【神聖な存在である太陽】
「太陽」というのは、私たち人間だけでなく、地球に住む多くの「生物が生きるために必要不可欠」なものであり、古代から神聖な存在として崇拝されてきました。日本の神話でも、太陽の化身である「天照大神」は、皇室の祖先神として特に信仰を集めています。
他にも世界中の神話に太陽を神格化した神が存在しています。「ギリシャ神話のアポロン、エジプト神話のラーや、ホルス、仏教の大日如来」といったその神話でも主要な地位を占める存在も多いですが、そこまでの地位にはなくとも、ほとんどの神話で太陽に相当する存在がいることからも、どれだけ人類が太陽を重要視していたかがわかると思います。
【太陽が与える影響】
そんな太陽ですが、現代でもさまざまな影響を与えています。物理的に日照時間が減れば作物の生長に影響が出たりするということもありますが、私たちの「文明に壊滅的な打撃を与える可能性すらある」ということをご存じでしょうか?
【水素爆弾1億個に相当する爆発力】
太陽表面で発生する「太陽フレア」という現象があります。これは、太陽の表面で起きる「爆発によって生み出されるもの」であり、その大きさは「数万km」にもおよび、温度はなんと「数千万度」にも達します。
このように表現すると、桁違いすぎて、わかりにくいかもしれませんが、太陽フレアの爆発力を「水素爆弾に換算すると10万~1億個」にも相当するのです。これだけの爆発が至近距離で起こったならば、地球は壊滅的な打撃を受けてしまいますが、幸いなことに太陽と地球の距離は離れているために、爆発自体の影響を受けることはありません。
しかしながら、フレアが発生することで「X線やガンマ線、高エネルギー荷電粒子」などが生み出され、それらが「太陽風」となって地球まで到達することもあるのです。
【宇宙空間に吹く風】
この太陽風は、「オーロラを発生させる要因」なのですが、それ以外にも「磁気嵐」を発生させたり、「デリンジャー現象」という通信障害を発生させたりもするのです。
1989年に巨大な太陽フレアが発生したときには、カナダの電力システムが磁気嵐によって破壊され、「9時間にわたって広い地域が停電した」と言われています。2012年と2014年には、このときの「2倍にも達する」巨大な太陽フレアが発生し、強烈な太陽風が地球のすれすれをかすめていったことがわかっています。
幸いなことに、太陽フレアの発生が少し遅かったために、地球すれすれをすれ違っていくだけですみましたが、ちょっとでも発生が早かったならば、「地球に直撃する可能性があった」とされており、もし、そのようなことが起きた場合には、「世界中に大きな混乱をもたらす可能性」が予想されています。
2013年にロイズ保険組合が発表した予測によると、「停電が5ヶ月以上続く地域もあり、最大で2.6兆ドルの経済的被害が発生する」とされているのです。
【未だに人間の手には負えない太陽】
太陽の活動というのは、なかなか予測が難しく、2008年12月から入ったサイクルは、ここ数百年で「もっとも活動が弱い」とされていたのですが、前述の通り、2012年と2014年には巨大な太陽フレアが発生しています。
太陽の活動というのは、人間の寿命にも影響を与えるのではないかといわれていますが、地球全体を照らし、命を育んできた太陽だけあって、現代の科学をもってしても、その全貌を明らかにすることは難しそうです。
文明に壊滅的な打撃を与える可能性もありながら、生命を育み、強力なエネルギーを常に送ってくれている太陽。古代の人たちが最高の神だとして信仰していたというのは、まさに正しかったといえるでしょう。
The sun which has been faith for a long time.
The sun to destroy civilization.