■体に備わる自己治癒力を高める〈7〉 ~さまざまな断食で、脂肪燃焼力をリセット&解毒 part.4~インド生活『村上アニーシャのアーユルヴェーダ』vol.110

さて今回は、古代から体の浄化のために食べられてきたスーパーフード「ケチャリ」の作り方をお伝えしていきたいと思いますが、その前に、伝統的に浄化目的のケチャリに使われてきた唯一の豆・ムング豆について、少し触れておきたいと思います。

 

★ケチャリに使われる浄化豆「ムング豆」

ムング豆がはじめに栽培され始めたのは、紀元前1500年にまで遡るといわれています。
浄化食ケチャリには、たくさんの理由から、このムング豆を二つに割って皮を剥いた黄色いムングダルだけが使われてきました。

これは、アーユルヴェーダにおいてこの豆が、他のどんな豆よりも「浄化効果」が高いからで、この古代から食べられてきた豆には、健康上のメリットがたっぷりとあるのです。

さて、この豆だけが持つ並外れた特性とは、一体どんなものなのでしょうか。

 

・「アンチエイジング効果」

この豆に含まれる主要なフラボノイド「ビテキシン」「イソビテキシン」と呼ばれるものには、なんと私たちの体の主要な老化スイッチの一つをオフにすることができるという研究報告がなされています。

 

・「ほとんどの豆類にありがちな、腸内のガス発生を予防する」

豆類はベジタリアンにとって貴重なタンパク質源ではあるものの、基本、豆類は消化が重たいので、消化を軽くするために必ず消化促進スパイスと組み合わせて食べられることが一般的です(スパイスを組み合わせない場合、腸内にヴァータ(ガス)が発生しやすくなります)。

ただし、このムング豆だけは唯一の例外で、消化が軽く、腸内にガスを発生させることもありません。この特性がアーユルヴェーダでは重宝され、浄化食ケチャリに最適な豆として伝統的に使われてきたと同時に、何世紀もの間に渡り、乳幼児から病気回復期の大人、高齢者のための安全食としても使われてきました。

(ムング豆はおやつとしても大活躍)

 

・「マグネシウムなどのミネラルがたっぷり」

マグネシウム不足が原因となって起こる病気として、主に心臓関連の疾患が報告されていますが(マグネシウム不足の人たちはマグネシウムを十分に摂っている人たちと比べ、心臓疾患による死因がなんと51%もアップするとのことです)、アメリカでは10人に7人がマグネシウム不足! と推定されています。

過去数十年、ファーストフードなどアメリカの食文化の影響をたっぷりと受けてきた日本もまた、常日頃から食べるものに注意を払っている人でもない限りは、だいたい似たような数値なのでは。ということは、容易に想像できるのではないでしょうか。

そしてムング豆は、現代人特有のマグネシウム不足を補うことができる豊富なマグネシウム源として使うことができます。

 

・「満腹ホルモンを増やして減量をサポートする」

ムング豆には、コレシストキニンと呼ばれる「満たされホルモン」を増やす効果があり、これが太りすぎを予防し、健康的な体重キープをサポートします。

(満腹効果で減量もスムーズに)

 

・「腸を癒す豆」

アーユルヴェーダでは、ケチャリは、腸内の有益な微生物が健康的に保たれるよう助けるため、腸管のための薬として見なされています。
ムング豆には不溶性の繊維が多く含まれ、腸内で発酵して酪酸と呼ばれる脂肪酸(ギーの主要成分)を生成します。

私たちは日々、慢性ストレスによって腸壁が絶え間なく刺激されていて、そのストレスを腸壁を通じて処理しているといわれています。

このため、酪酸で腸内細胞を潤すことにより、ストレスから絶え間なく刺激を受けている腸壁がなだめられ、癒され、これが腸の健康維持をサポートするので、免疫機能アップにも繋がります。

……今回は少し長くなってしまいましたので、「ケチャリの作り方」については次回でご紹介したいと思います。

 

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https://www.el-aura.com/writer/%E6%9D%91%E4%B8%8A%E3%82%A2%E3%83%8B%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A3/?c=73188

 

(トップ画像/ほとんどの豆類は消化が重いので、スパイスと組み合わせる)