■アーユルヴェーダは菜食 or 非菜食? ~その2.ベジタリアンとノンベジタリアンのメリット、デメリット~

ベジタリアンとノンベジタリアン。 今回は、両方のメリットとデメリットについてお伝えしたいと思います。

ところでインドでは、魚を食べる人はベジタリアンではなく、立派なノンベジ(インドのベジタリアンは、乳製品と野菜のみを食べるベジタリアンと卵と野菜を食べるベジタリアンが主です)。

私がインド生活で気づいたことは、子供の頃から卵さえもほとんど食べないベジタリアンの人たちの多くは、若いうちにすでに白髪になっている人がとても多かったことです。例外的に、友人の父親で、卵もほとんど食べないベジタリアンにも関わらず、60才で白髪がほとんどないおじさん(髪が分厚くフサフサで真っ黒!)がいたので、不思議に思い理由を尋ねてみると、子供の頃からココナッツオイルを毎日頭にぬる習慣を親から受け継ぎ、ほとんど欠かしたことがないとのこと。この時、ココナッツオイルを使い続けることの効果に驚かされました。

インドのココナッツオイル

それはさておき、私自身、インド生活ゆえに一時期卵さえもほとんど食べていなかった期間があり、現在はタイに暮らし、バリバリのノンベジなのですが(といっても、魚中心+野菜たっぷりがメインで、肉はそれほど食べません)、ノンベジを食べるようになってからとベジタリアンだったときの体やマインドの状態の違いが明らかに実感できました。

ベジタリアンの状態が長く続いていた頃は、体が軽くなり、アグレッシブさがなくなり、メンタル面は頭を使って考えることよりも、ハートや情緒の方に傾き、フワフワして夢見がちでした。「今日一日が幸せなら、これ以上何を望もう?」みたいなマインドの状態がベースになり、欲がなくなる分、「今がよければそれでいい」という将来への計画性のなさに繋がりました。なので、実際現実的な問題が起こると、それに対処するための底力のようなものがなく、「そのうちどうにかなってくれるだろう、誰かがなんとかしてくれるだろう」という逃避や、現実を直視する力が乏しかったように思います。

インドで出会った卵もほとんど食べないベジタリアンの人たちもまた、アグレッシブさがあまりない、やさしくて夢見がちな人たちが多かったのですが、肉や魚を食べない分、バターやビスケットのような甘いものに偏ってしまい、変な太り方をしていたり、糖尿になっている人も少なくありませんでした。

一方、肉や魚を食べるようになると、体が元気になり、今まで体やメンタル面がだいぶ弱っていたことに気づかされました。体が丈夫になるにつれ、食べることへの楽しみや欲が刺激されるようになり、未来をよりよいものにしたいという希望がフツフツと湧いてきたり、「負けてたまるか」的な闘争心も促進され、現実を生きるためのエネルギーを得ることができるようになったように思います。日々をもっと向上させたい、もっと幸せになりたい、今ここではなく、今後よりよくなるために。的なマインドの方向性に変わり、ある意味ベジタリアンだったときの心理状態とは逆の方向に促されます。

そもそもアーユルヴェーダでは、どのように見ているのでしょうか。

インドのヨガ指導者&哲学者ヴィヴェカナンダ

 

■『ベジタリアンのメリット』

ベジタリアンの習慣は、セルフコントロールを覚えるために役立ち、サットヴァ質(純粋性。平和、存在するものへの愛、楽観性、高潔さなど)を高める質と考えられ、霊的探求者が選ぶ食習慣とされています。デメリットについては、ほとんど語られていません。

 

■『ノンベジタリアンのメリットとデメリット』

一方、ノンベジタリアンの食べ物は、タンパク質とビタミンB類(特にビタミンB12)の素晴らしい源であり、バランスのとれたノンベジタリアンの食習慣は、体を丈夫にします。アーユルヴェーダでは、肉スープは、最も栄養価の高い飲み物のひとつとして説明しています。また、ヨガの指導者の一人、ヴィヴェカナンダ氏は、「より高い霊的修行のためには、体はとても強くなければならない」と語ったといわれています。アーユルヴェーダでは、動物がもつ活発な質のため、動物の肉は、人体の細胞記憶を活発にするため、人間を弱くする病気(貧血症、無気力症、衰弱、血液や精液の深刻な欠乏症、関節・器官・内臓・血管の酷い痛みなど)に悩む人たちのための薬として肉を使ってきました。

一方、インドでは、ノンベジタリアンの食べ物は、ラジャス質(激しい質)とタマス質(安定性/惰性)と考えられ、怒りや色欲を高めるものと考えられています。

インドの卵カレー

 

★バランスが鍵

アーユルヴェーダでは、完全に菜食になることを推奨しているわけではありません。ノンベジタリアンの食事自体には、医療効果があります。また、ある一定の期間、体の解毒や瞑想をするなら、一時的には卵も食べないベジタリアンもいいと思います。が、もともと、遺伝的によほど体が丈夫な人や、何らかの事情で、何か特定の食事制限をしなければならないような人以外は、「たっぷりの野菜+ほどよい量のノンベジフード」の組み合わせが、一番バランスがいいのではないかと思います。

 

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