文字が持つ秘められた力

日本で使われている漢字。人の意識に影響を与えるような漢字の力についてですが、元々、「漢字の成り立ちというのは非常にスピリチュアルなものが多い」のです。漢字がたったひとつだけでも、非常に深い意味をもっており、辞典で調べると、その中にスピリチュアルな要素が含まれたものが多くあることがわかってきます。

【フォントが人に与える影響】

最近、アメリカなどでは「フォント」に関する研究が行われていますフォントというのは、日本語風にすると「書体」ということになります。現在、この原稿を表示しているPCやスマートフォン、携帯などに表示されている文字は、それぞれの機械に内蔵されているフォントが使われています。

こうした機械で表示されるものは、小さい画面でも見やすいようにデザインされているものですが、デザインの世界などでは微妙なフォントの細さやサイズが重要になってきます。日本語のフォントにも、さまざまなものがありますが、海外では、まさに「無数のフォントが存在しています」。これは、アルファベットが基本24文字、小文字を入れても50文字前後しかないということも理由のひとつといえるでしょう、簡単にフォントを一セット作ることが可能なわけです。

それに比べると、日本語は、ひらがなだけでも、50文字前後、さらにカタカナ、漢字など総てを含めたフォントを作ろうとしたら、膨大な手間がかかってしまうために、英語圏に比べると必然的にフォントの量も少なくなるわけです。

そんな「フォントの種類によって、人に与える印象が変わる」という研究が、2012年に行われました。数種類のフォントを利用して、同じ文章を書いて、それぞれのフォントによって真実味に影響があるかを調べたのです。その結果、比較的きっちりとしたフォントは信頼感をだし、曲線が多いフォントは優しい感じがあるということがわかったわけです。

さらには、異なるフォントを見た時に、脳がどのように反応するかを、「fMRI(functional MRI)」という脳の活動領域をスキャンする機械を使って調査するという研究も行われており、様々な面からフォントが人に与える影響が解き明かされてきています。

 

【表音文字と表意文字】

ちなみに、言語学的に考えると、文字には「表音文字」と「表意文字」の2種類があるとされています。英語圏で使われている「アルファベットは表音文字」の代表的なものです。こちらは、発音を表すためのものであり、文字そのものに意味はありません。こういった表音文字は、世界的に使われており、「現存する言語の大半が表音文字」だといわれています。

一方、表意文字の代表は中国で産み出され、日本でも使われている「漢字」です。こちらは、文字そのものに意味があるものであり、漢字以外では、現在使われているものはほとんどなく、「古い文字」などともいわれています。

 

【表意文字が持つスピリチュアルな力】

しかしながら、スピリチュアルな観点から見ると、単に音を表している表音文字よりも、「表意文字のほうがより、人の意識に働きかける深い力を宿している」のです。その説明に入る前に、現在の漢字について、ちょっと確認しておきましょう。

 

【漢字にも色々とある】

漢字は英語で「チャイニーズキャラクター」と表現されるように、その起源は「中国」です。しかしながら、現在の中国では本来の漢字はあまり利用されておらず「簡体字」と呼ばれる、日本語で言うところの「略字」が採用されています。こちらは、「1950年代に成立したもの」であり、歴史は浅いのですが、今では中国全土で使われているのです。

複雑な漢字を簡略化することで、書きやすくはなっているのですが、そのために、「漢字本来がもっていた表意文字としての要素」がかなり無くなっています。現在でも、古来からの漢字である「繁体字」を使っている香港の人などは、中国の簡体字を見苦しい文字だとしてバカにする風潮があるようで、繁体字では漢字の意味合いが変わってしまうことが指摘されています。

 

【意味が変わってしまった漢字】

たとえば、「湧」という漢字が簡体字では、下の「力」がなくなっているので、「湧き上がるための力がない」、「愛」の場合は、「心」がなくなっているので「心がない愛」などといった具合です。

ちなみに日本で使われている漢字は、どちらかというと「繁体字に近いもの」ですが、戦後に若干簡略化されたこともあり、中国とも香港ともちょっと違った漢字となっています。日本の場合は、さらに表音文字である「ひらがな」と「カタカナ」が加わりますので、言語としての要素は複雑であり、アルファベットのようにフォントだけをとって、意識への影響を考えるというのは、ちょっとナンセンスといえるでしょう。

 

【漢字が持つ意味は奥が深い】

さて、そこで人の意識に影響を与えるような漢字の力についてですが、元々、「漢字の成り立ちというのは非常にスピリチュアルなものが多い」のです。そこで、『字統』(白川静著 平凡社)という文字の成り立ちを現した辞典からいくつか例を紹介してみたいと思います。

「安」
大安や平安、安全などと縁起のいい文字ですが、これは祖霊を祀る「寝廟(しんびょう)で行われる儀式」を現した文字だそうです。つまり、お墓の中で儀式を行うことで、祖霊を鎮め、安寧を求めるというわけです。

「定」
もともとは建物などを設営するときに、「定星」という星によって方位を定めたところから来ているそうです。甲骨文を見ると、なるほど確かに区分けした陣地から、星を観察しているようにもみえるのです。

「鎮」
飢饉などで倒れた死者の霊を鎮めるために作られた字で、もともとは鎮魂の意味が強かったものなのです。

「尋」
これはなにかを探したり、調べたり、聞いたりする時に使われる文字ですが、もともとは神の所在を尋ねるという意味だったようです。「神を祀るときの動作を示す」字で、左に呪具、右に祝祷を収める器を持って、左右の手でたどりながら神の所在を尋ねるという様子を現したものが「尋」なのだそうです。

「風」
甲骨文では、「神聖な鳥の姿」を表しており、これは「風は神鳥のはばたきによって生じるものだ」と考えられていたからなのだそうです。

このように見てくると、漢字がたったひとつだけでも、非常に深い意味をもっており、その中にスピリチュアルな要素が含まれたものが多くあることがわかってきます。お札などに漢字を崩したものが多く使われているのも、このような意味があるからなのです。

つまり、形以外にイメージを想起させる要素がないアルファベットに比べると、漢字というのは、多くの意味を含んでいることになります。ですから、単に形を変えたりしたとしても、丸かろうが角張っていようが、その漢字に元から込められた意味があるために、日本人やアジア人にとっては、冒頭で紹介したような研究はあまり通用しない可能性が高いわけです。

 

【漢字をスピリチュアルに活用する】

その一方で、漢字、特に繁体字は、古い時代の「スピリチュアルな要素」が色濃く含まれていますので、自分の希望に近い漢字を書いて、身につけたり、ことある毎に見ているだけで、「潜在意識へとイメージが伝達」し、それによって「願望を達成したり、自分自身を変化させたりすることも可能」になります。そういった意味で、漢字には「強い霊力」が込められているわけです。

中国の簡体字のように、最近では日本でも漢字を崩して書いたり、最悪の場合、漢字よりもひらがなやカタカナ、絵文字で会話するような文化ができあがっている現状がありますが、起源である中国よりも、より「神秘的で霊力が含まれている漢字」を伝えているのが日本ですので、このような文化をなくさないようにしっかりと、本来の漢字を書き伝えていきたいものです。

 

People is influence of the font.
The secret of the force with the Chinese characters.