ポタリングでどこまで行ける? 熊野街道! 3天王寺を越えて、桜咲く古えの風情あふれる道を南へ。前編

・谷町筋の道標から桜が満開の堀越神社へ。

●堀越神社境内に、熊野第一王子之宮。ふりだしにもどる?

2回目の熊野街道ポタリングは、寄り道ばかりだった。
今回は、なんとしても大阪市内から出たい。
大和川を渡りたい。

前回は、四天王寺を少し南へ進んだ辺りの、谷町筋にある熊野街道の道標で終わった。
今回は、そこから谷町筋を西に渡った辺りにある堀越神社をスタートにする。
調べているとこの神社に、第一王子である窪津王子が祀られているということなので行ってみた。

堀越神社は、四天王寺の建立と同時に聖徳太子によって創建されたらしい。
外護として造った四天王寺七宮のひとつだそうだ。
「堀越さんは一生に一度の願いを聞いてくださる神さん」との言い伝えもある。

境内にある案内板には、熊野詣の第一王子、窪津王子をお祀りしていると書かれていて、その前は、四天王寺の前にあった熊野神社にお祀りされていたとある。
その熊野神社の現在は不明。
熊野神社は、全国にあるそうだ。

目指す熊野三山(熊野本宮大社、熊野速玉大社、熊野那智大社)に、熊野権現(権現は日本の神々が仏教の仏や菩薩の姿で現れたもの)として十二所権現あり、さらに全国に熊野神社は三千とあるという。
それほど熊野信仰は広がっていたらしい。

スタートしたときはわからなかったけれど、第一王子はここに現存していた。
前回、前々回のポタリングでもうすでに第四の上野王子まで追ってきたが、場所は不明で遺跡として残されているだけだった。
そのため、こちらを現在の第一王子としているのだろう。
行きつ戻りつ感はあるけど、こだわらないことにする。
堀越神社では、4月第3日曜日に熊野社花祭が催されるそうなので、いつかお参りしたい。

 

・堀越神社境内にある、熊野第一王子之宮。

 

●四天王寺さんの石の前でみる、熊野の夢。

聖徳太子が建てた仏教の寺院であり、大きな石の鳥居もある四天王寺。
四天王寺の西門は、極楽の入口の東門だとういう。

浄土信仰では西に極楽浄土があるとされ、極楽の東側にある門ということらしい。
そのことが、西門のさらに西にある石の鳥居に書かれている。
ややこしくて資料を読んだときはわからなかったが、現地に行ってみるとなぜか、理解できた。

春と秋のお彼岸の中日には、石鳥居の中心にちょうど太陽がかかり、西に沈むのが見られるらしい。
昔はここから西が海だったそうで、その美しさはどんなだっただろう。

弘法大師や法然上人がここで日想観を修したと、案内板にある。
日想観は、太陽が沈むのを観て瞑想する祈りで、今も復活して行われてるらしい。

石の大きな鳥居は不思議な存在だ。
西門も四天王寺全体も守っているようであり、極楽への入口。
ここからお参りする私たちは、普段から極楽にいることになる。

極楽は修行の場として悟りを目指すべきか。
個人的には極楽は、幸せな場所として楽しみたい。

 

・石の鳥居にある「釈迦如来 転法輪処 当極楽土 東門中心」の文字。

 

・四天王寺 西大門は通称「極楽門」。創建は推古天皇元年(593)で、現在のものは、昭和37年に故松下幸之助氏の寄進で再建されたそうだ。

 

四天王寺の南大門を入ったところに、熊野権現礼拝石がある。
熊野詣をする人々がこの石の上で道中の無事を祈ったそうだ。

熊野詣には、道の途中で祈りの場所が多い。
昔の旅はたいへんだったのだろう。

でこぼことして色もまばらな石は、たくさんの人の願いを受け止め、苦渋さえも染み込ませてきたかのように見える。
ここから熊野を目指した多くの人の旅が平坦ではなかったにしても、願いが叶えられていますように。

 

・南大門のすぐ前にある熊野権現礼拝石。ただ石ではない雰囲気が漂う。

 

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