■免疫を高める食品選び〈7〉 小麦は本当に悪モノ?~グルテンフリー食・アーユルヴェーダの見解 その2~インド生活『村上アニーシャのアーユルヴェーダ』vol.89

ダイエットにもいいとされることもあるグルテンフリー食ですが、実際にはグリセミック指数(食べた時の血糖値の上昇度合いを間接的に表現する数値)が高いことから、体重が増える可能性が高くなること、心臓病のリスクが高まることなど、その危険性は数多くの研究で実証されています。

今回は、グルテンフリー食についてもう少し詳しくお伝えしたいと思います。

そもそもグルテンは消化が重いタンパク質で、消化するためには強い胃酸が必要とされます。
このため、消化力が弱く、胃酸の量が十分に分泌されない場合、グルテンは消化されないまま腸に残ってしまいます。

また、過剰に食べ過ぎた場合には、腸の絨毛を刺激し、消化と吸収に悪い影響を与えます。

さて、セリアック病患者の場合、グルテンフリー食の実践は治療の一部として必要なものとされていますが、こういった病気やグルテンへの過敏症、または小麦アレルギーと診断されていない一般の人たちが、このグルテンフリー食を続けることは、逆に体にとって害になるかもしれないことを、アーユルヴェーダの専門家たちは警告しています。

 

★グルテンフリー食のメリットとデメリット:

(グルテンフリーレシピ本)

グルテンフリー食は、小麦製品やグルテン入りの加工食品を食べない食事法のこと。

通常、小麦やグルテンへのアレルギーがない人でも、グルテンフリー食を食べると、多くの人が、グルテンを食べていたときには感じられなかった体の軽さや、エネルギーの高まり、感情の安定感を実感したりするので、より健康的な食事のように感じられます。
特に慢性的な消化不良の問題がある場合、すぐに効果がわかるので、この食事方法はまさに薬膳のように感じられるはずです。

また、これまで通りパン、パスタ、ケーキ、ビスケット、ピザなど、基本小麦材料のものでも、グルテンフリーヴァージョンにすれば今までどおり自由に食べれるし、食べたい。
そんな消費者の願いをかなえるべく、グルテンフリー食品産業はうなぎ上りに急成長をとげ、アメリカでは今や、何百万人もの人たちがグルテンフリー食を実行しているという人気ぶりです。

その一方で、グルテンフリー食品の問題点も指摘されています。

それは、こういった食品は、高度に精製加工されたじゃがいもやタピオカといった精製穀物から作られているので、基本、繊維質、ビタミン、ミネラルを欠いている点です。

ダイエットにもいいとされることもあるグルテンフリー食ですが、実際にはグリセミック指数(食べた時の血糖値の上昇度合いを間接的に表現する数値)が高いことから、体重が増える可能性が高くなること、心臓病のリスクが高まることなど、その危険性は数多くの研究で実証されています。

また、この食事法を実行しなければならないセリアック病患者たちが直面する、栄養的なアンバランスと体重増加・肥満の問題も、懸念されているとのことです。

 

■グルテンフリー食は、免疫システムを損なう可能性がある?

(グルテンフリーにすればいい……わけでもない)

グルテンフリー食を続けることの危険な側面を表す報告が相次いで報告される中、国際的ベストセラーの本「EAT WHEAT」の著者でアメリカ人のアーユルヴェーダ医師・ドクタージョンによれば、グルテンフリー食は弱い免疫系と潜在的に結びついていることを指摘し、次の三つの研究報告を強調しています。

*グルテンフリー食を摂っていた人たちは普通に小麦を食べる人たちと比較して、体内の水銀レベルが4倍高かった。

*グルテンフリー食の人たちは、小麦を食べる人たちと比較して、腸内の有益な微生物が減少し、有害な微生物が増加した。

*ナチュラルキラー細胞(自然免疫の主要因子として働く重要な細胞)の活性は、小麦を食べる人たちの方が顕著に高かった。

こういったことから、小麦へのアレルギー等が特になく、普通に小麦が食べれる場合、グルテンフリー食を実行し続けることは、健康上の利点が見られないどころか害にさえなりかねないとアドバイスしています。

◎次回は「グルテンについてあまり知られていない重要なこと」についてお伝えしたいと思います。

 

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