■免疫を高める食品選び〈13〉 ~植物ベースの食事のススメ~インド生活『村上アニーシャのアーユルヴェーダ』vol.95

そもそも薬というものは本来、薬依存者でもない限りは、「メイン」として日常的に食べられることはありません。

前回では、「食事をとるときのヒント」のひとつとして、主に植物ベースのものを食べ、肉は必要に応じて少量のみをとることをアドバイスさせていただきましたが、今回は、植物ベースの食事から得られる健康メリットについていくつかご紹介したいと思います。

 

★植物ベースの食事から得られるたくさんのメリット

《100歳以上生きた人たちは、動物製品をそれほど食べていなかった!》

植物ベースの食事からもたらされるメリットを調査するためのある研究において、参加者の90%の人たちが、植物ベースの食事(果物、野菜、豆、マメ科植物、ナッツ、シード、全粒粉、アルカリ水が含まれたもの)をとりました。

これらの食事の中には、精製されたものや油で揚げたもの、加工食品類は許可されず、また、酸性が強いお茶やコーヒーといったものは避けるように指示されました。

世界で100歳以上生きている人たちのコミュニティでは、ちょうどこれととても似たような食事がとられていて、肉が食事に含まれる割合は10%に制限され、何かのお祝い事や行事がある時以外は肉は食べられておらず、普段の食事の中で食べられる場合でも、一ヶ月に食べる肉の量は平均でも小さなお皿でほんの5皿程度なのだそうです。

 

《植物ベースの食事は、制酸薬よりも効く?》

胃酸逆流の症状のある人たち(アーユルヴェーダでは、喉の上部の赤み、炎症、潰瘍などの有無、そして舌の状態を診察して判断されます)を200人集めて実施された近年の研究では、

西洋医学では一般的に制酸薬(食べ過ぎ、飲みすぎのときによく飲まれている胃酸中和剤)が治療に使われるのに対し、植物ベースの食事を6週間取ってもらったところ、63%の人たちが胃酸逆流の症状が減り、さらには体重が4kgも落ちたことが報告されています。

 

《糖尿のリスクを減らす、植物性タンパク質》

また、別の新しい研究では、動物性タンパク質と植物性タンパク質のどちらが、2型糖尿病へのリスクが高まるかが調査されました。

この研究では、1984年から1989年までの5年間、2型糖尿病になっていない42~60歳の男性2332人の食事が追跡調査され、その19年後に、参加者の状態が判定されたもので、もともと糖尿ではなかった432人の男性が2型糖尿病と診断され、植物性のタンパク質をたくさん含む食事をとっていた男性たちは、動物性のタンパク質をたくさん含めた食事をとっていた男性たちと比べて2型糖尿病のリスクが35%も減少したとのことです。

(「肉がメイン」は糖尿のもと!)

この結果から、動物性タンパク質と赤肉加工食品が多く含まれる食事は、糖尿病のリスクの増加と繋がっていたことが報告されています。

また、同じ動物性タンパク質でも、例外があったのは卵。
卵は動物性タンパク質であるにかかわらず、2型糖尿へのリスクが低いことが発見されています。

ここで、肉はだめなのになぜ卵はOKなのか。ということになりますが、研究では、血糖値を上昇させるのは動物性タンパク質そのものではなく、肉および加工肉食品に一緒にくっついている農薬、ホルモン、防腐剤といった化合物が原因となって糖尿のリスクが高まることが発見されています。……

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今回は植物ベースの食事から得られるメリットと、「食事に含める肉の割合はほんの10%」について繰り返しお伝えしましたが、アーユルヴェーダにおいては、肉は食品というよりも「薬」扱いされる食材です。

そもそも薬というものは本来、薬依存者でもない限りは、「メイン」として日常的に食べられることはありません。

日本を含めた先進国では、肉を含め、昔は貴族クラスの人たちしか食べなかった贅沢なものを日常的に食べることが当たり前になっている現代。
そのような「食べ過ぎ」食生活からきている現代病が残念ながら蔓延しています。

(貴族階級の人たち)

次回では、アーユルヴェーダ的な観点から、肉食について少し掘り下げてお伝えしたいと思います。

 

《村上アニーシャ さんの記事一覧はこちら》
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(トップ画像/植物性タンパク質の代表選手・豆類)