インド生活『村上アニーシャのアーユルヴェーダ』Vol.16 〜ピッタ改善で夏を快適に〜

アーユルヴェーダやヨガ科学によれば、体の右側を下にして寝ると、左の鼻の穴からの呼吸が助長され、身体組織を冷やす効果があります。

~夏を快適で健康的に過ごす、アーユルヴェーダの知恵~

アーユルヴェーダでは、7月から9月はピッタ優勢の季節といわれ、もともとの体質に関係なく、夏場はどんな人も、ピッタ質が悪化しやすくなります。

インドは一年中ほとんど暑いので、普通に暮らしていてもピッタが悪化しがちでしたが、そんな国に長年住んでいたおかげで、ピッタ悪化を最小限にするためのコツを身につけることができました。

今回は夏の暑さから体を守り、日々を健康的に過ごすためのコツをお伝えしたいと思います。

・ピッタ質
ピッタ質というのは、「火」と「水」要素のコンビネーションのことで、「熱い」「鋭い」「油っぽい」「軽い」という性質が特徴です。

このピッタ質が体内で過剰に蓄積されると、胸やけ、胃酸逆流や胃酸による消化不良、過度の空腹感、多汗、熱さへの過敏、体のほてり、湿疹、痔、にきび、寝つきの悪さ、低血糖、じんましんの他、イライラ、忍耐力のなさ、皮肉やいやみを頻繁にいいたくなる、無気力感などがサインとして現れるといわれています。

これをそのまま放置しておくと、胃潰瘍、炎症疾患、気管支炎、関節炎、大腸炎、膀胱炎、肝臓疾患に発展することもあるので、ピッタ悪化のサインが現れたら、早めに対処しましょう!

■「甘いものや苦いものを食べる」:
ピッタを悪化させやすい辛くてスパイシーな食べ物や酸っぱいもの、塩辛いもの(にんにく、生の玉ねぎ、唐辛子など)はできるだけ抑え、代わりに甘いものや苦いものを多めにし、サラダ、果物、野菜の割合をいつもよりも多めにとるように心がけましょう。

スパイシーなものはほどほどに

果物は甘くてジューシーなもの(りんご、完熟パイナップル、メロン、スイカなど)を選び、野菜は甘味や苦味のあるもの(アスパラ、ブロッコリー、キャベツ、カリフラワー、緑色葉野菜、セロリなど)が◎。

また、生野菜は夏の火照った体を冷やすので、生野菜のサラダは夏にもってこいの食べ物。この時期はたっぷりと摂ってください。

■「ラッシー(ヨーグルトドリンク)」:
ラッシーには冷却効果があり、すぐに消化され、疲れをリフレッシュし、喉の渇きを癒すので、夏に最適のドリンクです。
さらに少量の塩を加えることで体の脱水を予防し、消化力を高めます。

夏に最高の飲み物ラッシー

作り方:プレーンヨーグルトと水を1対1の割合で混ぜます。塩少々、クミン
※シードパウダー、コリアンダーの葉を刻んだものを少量加えるとさらによし。

■「アルコールやカフェインはほどほどに」:
アルコール飲料やカフェイン類は、「鋭い」質と「熱い」質があり、ピッタを悪化させやすいので、ほどほどの量にします。

■「アイスクリームを楽しむ」:
夏の期間は、ココナッツアイスクリームのような甘いものを楽しむにはベストな時期。この時期のうちにたっぷりと満喫してください。

■「体の右側を下にして寝る」:
アーユルヴェーダやヨガ科学によれば、体の右側を下にして寝ると、左の鼻の穴からの呼吸が助長され、身体組織を冷やす効果があります。
また、毎日8分間、左の鼻の穴だけを使ってゆっくりと呼吸してください。右手の親指を使って、右側の鼻の穴をふさぎ、吸う息と吐く息の間、数秒止めてください。
このテクニックは、マインドを落ち着かせ、平静さを保つ効果があります。

■「昼間に過度な活動はしない」:
昼間の最も暑い時間帯の外出は、確実にピッタを悪化させるので、最小限にしましょう。

■「身に付ける宝石は涼しげなものを」:
夏の間、宝石類を身につけるときは、体を熱くするゴールドよりも、体を冷やす効果のあるシルバーを身につけましょう。真珠、ムーンストーンなどもおすすめ。

ところで夏は、体の消化酸が減るため、一般的に他の季節と比べて消化力が落ち、弱くなりやすい時期でもあります。

こってり重たい食べ物を食べたくなくなるのは、こういった理由からなのですね(冬は逆に、自然に体の消化力が強くなるので、消化が重いものでも簡単に消化できやすくなります)。

このため、夏はいつもと同じ食事をとっていても体重が増えやすかったり、お腹の周りに余分な肉がつきやすくなるといわれていますが、上記のコツに従えば、これらを予防できます!

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