■『アーユルヴェーダにおける、塩のお話〈1〉』
〜インド生活『村上アニーシャのアーユルヴェーダ』VOL.45

岩塩は、消化された後、甘い味に変わり、体を快適に保護する働きがあります。 一方、シーソルトは、消化後に刺激性の味に変わり、ちょうどチリのように、結腸をイライラさせる効果があります。
■『アーユルヴェーダにおける、塩のお話〈1〉』<br>〜インド生活『村上アニーシャのアーユルヴェーダ』VOL.45

アーユルヴェーダでは、ひとつの自然素材を、薬としてはもちろん、美容アイテムとしても使う方法をたくさん教えているのですが、今回はそんな数ある素材の中のひとつ、まず塩について、数回に分けてお伝えしていきたいと思います。

塩は、普段の食事の中で欠かせない調味料のひとつ。アーユルヴェーダでは特に、さまざまな塩の中でも岩塩が、最も健康によい塩として薦められています。

私自身、インド生活を送る中でこの岩塩に出会ってからというもの、もともと大の塩味好きだったこともありますが、この塩にかなり惚れこみ、ほぼ日常的に料理から美容に至るまで、多目的に使ってきました。

当時は、二種類の岩塩(ピンクと黒)の大きな塊を村の市場から大量に手に入れては、自分の身近に置き、うっとりと眺めつつ、塊を当時雇っていたインド人ワーカーに何時間もかけて金槌で砕いてもらい、粉にしたものを、料理や美容に使っていました。

タイに住む今もなお、料理に使う塩はほぼ岩塩のみという一途ぶりなのですが、そんな岩塩の魅力とは、一体どんなものなのでしょうか。

地面から掘りおこされたピンクソルトの塊

 

★岩塩は、ゴールドと同じ価値のあるものだった

歴史的に見た岩塩は、もともとはすごく価値があったもので、昔は塩の棒は、物と交換するためのお金代わりに使われてたのだそうです。古代文化においては、塩はゴールドほどの値打ちがあり、6世紀には、ムーア人(13-16世紀にスペインを征服したイスラム教徒)の商人は、塩とゴールドを同じ値段で取引してたのだとか。

塩は肉、魚、バター、チーズ他、たくさんの食べ物を保存できる保存剤であり、傷口を癒すことができる薬としても活躍していました。

確かに、ゴールドぐらいの価値があったとしてもおかしくないかもしれませんね。

 

★ピンクソルトとブラックソルト(黒岩塩)

岩塩は、ヒマラヤ山脈からとれる、生の未加工塩で、何千年も前から、健康をサポートする特性が重宝され、現在も使われ続けている塩です。
岩塩はなんと、地殻変動の圧力の下、250年もの年月をかけて熟成され、毒素や不純物がほぼゼロの環境で形成される、まさにピュアな塩。

一方、黒岩塩は、大地から掘り起こされる火山岩塩で、塊は黒く見えますが、粉にするとピンク色になります。
ミネラル分や鉄分が含まれ、強い硫黄味がします。
黒岩塩は、腸内のガス、消化不良、そして胸焼けを減らすことで知られ、インド料理に幅広く使われ、とくにライタ(ヨーグルト、きゅうり、トマトをまぜたもの。消化を促進させるためのサラダのようなもの)を作るときに好まれています。

インドのヘルシーなスナック菓子には、この黒岩塩が使われていることがあり、独特のミネラル分が豊富に含まれるこの塩味は、とてもおいしく、一度この塩の味を覚えてしまうと、他の塩が全く味気なく感じられてしまうほどでした。

岩塩入りキュウリとトマトのライタ

 

★なぜアーユルヴェーダでは、岩塩が薦められるの?
~岩塩 vs 海塩(シーソルト)~

シーソルトは、海水を蒸発させて得られる生の未加工塩です。
通常、浅い入れ物に入れて太陽の光で乾かされて作られます。

シーソルトも岩塩と同様、消化を高める効果があり、ヴァータ質の不調を緩和する薬のような効果があります。(とり過ぎるとピッタを悪化させるので、もともとピッタ体質の人はくれぐれも量に注意する必要があります)

この二つの塩の一番の違いは、食べた後の体への効果です。

岩塩は、消化された後、甘い味に変わり、体を快適に保護する働きがあります。
一方、シーソルトは、消化後に刺激性の味に変わり、ちょうどチリのように、結腸をイライラさせる効果があります。

ヒマラヤのピンクソルトには、84種類もの自然ミネラル分が含まれ、このミネラル分は、人間の体の中にも見つかる成分で、岩塩に含まれるミネラル分はコロイド状で存在し、私たちの細胞にとっても十分に小さく、簡単に吸収でき、とても消化のいい塩です。

このため、食卓塩といった精製塩を食べた後のように、心臓を直撃するような刺激がありません。このため、心臓にやさしい稀な塩として重宝されています。

また、通常の塩のように、体に水を溜めてむくませることもありません。

こういった薬効から、アーユルヴェーダでは、塩の中でも特に岩塩を使うように薦められています。

★次回は、塩摂取についてのアーユルヴェーダの見解を、より詳しくお伝えしたいと思います。

 

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