ですが、本格的なインドのホーリーに参加する場合には注意が必要となってきます。
ホーリーはお祭りではありますが、前述したように鬱憤晴らしの側面もあり、無礼講ですので、貴重品などを身につけていると壊れるだけならともかく、どさくさに紛れて盗まれる可能性もあります。また、インドは女性蔑視の風潮が強い地域もあり、そういった場所で「若い女性が単独でホーリーに参加されると、痴漢や乱暴をされる可能性」があるので、女性が一人で参加するのはとても危険なのです。もしも、日本人がインドで参加する場合は、ある程度の人数で固まって、貴重品などはもたずに参加することが必須となります。
すでにお祭りというよりも、ストレス解消のためのイベントになっている感じもありますが、ストレスの多い現代社会には、ホーリーのようなイベントは必要なのかもしれません。興味がある方は、安全性の高い日本のホーリーに参加してみることをオススメします。
Colorful and exciting festival.
India Holi festival.
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(トップ画像/ウィキペディアより)