日本一の山「富士山」から届く美しいメッセージ

日本を代表する霊山の『富士山』。その圧倒的な出立ちは、海外の観光客をも魅了してやみません。そこに現れる不思議な現象『雪形』とは……?

日本一の山といえば、「富士山」。

高い山としても、日本一ですが、その美しい姿によって、古来から多くの信仰を集めてきたことでも知られています。その信仰は、2013年に「富士山 信仰の対象と芸術の源泉」として世界文化遺産に登録されるほどであり、世界的にもその美しさが「日本の象徴」として認められているといえるでしょう。

 

【富士山で観測された珍しい現象とは?】

そんな富士山で、11月30日に、ちょっと不思議な現象が観測されました。
それは富士山に「真横の線が入る」というもの。
七合目付近を境に、上部と下部の色合いが違うために、綺麗に線が引かれたように見えたのです。絵に描かれるように、上部が雪に覆われることで色合いが変化するのはポピュラーですが、今回は下部の方が積雪が濃く見えることから、珍しい現象であるとされました。
これは、まだ積雪が少ない時点で、上部に強い風が吹いたことで雪が吹き飛んだ結果生じた現象ではないかといわれています。

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【雪が告げる様々なメッセージ】

今回のケースはちょっと特殊ですが、古来から「富士山の雪が表現する模様には意味がある」と考えられてきました。
たとえば、初夏に現れる「農鳥」は、富士山の残雪が鳥のような形に見えるものですが、これが現れると「豊作である」と考えられていました。
前述したように、富士山は様々な芸術のモチーフになっていることから、葛飾北斎の富岳百景にも「甲斐の不二濃男」というものがあり、そこには雪がとけて「男が農作業をしているような姿」になった状態の富士山が描かれています。
このような、富士山を彩る雪の姿を「雪形」と呼びます。