Secret of “Delphi oracle”. 〜明らかになった古代神託の秘密〜

デルフィの考古遺跡は「ギリシャ最古の神託所」であり、その起源は「ギリシャ神話」まで遡ります。

【1000年間続いた神託】

今から「3000年前」、「1000年近く続けられた神託」があります。その神託は、時には「国の行く末さえ決定した」といわれています。1000年もの間、神託が続けられたということは、それだけ「信頼性が高かった」ということになります。

そんな神託が行われた場所が、現在では世界遺産にも登録されている「デルフィの考古遺跡」。この場所で行われていた神託は「デルポイの神託」もしくは「デルフォイの神託」などとも呼ばれています。

 

【奪い合いがあるほど特別な場所】

「ギリシャ最古の神託所」であり、その起源は「ギリシャ神話」まで遡ります。デルポイの地は、もともと、「大地の女神ガイアの巫女による神託所」が存在していました。そこに、「太陽神アポロン」が現れて、ガイアを守護する龍を倒して、「神託所を奪って」しまいます。それからは、「アポロン神殿がおかれ、その巫女による神託」が行われるようになりました。

なぜ、この場所がそこまで重要だとされたのでしょうか? 前述したようにこの地で巫女が行う神託は、かなり「信頼性が高かった」とされています。それは、この場所でしかできない理由があったからなのです。

 

【神託の秘密】

神託の行われる場所は、「地中深くにある洞窟」であり、その奥には「大地の割れ目」がありました。その割れ目の上に、三脚台が配置されており、巫女がそのうえに座って目を閉じて深呼吸をすることで、「神がかり状態が訪れ、その口から意味不明の言葉が詩のような形で発せられる」のです。

その言葉を神官が書き留めたものが、「デルポイの神託」となります。

この割れ目からは、「プネウマ」といわれる「霊気」のようなものが放出されており、さらに「霊水」ともいえるものがわき出ているので、この霊気と霊水を取り込むことで巫女はトランス状態になるとされていたのです。

この神託を伝える場所は、「神殿の中心部」であり、基本的に「立ち入り禁止の重要な場所」でした。このことから、この場所自体に秘密があると考えられ、「1980年代に実際に遺跡の地下が調査された結果」、地下に断層線が走っており、「エチレンガスが発生している」ことがわかりました。

 

【神がかりの秘密はエチレンガス】

エチレンガスは甘い匂いのするガスであり、1920年代には「麻酔として使われていた」こともあり、わき水を経由して裂け目からわき出ていたと考えられています。つまり、エチレンガスが溶け込んだわき水を飲んで、裂け目で精神集中することで、巫女はかなり「大量のエチレンガスを体内に取り入れ、それによってトランス状態に入っていた」ことになります。

巫女の中には「失神したり、精神を病んだりしたもの」がいたということですので、かなり「エチレンガス濃度は濃かった」ことが考えられます。

デルポイの神託は、一ヶ月のうち一度だけしか聞けなかったということを考えると、あえて「濃度が高まるまで待っていた」という推測も可能です。つまり、古代の人たちが「プネウマとして表現していたものは、エチレンガスだった」可能性がかなり高いわけです。

 

【神託は神からもたらされたのか、それとも?】

エチレンガスを使うことでトランス状態に入っていたことは、ほぼ確実といわれていますが、問題はトランス状態になったときの、神託がかなり正確だったことです。

前述したように1000年という期間維持され、なおかつ、いくつもの伝説にその名前が出てくる「デルポイの神託」ですので、場所自体にエチレンガス以外の、なんらかの「エネルギーレベルでの要因」も加わっていたのかもしれません。

また、正反対の考え方としては、「神託はある程度自由に出せていた」のではないかという説もあります。それによると、「巫女が買収されて神託をくだしていたケース」や、「前の神託を記録しておき、それを情報源として神託としたケース」があったのではないかといわれています。

確かに、ここでの神託によって、国の行く末すら左右されるわけですから、前もって都合の良い神託を仕組んでおくというのは充分に考えられます。

1000年以上にわたって続いた「デルポイの神託」。皆さんは、どれぐらいが本物のアポロンからのお告げだったと思いますか?

Secret of “Delphi oracle”.
How what was done by the oracle?