■体に備わる自己治癒力を高める〈3〉 ~ちびちび食いは危険? その理由。part.2~インド生活『村上アニーシャのアーユルヴェーダ』vol.106

インドはいまや(というか昔から)、子どもさえも糖尿病になる国ということで世界的にも有名な国になっていることは、以前もお伝えしたことがありますが、

その背景には、砂糖の大量輸出国だったことから砂糖の消費量が膨大であることに加え、ベジタリアン食文化のために乳製品をよく食べることが、その理由のひとつになっていること、

さらには、肉を一切食べないベジタリアンの食事を長年続けていると陥りやすい栄養不足を補うための間食が当たり前、ということがインドの糖尿を増やす原因のひとつになっているのではないかと思います。

私もインド生活時代は、いつの間にか知らず知らずのうちに気づいたらほぼベジタリアンになっていた時期があったことは以前も触れましたが、

その期間は、間食することは当たり前でした。(栄養不足が原因でやたらとスナックやおやつが食べたくなることは、当時は全くわかっていませんでした)

インドは環境的に基本的に不便、なことに加え、さらに娯楽というものがほぼありません(あるといえばボリウッドムービーぐらいでしょうか)。

そんな環境での唯一の娯楽や楽しみといえば、ちょっとした買い物や工夫して何かを作ること、食べること、チャイをすすること。
そんなほんのささやかな楽しみに限られます。

おやつをつまみながらチャイを飲む。これは本当にホッとするひと時でした。インドのおやつやスナックには、添加物や保存料といった先進国特有の洗練された化学物質からは無縁なものがほとんどで、素材そのものの味がよくわかる素朴なものばかり。

そして体は無意識に、普段のベジタリアン寄りな食生活の栄養不足分をすぐにでも補おうとするかのように、こういったスナックを食べだしたら、どうにもこうにも止まらないという感じでした。

このため、一日2、3回はチャイタイムをとることが日課のようになっていたインド生活時代。

さて、こういったインド時代には何気なくしてしまっていた「間食当たり前」習慣ですが、実は血糖のアンバランスにも繋がりかねない問題ありの食べ方。

今回はそのあたりのことをお伝えしたいと思います。

(止められない止まらない……インドスナックその1「チャクリ」)

 

■《頻繁に食べることの潜在的なリスク》:

アメリカの専門家たちの中には、「三時間おきダイエット」なる、一日5~6回、小さな量の食事を食べることを薦めている人たちがいて、三時間おきに食べることで体の代謝が活性化し、脂肪燃焼が高まり、血糖をコントロールできて、空腹感もなしに減量できることを謳っています。

現代科学の研究報告を用いて、古代アーユルヴェーダの智慧が正しいことを証明し続けているアメリカ人のアーユルヴェーダ専門家ドクタージョンは、実はこの「三時間おきダイエット」の効果を実証する研究は、いまだに見つかっていないことを報告しています。

また、この食べ方は、ダイエットしている人を一時的に、空腹感から解放するために少しぐらいは役立つかもしれない方法ではあるものの、食べ過ぎのリスクは自然に高まり、「ダイエット目的には適切でない食べ方」とアドバイスしています。

この食べ方は、アメリカにおいて低血糖症の人に一時的に「薬」として処方される食事療法であって、その「薬」はいずれ止め、健康的な一日3食(あるいは2食)に戻す必要があるものの、その方法については実質、放置されたままという現状に対しても、問題があることを指摘しています。

ドクタージョンは自分の患者たち(血糖問題がある人たち)に、はじめ一日6食食べるこのプランをすすめ、実際に患者たちが、はじめのうちは気分がよくなり、快適に感じると報告する様子をたくさん見てきました。

一日に小さな食事を頻繁に食べることで血糖の変動が阻止され、一時的な解放が得られたのです。

しかしその後、六ヶ月、九ヶ月と経つにつれ、効果は薄れ始め、常に空腹感がある状態となり、体重はもとの状態にもどってしまい、気分の不安定さは突如悪化するようになったことを報告しています。

(止められない止まらない、、インドスナックその2「ジャックフルーツのチップス」)

 

■《2、3時間置きに食べると体の忍耐能力が失われる》:

数時間おきに物を食べ、体を甘やかすちびちぶ食いが習慣になると、体に備わる本来の自己コントロール力ともいうべき忍耐能力は失われ、血糖は突然下がったり上がったりといった、激しい衝撃がもたらされるリスクや、2型糖尿病、心臓疾患、脳卒中のリスクにも繋がることがわかっています。

一方、小分けにダラダラ食べず、一日2、3食を間食なしにしっかりと食べる場合、これらの病気をかなりの確率でさけることができるということです。

◎次回は、怠けた体の脂肪燃焼力や消化力をリセットし、さらには自己治癒力を高めるための「断食」をテーマにお伝えしていきたいと思います。

 

《村上アニーシャ さんの記事一覧はこちら》
https://www.el-aura.com/writer/%E6%9D%91%E4%B8%8A%E3%82%A2%E3%83%8B%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A3/?c=73188

 

(トップ画像/「小さい食事を一日6回」はあくまでも一時的な薬。)