《ゴールドとともにキリストへ捧げられた、
フランキンセンスとミルラ》
さて、part.4 の今回は、古代から親しまれてきた香りのひとつで、アーユルヴェーダにおいても何千年もの間、おなじみのハーブ薬として使われてきたフランキンセンスとミルラについてお伝えしたいと思います。
この二つの樹脂、フランキンセンスとミルラは、今から約5000年前にアラビア半島と北アフリカにおいて、ゴールドと同様の価値があるものとして貿易され、東洋においても何千年もの間、宝のひとつとされてきたもの。
ゴールド、フランキンセンス、そしてミルラの三点セットは、イエスキリストへ捧げられた贈り物であったといわれています。
新約聖書では、キリスト教の礼拝儀式のときに、ミルラがお香として使われていたことが引用され、ミルラのオイルは東洋の正教会の伝統シンボルとして、礼典の聖油として使われているとのことです。
フランキンセンスとミルラは、私がインドで生活をしていた頃にとてもお世話になった自然の癒しアイテムのひとつだったことは、以前vol.51の方でちょっと触れましたが、実際、この二つの樹脂が醸し出す香りと白い煙は、大昔から寺院や教会において、空気を浄化して悪霊や病気を追い払うもの考えられ、また、神のもとへ祈りを運んでくれるものとして、神聖な儀式には欠かせないものでした。
インドで生活していたときは日々、このふたつの樹脂のコンビネーションから生み出される独特な空気感(まるでこの世ではない違う次元に誘導されるような、あるいは瞑想状態への入り口へてっとり早く連れて行ってくれるような空気の質感)にどっぷりと浸り、その神聖は香りを鼻から吸い込んでは、感情のバランスをとることが日課でした。
実際、フランキンセンスとミルラの精油は、瞑想の質と深く繋がりやすくなることでも知られています。
不安やストレスがある時などに使うと、感情的にバランスがとれた状態が呼び起こされやすくなります。
★ハーブ薬としての効果
アーユルヴェーダにおいてフランキンセンスとミルラは、主に関節炎、傷の治癒、女性ホルモン系の不調、そして病原菌からの予防のためなどに使われてきました。
神経をなだめ、呼吸器を癒し、肌の再生を活性化する効果も有名です。
また、脳の大脳辺縁系、視床下部、松果体、脳下垂体の上にダイレクトに働きかける炭素ベースの成分が含まれているため、脳が瞑想状態に誘導されやすいのですね。
このように、フランキンセンスとミルラは、絶え間ない緊張にさらされ続ける現代社会を生きる上で、とても役に立ちます。
アーユルヴェーダでは、フランキンセンスやミルラを毎日家の中で使えば、家族のメンバー全員に健康がもたらされると考えられています。
また、樹脂を焼いて部屋を浄化することで自然の虫除けになり、目に見えない場所に潜んでいる虫さえも撃退できます。
★ドーシャへの効果
フランキンセンスには、ヴァータを静め、マインドと神経を落ち着かせて満たす効果があります。
また、ピッタの人たちがフランキンセンスを瞑想の時に使うと、マインドに穏やかさを感じることができます。(ピッタ悪化のサイン、ニキビ、痔、肌の赤みには、ベースオイルで薄めたオイルがおすすめです)
フランキンセンスの活力を与えて気分を高揚させる効果は、過剰なカファを一掃し、呼吸器の詰まり、咳などのカファの症状の改善を助けます。
フランキンセンスとミルラは、殺菌力に優れ、防腐性、抗ウイルス性のため(なんといってもミルラは、ミイラを貯蔵するために使われてきたほどです)、一般的に免疫系をサポートします。
★おすすめの使い方
呼吸関連の不調には、精油のネブライザー(噴霧器)を使って精油を空気の中に浸透させたり、熱いお湯の中に精油を数滴たらした湯気を吸い込みましょう。
またはベースオイルとブレンドして薄めたもので胸部をマッサージするのも効果的です。
《村上アニーシャ さんの記事一覧はこちら》
https://www.el-aura.com/writer/%E6%9D%91%E4%B8%8A%E3%82%A2%E3%83%8B%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A3/?c=73188