ギー(精製バターオイル)を使った、 ビューティー&ヘルスケア<1>~インド生活『村上アニーシャのアーユルヴェーダ』vol.58

一回作っておけば、4~6ヶ月ぐらいはもつので、スキンケア用にはもちろん、家庭用の万能皮膚軟膏としても、一家にひとつあるととても便利です。

~ギーで作る万能治癒クリーム「シャタダウタグリタ」~

さて、今回から数回にわたり、アーユルヴェーダにおいて治癒効果が高いとされるオイル、ギーを使った美容方法とヘルスケアについてご紹介していきたいと思います。

ギーは、無塩バター(オーガニックのものがおすすめです)さえあれば自宅で簡単に作れます。(作り方については、バックナンバーVol.8をご覧下さい)

一般的に「料理に使うもの」と思われていることが多いこのギーですが、アーユルヴェーダではスキンケア、ヘアケア、ボディマッサージ、解毒、目のケアなど、広範囲に渡って使われているもので、常にキッチンにキープして置きたいヘルシーオイルのひとつです。

初回の今回は、このギーで作る万能スキンケアクリームの作り方をお伝えしたいと思います。

 

■万能治癒クリーム「シャタダウタグリタ」:

(冷蔵庫に入れて固めてから使う)

(冷蔵庫に入れて固めてから使う)

インドでは、ギーを水で百回洗って乳化させ、クリーム状にした「シャタダウタグリタ」というものがあります。

この、一回では到底覚えられそうにない(?)シャタダウタグリタという名前は、

シャタ → 100
ダウタ → 水で洗う
グリタ → ギー

という意味です。(名前そのままです……。)

インドにいた時に、このクリームを作っている現場を見学に行ったことがあるのですが、床にあぐらをかいて座ったインド女性たちが、ギーと水の入った銅製のお皿のようなものを、ひたすら木の棒のようなもので混ぜたり押したりしている姿を見て、呆然としました。

「……一体、誰がこんなめんどくさい方法、思いついたの??」と。

昔の人たちはこうやって、手間暇かけて作っていたこのクリームですが、現代には電気泡立て器やミキサーという強い味方があるので、自宅でも簡単に作れます。

このシャタダウタグリタ、はじめて使ったときの感想は、正直乳臭さがかなり気になったのですが、使った後の肌がすごく柔らかく、しっとりする感じは、まさに「正統派保湿クリーム」といったところでしょうか。

一回作っておけば、4~6ヶ月ぐらいはもつので、スキンケア用にはもちろん、家庭用の万能皮膚軟膏としても、一家にひとつあるととても便利です。

☆材料☆

ギー 300g
水  たくさん

☆作り方☆

1.ボールにギー(あらかじめ冷蔵庫に入れ、固めた状態にしておきます)と、ギーと同量の水300ccを加え、電気泡立て器で3~5分かき混ぜます。

2.水を捨てます。

3.同量の新鮮な水を加え、再び1、2を繰り返します。アーユルヴェーダでは、手作業でこれを100回繰り返しますが、電気泡立て器を使う場合は20~30回程度でOKです。

ギーは徐々に白くなっていき、フンワリなめらか感が出てきます。

☆保存期間:密閉容器に入れ、4~6ヶ月。常温保存できますが、冷蔵保存がおすすめです。

(水とギーを混ぜて乳化中)

(水とギーを混ぜて乳化中)

 

■肌への効能■

保湿と滋養、治癒(火傷、切り傷、湿疹、ヘルペス、アトピー、日焼け、肌の炎症、ヒリヒリ感、かぶれ、あせも、乾癬、痔、虫刺され、手やかかとのひび割れ、唇のひび割れ、赤ちゃんのおむつかぶれなど)、肌のシワ予防。

☆アドバイス: 材料がギーなだけに、ミルキーな匂いがします。匂いが苦手な方は、ラベンダーや他の好みの精油などで香り付けすると、匂いが和らぎ使いやすくなります。

特に肌が乾燥しやすい冬の時期、肌のシワ予防や、唇や踵のひび割れにおすすめで、夏などあせもや湿疹が出やすい季節は、炎症を抑える軟膏として最適です。

 

《村上アニーシャ さんの記事一覧はこちら》
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