一宮千桃のスピリチュアル☆シネマレビューPART.81 「インサイド・ヘッド」

ネガティブな感情は排除しようと躍起になる私たち。でも「悲しみ」や「苦しみ」がないと「喜び」は燦然と輝かないのだ。
一宮千桃のスピリチュアル☆シネマレビューPART.81 「インサイド・ヘッド」

頭の中の五つの感情の物語
「ヨロコビ」だけじゃ人は生きられない

私の頭の中はいつも大渋滞だ。いろんなことを考えているし、考えてなくて映像が浮かぶだけのこともある。
思いもかけず、昔の友達や幼い頃のこと、生まれてから住んでいた家のことなど、凄まじい勢いで映像が浮かんでは消えている。

これ、ほとんど雑念らしいけど。
須藤元気さんのエッセイによると、人の頭の中には一日に約7千ほどの雑念が浮かんでは消えているそうである。
この雑念のせいで直感が鈍る。
頭の中がすっきりしていたら、スコーンと直感が入ってくると言う。
しかし、なかなか頭の中を無にするのは難しい。心もそうだ。

INSIDE OUT

本作は、そんな大渋滞してる頭の中の感情たちのお話。
11歳の少女、ライリーの頭の中のヨロコビ、カナシミ、イカリ、ビビリ、ムカムカ。
彼らがライリーの感情を日々作っているんだけど、ある日、ヨロコビとカナシミが頭の中の司令室から飛び出してしまう。
重要なふたつの感情を失ったライリーはとたんに不安定になってトラブルを起こし出す。
さあ、大変だ! とヨロコビとカナシミは、迷路のような頭の中で必死に司令室への道を探すのだが……。

「カナシミ」あってこその「ヨロコビ」
「悲しみ」が人を強くして、癒す

明るく元気なライリーの一番重要な感情はヨロコビ。
だから毎回ヨロコビは大奮闘してライリーを明るくする。だけど、それを邪魔するカナシミ。
ヨロコビは、『まったくもう! 』 といつもカナシミのネガティブさにゲンナリしてるんだけど、実はこのカナシミという感情が一番大事で、カナシミあっての自分なのだとヨロコビは気づく。
ヨロコビだけでは人は駄目なんだ。元気になれないんだ、と。

とても深いメッセージがいつもディズニー作品にはある。

本作も「悲しみ」がいかに人を強くし、また癒し、学ばせるかを分かりやすく説いてくれる。
「傾聴」という話を聴くテクニックがあるが、悲しみのどん底にいる人に励ましの言葉やアドバイスは辛いだけだ。
ただ、寄り添って話をひたすら聴くだけで、その人は自ら答えと希望を見出し再生へと立ち上がる。
本作でもカナシミが話を静かに聴く重要なシーンがある。

「人生は悲しみばかりだ」と言われるが、きっとそうなのだろう。私たちは「悲しみ」から学ぶために生まれてきたのだから。
「苦しみ」とも言えるが。でも、神様は私たちに「喜び」も与えてくれた。
喜びが先だと思うけど、「悲しみ」や「苦しみ」がないと「喜び」は燦然と輝かないのだ。
「私たちは喜ぶために生まれてきた」そのために必要なのが「悲しみ」なのだ。

INSIDE OUT

空想の友達ビンボンに泣かされる
忘れないよ、君のこと。だったのに……。

「思い出」ってセンチメンタルなものだ。
成長するということもある意味「悲しい」ことなんだろう。
そんなセンシティブな題材を扱った本作で、私はかなり泣いてしまった。
きっかけは、ライリーの空想上のお友達ビンボンのエピソードだ。
幼い頃にしか、彼らは必要とされない。
このあたり、「トイ・ストーリー」にも通じるものがある。
私はビンボンの顛末に泣いた。そして、しみじみラストクレジットを観ながらも泣いてしまった。
むちゃくちゃ明るくて可愛いライリーが元通りになって良かった。
でも、それには沢山の犠牲や頑張りや奮闘があったんだ……! うううっ。
は~っディズニーアニメはやっぱ、不滅だよね。
いつでも子供の気持ちに戻れちゃう。これって凄いこと!

(サブ3 ロゴ入り)_WEB大丈夫!

3Dアニメの映像の進歩とリアルさに驚愕!
映画によって私たちは「人間」を知る

さて、3Dアニメの技術の進歩は凄まじいものがあるけど、本作でも感心しきりだった。
ライリーの両親の動きやちょっとした姿勢などは、人間より人間らしいし、アニメを見て自分たち人間の動きを確認できるところがある。
たとえば、ライリーが食事の時に右足を折って左の太ももの下に入れているのを観ると「ああ、子供ってあんな座り方するな、私も時々するよな」と気づいたり。
まさに、いつも目にしていることからじゃなくて、アニメとか人が演じたりするのを見て初めて気づけることってあるのだ。それが映像を観る楽しみでもあり、芸術の役割でもあると思うのだけど。
ライリーの目の動きもすごくリアルで、ライリーの顔もむちゃくちゃ可愛い!

また、ヨロコビたちの毛糸みたいな髪の毛の質も独特で楽しい。
ムカムカのヤンキー姉ちゃんぽい表情もしぐさも素晴らしい!の一言だ。
リアルでユーモアたっぷり。そう、本作は笑えるシーンも前半かなりあります。

さあ、この素敵な映画。
家族で夏休みに観に行って欲しい! いや、一人で行って欲しい!
そして頭の中の7千の雑念を払い、直感で素直に元気に生きていってくださいな!

INSIDE OUT

■「インサイド・ヘッド」
■監督・脚本 ピート・ドクター
■共同監督 ロニー・デル・カルメン
■脚本 メグ・レフォーヴ ジョシュ・クーリー
■声の出演 エイミー・ポーラー(竹内結子) フィリス・スミス(大竹しのぶ)
ルイス・ブラック ケイトリン・ディアス リチャード・キング(佐藤二朗)
■102分(短編含む)
■7月18日(土)~TOHOシネマズ梅田他全国ロードショー~©2015 DISNEY / PIXAR.

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