恥ずかしい「あの音」の身代わりとなった比丘尼(びくに)

「女性の僧侶」をあらわす【比丘尼】。比丘尼の中で、もっとも有名な逸話を残しているのは「八百比丘尼」。なんと「八百歳まで生きていた」ことから、この名前がつけられました。なぜ、そんなに長生きできたかということには諸説あるのですが、一般的には「人魚の肉」を食べたのが原因とされています。
恥ずかしい「あの音」の身代わりとなった比丘尼(びくに)

【人魚の肉を食べて長生きをした比丘尼】

「比丘尼」という言葉を聞いたことがあるでしょうか? 簡単にいってしまえば、「女性の僧侶」をあらわします。基本的には「仏教の出家者」であるのですが、日本は神仏習合が長かったこともあり、「女性の宗教者や巫女などをひっくるめて比丘尼と呼ぶ」場合もあります。

比丘尼の中で、もっとも有名な逸話を残しているのは「八百比丘尼」でしょう。こちらは、なんと「八百歳まで生きていた」ことから、この名前がつけられました。なぜ、そんなに長生きできたかということには諸説あるのですが、一般的には「人魚の肉」を食べたのが原因とされています。

 

【歌で教えを伝える歌比丘尼】

この八百比丘尼の伝説を有名にしたのが、「歌比丘尼」という女性たちでした。彼女たちは「熊野権現の信仰を広める」ために諸国を渡り歩き、歌念仏を唱えたり、エンターテインメントとして歌を歌ったりしたことから、このような名前がつきました。

熊野権現といえば、熊野神社に祀られている神様なのですが、こちらは神仏習合の影響が強くあるために、信仰を広めていた巫女たちも、比丘尼と呼ばれていたわけです。ちなみに、地獄や極楽についてわかりやすく絵を使ってその概念を伝えたことから、「絵解き比丘尼」などとも呼ばれています。

こうした活動を行っていた比丘尼は他にも多く居たようで、「仏教の布教を行いながら、寺院の修復のための浄財を集める」という「勧進比丘尼」も、たんに寄付を募るだけでなく、絵解きもしていたといわれています。

 

【宗教性はないものの、
自己犠牲の精神をもった珍しい比丘尼】

時代がたつにつれて、出家をしていなくても、「尼僧の姿をしている女性はすべて比丘尼」と呼ばれるようになりました。そんな中で、宗教とはまったく関係ない比丘尼すら登場しています。

それが「科負い比丘尼」と呼ばれている女性。「罪を身代わりに受ける役割」を担った女性なのですが、その罪というのが非常に限定されています。

どんな罪なのかというと、なんと「おなら」。
おならは健康のバロメーターであり、平均すると成人は「1日に0.5リットルものガスを排出している」とされています。つまり、私たちが想像している以上に、頻繁におならがでていることになります。

男性にとっては、さほど恥ずかしさもないおならですが、女性にとっては音を聞かれたりすることは、とても恥ずかしいことであり、なんとか音がでないように我慢したり、トイレにいってからするという人も多いでしょう。しかしながら、あまり我慢してしまうと、おならのガスが腸内に吸収されてしまい、血液に溶け込んで全身へと循環されてしまいますので、あまりいいことではありません。

 

【おならが原因で命を絶った女性】

そんなおならですが、江戸時代にはお見合いの席で、相手に「おならを聞かれた恥ずかしさのあまりに自殺をした」女性もいたといわれています。

それだけ当時の女性にとっては恥ずかしいものだったわけですが、そんなときに、身代わりになったのが科負い比丘尼であり、別名「屁負比丘尼」とも呼ばれていました。

彼女は、普段は身分の高い女性や、その家の娘に付き添って身の回りの世話をしながら、万が一、主人がおならをしてしまった場合には、自ら身代わりとして名乗り出るという役割をもっていたのです。

 

【広がって消えていった様々な比丘尼】

かなり、広い範囲で活躍していた比丘尼ですが、江戸時代にはすでに宗教と関係なくなっていたことからもわかるように、いつしか「旅芸人の女性も比丘尼を名乗る」ようになり、最終的には「売春婦の異名」のひとつとなっていました。

とはいうものの、古来の巫女は世界的にみても、「神に仕える売春婦としての側面」を持っていましたので、ある意味、本来の姿に立ち戻ったといえるのかもしれません。

様々な役割を担っていた比丘尼も、西洋文化が入ってくると共に、仏教由来の尼僧以外はほとんど姿を消し、今では「科負い比丘尼」はもちろん、「絵解き比丘尼」などもいなくなってしまいましたが、神や仏に仕えながら身体を売り、自らを犠牲にして人を助けていた彼女たちは、ある意味、非常にスピリチュアルな存在だったといえるかもしれません。

 

To become a woman of scapegoat that the fart.
Is the religious people of the women who had a variety of roles “Bikuni”.

 

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