ホワイトハート、ラブビーズ、ヴィンテージ……。 Beadsは祈り。願いを込めて無心で、つなごう、結ぼう。

ビーズをつなぐとき、心はしずか。発想は自由。

●古くから世界のあらゆる場所で祈りとともにあったビーズ。

小さな玉のひとつひとつに糸を通してつなぎ、大切に手にして祈る。
世界のいろんなところで、祈りとともにあったビーズ。
語源は、古代英語のアングロサクソン語の「bidden=祈る」だといわれている。

ビーズの歴史は古く紀元前、古代までさかのぼる。
古代エジプトでは陶磁器で作ったビーズで神々を象徴する図形を編み、ミイラの装身具としたそうだ。

チベットやヒマラヤが発祥といわれるジービーズは、礼拝に用いられ、何代にもわたって大切に受け継がれてきたそうだ。
ロザリオは、聖母マリアに祈りを捧げるためのもので、ビーズを数えながら繰り返し唱えていく。
仏教の数珠も同じようにお経を唱える時に使われることがあるようだ。

さまざまな技術やデザインの発展はあるが、本質的なカタチは今も変わっていない。
古代都市ポンペイの装飾品の留め金の形が、今の形状と構造的に変わらなかったりもする。

ビーズの可愛いカタチは、愛と祈りのカタチ。
宗教や住む地域は違っても同じように安らぎと心休まる静かな時間を与えてくれる。

 

●ミルフィオリ、ラブビーズ、トレードビーズの世界。

ヴェネチアやボヘミアなどヨーロッパの国が、大航海時代を中心にアフリカやアメリカの先住民との交易に使用したビーズ。

金やダイアモンドなどの貴重な資源、そして人身とまで交換されたそうだ。
トレードビーズは、美しいだけではなく、悲しい歴史もある。

1960年代後半の頃、ヒッピーたちの間でそんなトレードビーズが平和のシンボルとして流行したそうだ。
さまざまな美しい模様のトレードビーズが今もマニアの間でトレードされている。

ミルフィオリはその中でも代表的なもので、イタリア語で千の花と言う意味とか。
モザイクの技術でキレイな柄が表現されている。

ホワイトハートは、あざやかな赤やブルーの中央が白いビーズ。
中心が白いためホワイトハートと呼ばれている。

このインディアンビーズにはどんな歴史が? ずっと大切にしたい。

 

●ズニ族のフェティッシュ。

アメリカの部族のひとつで、祖先は日本人とも深い関わりがあるのでは? とも言われているズニ族のお守り、フェティッシュ。
紀元前650年から存在していたとの説もある。
動物の形をしていて、それぞれに意味がある。
熊は癒し、コヨーテは笑い、蝶は再生、トカゲは忍耐など。

天然石などで作ったフェティッシュを皮の袋に入れて身につけたそうだ。
ビーズとは言えないかもしれないが、フェティッシュをビーズにした首飾りも作られている。

フェティッシュのペンダント。ズニ族のものかどうかは不明。

 

●ヴィンテージビーズで、オリジナルの一点物を作る。

素材の開発が進んで今のビーズは、驚くほど軽かったり、さまざまな転写が可能だったり、色も素材感も多種多様になっている。
それでも心惹かれるヴィンテージビーズたち。
ちょっといびつな形であっても味わい深い。

個性的なヴィンテージビーズなら、ただひとつだけでも存在感のあるペンダントトップになる。
ちょっと不思議なフォルムをどう組み合わせようかとパズルのように楽しむこともできる。

素材も色もカタチの自由なヴィンテージビーズたち。

日本でもオランダ玉と呼ばれたとんぼ玉が長崎に伝わり、大阪や京都、江戸でも作られるようになった歴史がある。
大阪の和泉には、明治初期に硝子玉を使った念珠や装飾品が作られ、泉州玉と呼ばれたそうだ。
今でもヴィンテージものとして人気がある。

大正時代に人気があったという日本のビーズの復刻版。

ヴィンテージビーズをたくさん扱うお店は少ないが、その中のひとつ、大阪市西天満のヴィンテージな大江ビルヂングにあるフェヴさんでは、アクセサリー作りのレッスンも受けられる。
壁面に広がるヴィンテージビーズの入った小さな瓶をひとつひとつのぞいていると、あっという間に時が過ぎる。
世界中に散りばめられたビーズの中からお気に入りと出会えたら、しあわせだ。

フェヴさんの店内。インディアンビーズとヴィンテージビーズはフェヴさんで購入。

 

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