今年も早いもので、夏も終盤を迎え、秋がやってくる時期になりました。
今回から2回に分けて、秋を優雅で快適・健康に過ごすためのアーユルヴェーダの智慧をお伝えしていきたいと思います。
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■秋は、アーユルヴェーダ的にどんな季節?
秋は移行の時期です。夏休み気分も過ぎ去り、気温は突然ぐっと下がり、風は冷たく吹きすさびます。植物も冬に向けて静かに葉を落とし始め、夏の熱い活気も過去のこと。なんともいえない侘しさが漂い、理由がわからない空虚さや物悲しさのようなものを感じる人もいるのではないでしょうか。
それもそのはず、なんといっても秋はヴァータが優勢になる季節。
アーユルヴェーダでは、「似たものは似たものを増大させる」という法則があるのですが、秋もしかり。
秋は、ヴァータの特質でもある「冷たい」「軽い」「粗雑」「動き」「乾燥」といった質が自然界において増大する時期なので、自然界に起こることは、自然の一部である人間の私たちにもまた反映されます。
このため、この時期は体の内側と外側からの両方において、ヴァータの影響を強く受けやすくなるのです。
ヴァータは、「空間」要素と「空気」要素からなるドーシャです。ヴァータがドーシャの中で最もパワフルで、ヴァータのアンバランス状態がいとも簡単に他のドーシャ・ピッタやカファを悪化させてしまうのは、ヴァータの特質の一つ「動き」という質ゆえ。
ヴァータは体の中の「動き」(神経衝撃、排泄、話す能力、呼吸、他、動きに関連した機能全部)すべてを担うドーシャです。
ヴァータの主な居場所は結腸で、このためヴァータ悪化の早期サインは、腹部膨張やガスのような症状となって表れるといわれています。
他のヴァータ悪化サインは、落ち着きのなさ、乾燥肌、便秘、食欲のムラ、不眠傾向、ストレス、疲労感といったものがあります。
秋は、もともとの季節に関わらず、どんな人でもヴァータ質が悪化しやすくなるため、この季節のヴァータケアが、健康で快適な秋ライフを左右するといってもよいでしょう。
ドーシャのバランスをとるためのポイントは、食事とライフスタイルに焦点をあて、反対の質で相殺することです。
体とマインドの不調に対し、シンプルに反対の質をもつ食べ物や態度・行いを適用することで、バランスをとることができます。
ヴァータのバランスをとるためのキーワードとなるのは、
*地に足を着ける
*温める
*同じ日課を続ける
の三つになります。
例えば、温め、滋養し、潤す要素は、ヴァータの冷たさと乾燥質を相殺します。
これには食べ物だけでなく、愛のある交友関係なども含まれます。)
また、毎日同じ時間に行う日課で安定感の感覚を味わうこと、瞑想などで落ち着きや平静さを保つことは、ヴァータの動きの質を相殺します。
アーユルヴェーダによれば、秋の間に神経系を安定状態に保ち続けることが、強い免疫を維持し健康であり続けるために最善策と考えられています。
季節が変わるとき、私たちの体はバランスを保つために、季節によって違う食べ物やライフスタイルが必要になり、例えばピッタが優勢になる季節、夏は、自然にいつもよりも体を冷やす効果のある生野菜サラダやスイカをたっぷりと食べたくなり、その欲求に従って食べることで、夏の強烈な熱への解毒剤になります。
そして秋は、体が温まるスープ類やシチュー、消化の重いナッツや種類、いつもよりこってりしたもの、高タンパク質のものを楽しむために最適な季節です。
このように、季節に応じた食材選びやライフスタイルは、一年を通じて健康的に暮らすために大いに役立ちます。
人間は自然界の一部。自然界が私たちに合わせてくれることはないので、私たちが自然界に適応することが、健康的に生きる秘訣なのです。
★★次回後半は、秋のヴァータバランスを取る食品リスト、ライフスタイルなどをご紹介したいと思います。
《村上アニーシャ さんの記事一覧はこちら》
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