アーユルヴェーダで使われてきたハーブたち ~人類史上最も古くから親しまれてきたスパイス、シナモン《前編》~インド生活『村上アニーシャのアーユルヴェーダ』vol.73

シナモンには、空腹感を減らし、甘いものへの渇望を減らす効果があるため、体重が減りにくい人(特にカファ体質の人)に有効で、代謝を高め、コレステロールを低くする効果がバツグンといわれています。

インドで出会ってきたさまざまなハーブたち。
5つ目の今回は「シナモン」です。

シナモンは、日本でもよく知られ、なじみのあるスパイスのひとつ。
とんかつソースや焼きそばソースには必ず入っています。
……とわかったのは、実はインドで暮らし始めてからのこと。

それまでは、シナモンといえば、「カプチーノにふりかけてあるアレ。」といった感覚や、たまに見かけはするけれどあまりおいしいそうな食べ物には見えなかった「リンゴとシナモンの入った菓子パン」を連想させるものでしかありませんでした。

インド暮らしを送る中で、当時雇っていたアヤさん(掃除や料理のお手伝いさん)が、料理するところを日々眺めていてはじめて、「シナモンてこんな風に使うのか!」と目からウロコだったことを覚えています。

カレー味の料理には大抵使われ、インド料理を作るうえでは、まさになくてはならないスパイスのひとつとして君臨しているこのシナモン。

アヤさんが、他のスパイスと一緒に頻繁にシナモンを使っている様子を見ていたので、ある時試しに、インド料理に飽きたときによく作っていたパスタのトマトソースに、シナモンを加えて作ってみたことがありました。

すると、トマトソースにまろやかさとほんのり甘味が加わり、日本で暮らしていた頃の大好物だった焼きそばの味のような風味が出たので、「もしかしたらシナモンを使って、日本で食べたあの焼きそばの味を再現できるかもしれない」とひらめき、その後数日間、ひたすら自家製焼きそばソースづくりに励んだこともありました。(今思えば、日本の味に飢えていたのと、ゆったりのんびりと時間が流れるインドで暮らしていたからこそ出来たことだと思います)

さて、インドでは当たり前のように日常的に使われているこのシナモンは、実は人類史上最も古いとされる名誉あるスパイスのひとつ。

当然ながら、アーユルヴェーダでもよく使われ、病気の軽い症状の予防や治癒のための家庭薬としてもおなじみです。

前編の今回は、「シナモンで太りにくい体質」を作るレシピ編です。

 

(アップルシナモンロールはヘルシーなお菓子)

 

■脂肪を減らす自然薬、「ハチミツ+シナモン」

シナモンには、空腹感を減らし、甘いものへの渇望を減らす効果があるため、体重が減りにくい人(特にカファ体質の人)に有効で、代謝を高め、コレステロールを低くする効果がバツグンといわれています。

そして、このシナモンと組み合わせるのが、抗酸化物質と体にさまざまな健康効果をもたらす酵素が含まれているといわれているハチミツ。

アーユルヴェーダにおいてハチミツは、「ハーブの治癒特性を細胞や組織に運び込む媒体」として使われ、ある特定のハーブ類(その個人の体の状態にあった調合のもの)とハチミツを混ぜ合わせたものが、薬としてとられています。

また、この「シナモン+ハチミツ」という組み合わせは、インドのアーユルヴェーダと中国の漢方において、伝統的な家庭薬として使われてきた、筋金入りのコンビネーションです。

一日のある特定の時間帯にとることで、減量効果がグッと高まるといわれています。

日常的に良質な食事や運動をまめにやっている場合、このコンビネーションは脂肪をさらに減らすことが報告されています。

 

★効果的な時間帯について:

・「朝の起きがけ」

毎朝起きがけの胃が空の状態のときに飲むと、代謝率が高くなり、脂肪燃焼率がアップし、一日に必要な安定したエネルギーを体に与えてくれます。

・「食事と食事の間に」

食事をとった後、何時間か経つと、食べたものがほどよく消化されて胃が軽くなってくるので、ついつい間食をしてしまいがち。
そんな間食の誘惑に襲われたときは、すかさずこのハチミツ+シナモンを飲みましょう。
すると、間食への欲求がしぼんでいきます。

・「運動前に」

運動をする前にとれば、運動をしている間も体力があまり消耗しません。
代謝率も高まるので、スリムな体作りがより簡単に実現できます。

・「夕方、間食防止として」

夕方にハチミツとシナモンをとっておくと、夜の空腹感を感じずに済み、間食をとらずに済みます。
夜寝る前の間食ほど太るものはなし! さけるに越したことはありません。

では、さっそく作ってみましょう。

 

◎《シナモン+ハチミツティーの作り方》

まずはじめに、シナモン粉小さじ1/2に、熱湯カップ1を注ぎます。
そして十分に冷ました後、オーガニックの生ハチミツを小さじ1杯加えてかき混ぜて飲みます。

※ポイント:
ハチミツは加熱すると質が変り、消化が重くなってしまうので、必ずお湯が冷めてから加えます。

【注意】このレシピは、即効性はありませんが、地道に続けることで体に負担無く減量できます。

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★次回後編では、引き続き、シナモンのあまり知られていないマイナーな使い方についてご紹介します。

 

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