■免疫を高める食品選び〈20〉 アーユルヴェーダにおける、果物を食べる時のルール ~痩せる食べ方、太る食べ方 ~ part.2~インド生活『村上アニーシャのアーユルヴェーダ』vol.102

果物はゆっくりと永続的な燃料として、長持ちする安定したエネルギーを私たちにもたらしてくれます。

前回の part.1 では、「アーユルヴェーダでは果物は基本的に単体で食べられるべきもの」としてお伝えしましたが、今回 part.2 と次回part.3 ではさらに、そのように考えられている背景について、より詳しくお伝えしていきたいと思います。

 

★果物は、食べ方によって効果が違う!

《果物の構成成分》

その前にまず、果物の質についてちょっと触れておくと、果物それ自体には、抗酸化物質、ビタミン、ミネラル、植物栄養素がたっぷりと含まれ、単体ですでに栄養のバランスの取れた、素晴らしい食べ物ということがわかると思います。

ただし、一般的にあまり知られていないことは、果物は過剰に食べた場合、あるいは適切でないものと組み合わせて食べられた場合、なんと、努力してダイエットした体重を、いとも簡単に元に戻してしまいかねない食べ物にもなるという点です。
また、私たちの血糖を大混乱に陥れてしまうことにもなりかねないという点にも、注目したいところです。

こう聞くと、まるで果物が脂肪にでもなるかのように聞こえますが、実際、食べ方次第で体に脂肪をたっぷり溜めれてしまいます(前回ではクマが冬に備えて果物をたっぷりと食べて体に脂肪を蓄えることをお伝えしました。)

ただし、果物は、正しい食べ方さえすれば、逆に私たちの体重を効率的に減らしてくれるとても健康的な食べ物にもなります。
果物には、こういった二つの相反する効果があるのです。

では一体、どんな食べ方をすれば、太らずに済むのでしょうか。
アーユルヴェーダの視点から見てみましょう。

《エネルギーとなる、三つの糖分:ブドウ糖、果糖、ショ糖(または白糖)》

ブドウ糖(グルコース)と果糖(フルクトース)と呼ばれる糖分は、単糖の異なる二つのタイプになります。

ブドウ糖は細胞呼吸のための最も重要なエネルギー源となる糖分(血糖として動物の血液中を循環しています)で、植物デンプン、動物デンプンとして含まれています。

果糖は、ブドウ糖とは異なる方法で代謝される糖分です。
この果糖は、はちみつ、木に実る果実、ベリー類、メロン、ある種の根菜に多量に含まれていて、三つの糖分の中でも最も多く水に溶けるといわれています。
果糖は、ブドウ糖ほど効率的には使われない、エネルギー源となる糖分です。

また、ショ糖(スクロース)と呼ばれる糖分は、砂糖の主成分です。
このショ糖は、ブドウ糖と果糖がそれぞれ50%の割合で組み合わされ、構成されている糖分です。

(激太るダメダメな組み合わせ2.「果物がついたケーキ類」)

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さて、ほとんどの果物にはすべて、果糖が豊富に含まれ、果物の種類によって、この果糖と、ブドウ糖とショ糖が様々な割合で含まれています。
つまり、一般的に使われている白砂糖の成分が、果物の中にも含まれているということです。

 

★腸内にある消化酵素「スクラーゼ」:

私たちの腸内には、スクラーゼと呼ばれる消化酵素があり、この酵素はショ糖をブドウ糖と果糖に分解する役割をになっています。

ショ糖は、血流に入る前にまず分解される必要があるので、私たちの血糖に影響を及ぼすには少々時間がかかります。

一方、ブドウ糖と果糖の場合、単純な糖であるために、ショ糖のように吸収のための酵素を必要としないため、血液の中へ直に移動し、血糖値をより急激に上昇させる効果があります。