Amazon「お坊さん便」❌全日本仏教協会 本来お坊さんは尊敬されるべき存在だった TRINITYだからの意見

巷を騒がす斬新な「お坊さん便」サービス。アマゾンが発売したことで認知が高まり、ニーズもあるとわかったのだが、待ったをかけたのが全日本仏教協会。さぁ、この問題を、目に見えないこともたくさん取材してきたTRINITYでも考えてみよう。

利用者が全国どこでも35,000円で法事などがお坊さんによって受けられるというシステムを作ったのが株式会社みんれび
この会社は12月8日にアマゾンに「お坊さん便」を商品として出品している。
アマゾンってすごいんですね。これまでベールに包まれていたお布施が明確になるというかなりのインパクトのある商品だからこそではあるが、
なんと! 今年の2月22日の時点で国内外で560件のメディアに紹介されたそうです。
さぁ、こうなると仏教会もざわつきます。檀家さんが少なくなってきている今だから、お坊さん便のようなサービスをウェルカムだとする若手お坊さん。アマゾンに出店してから150名ほどのお坊さんが追加登録されているようです。
確かにわかりづらい戒名や葬式、法事のシステム。
ましてや、少子化で親に逝かれた一人っ子などはもうお手上げかもしれません。
それを考えると、れんみびさんの「お坊さん便」とそれを取り扱う超大企業であるAmazonは斬新な会社と言えるでしょう。

本来、お坊さんは托鉢して“あるだけ”で生活なさる尊敬された存在

2011年のあの3・11で裸足で被災地を巡り、亡骸に手を合わせていたお坊さんを、皆様、覚えていらっしゃるでしょうか? 私はあの時、どうしてもこのお坊さんにお会いしたいと岩手県まで行きました。残念なことにその青年僧侶(当時弱冠28歳)は2か月の托鉢に出ていてお会いできませんでしたが、姉弟子さんにお話をお伺いすることができました。お寺の名前は石雲禅寺。姉弟子である吉田慈光僧侶のもと、たった1日ですが、朝のお勤めをご一緒し、慈光さんにお話しを伺いました。

「(被災地を歩いたことを振り返り)ただ行きたくて行ったんです。現地に立ってみて自分にできるのは拝んで歩くこと。それしかないなと思いました。そして、ただその命と傍らにいる。私たち残っている者が生命を繋いでいくよ、幸せになるよって。ああほんと、ごめんね。ありがとうっていう、そういう感じじゃないかと思うんですけど」

photo Kyodo News 3・11で被災地で祈る僧侶、石雲禅寺の小原宗鑑さん

photo Kyodo News 3・11で被災地で祈る僧侶、石雲禅寺の小原宗鑑さん

お坊さんがその在り方や存在意義を考える良いきっかけ「お坊さん便」

最近、お寺に行くことが増えました。清廉な空気のなか御祈祷をしていただくと、命が洗われるようです。行きたいお寺を選ぶ基準として一つ「お坊さんが太りすぎていないこと」を大事に選んでいます。だって嫌ですから、夜は飲み会、肉食バリバリ、なんて。もちろん、日本全体が豊かになっている現代で生き仏のような生活をしていただきたいと願っている訳ではないのですが……。お賽銭を入れる時、その金額の多少で神仏が何かを決定するとは思いませんが、「できるだけ」とも思います。托鉢のお坊様にお布施をしたことはありますか? お坊さんは、皆さんのお布施で生活をするのが基本です。欲を持たず、不要なものを持たず。ですから、お布施制度がなくなれば、「ビジネス坊主」が増えてくるのは当然です。坊主がいつからビジネスになったのか? それとも、その傾向は食い止められるのか? もしかしたらそれは、お坊さん、あなた方の普段の行いやそして、祈りによっても変わるのではないでしょうか? ちなみに私は、煩悩だらけですので、清らかな寺を時に尋ね、僧侶に諭して頂き、そして、ありがたいお経を聞き、ふと自然に耳を澄ませ我に返る時間をこれからも持ちたいと思っています。

次は、戒名が商品であれば、もうそれ自体が必要ないのでは?という記事を書きたいと思います。魂がないならば亡骸は意味ないですし。えっ? 「あなたは自分自身が死んだとき戒名はどうするの?」って? そうですねぇ。戒名は祈ってくれる子供もいないので要らないかもしれませんが、心清らかで良く学んだお坊様に手を合わせて頂ければそれは嬉しいです。その時、あるお金のなかで“心”としてお布施をしたいと思っています、今現在は。

Amazonお坊さん便

Amazon「お坊さん便」で売られている戒名授与。ボタンを押すだけの手軽さ。

全日本仏教協会は3月4日にAmazon(アマゾン)に販売中止のお願い文章を出している。その前、12月8日にリリースしている文章も合わせて掲載。
以下は、公益財団法人全日本仏教会WFB(世界仏教徒連盟)日本センター様HPより引用

アマゾン ジャパン株式会社
代表取締役社長 ジャスパー・チャン 殿

公益財団法人 全日本仏教会
理事長 齋藤 明聖

「Amazon のお坊さん便 僧侶手配サービス」について
(販売中止のお願い)

私ども公益財団法人 全日本仏教会は、日本の伝統ある宗教団体の中でも有力な59宗派・36都道府県
仏教会・10各種団体からなる、およそ全国75,000カ寺を擁する唯一の連合体であります。組織
率は全国寺院の9割と言われています。
去る12月8日、貴社は僧侶手配サービスを販売開始しました。これは「株式会社 みんれび」が201
3年から展開している「お坊さん便」というサービスで、全国どこにでも「定額のお布施」で僧侶を手
配し、「戒名」「法名」も付与するというものであります。
私どもは、先ずもって、このように僧侶の宗教行為を定額の商品として販売することに大いなる疑問を
感じるものであります。およそ世界の宗教事情に鑑みても、宗教行為を商品として販売することを許し
ている国はないのではないでしょうか。
そもそも、私どもは「お布施」を定額表示することに一貫して反対してきました。それは、「お布施」は
僧侶の宗教行為に対する対価ではないからであり、定額にすることによって「お布施」本来の宗教性を
損なうからであります。同じように「戒名」「法名」も商品ではないのです。
日本の伝統ある仏教界は、お一人おひとりからのご懇念をもって進納された「お布施(懇志金)」によっ
て寺院を維持し、教えを広め、仏法を相続してきました。これが宗教の本来性であり、教団の歴史と伝
統であります。
しかしながら、その布施の精神をないがしろにするような法外な「お布施」を請求するなどの事実があ
り、慚愧の念に堪えないところであります。また、悩み苦しんでいる方々に本当に寄り添えているのか、
僧侶としてのあり方を足下から見つめ直し、信頼と安心を回復していかなければなりません。
つきましては、貴社におかれましては上記のことをご配慮いただき「Amazon のお坊さん便 僧侶手配サ
ービス」の販売を中止されるよう、お願いするものであります。
日本の伝統ある仏教文化を守り発展させていくためにも、今後とも、ご支援、ご鞭撻の程をお願い申し
上げます。

追伸 同文(英訳)をシアトル本社にも送付していることを申し添えます。

全日本仏教会理事長談話
「Amazonのお坊さん便 僧侶手配サービス」について

去る12月8日、「Amazon」は僧侶手配サービスを販売開始しました。これは、「株式会社みんれび」が2013年から展開している「お坊さん便」というサービスで、全国どこにでも定額で僧侶を手配するというものです。

背景には、「読経してもらいたいが、お寺との付き合いがない」「お布施をいくら包めばいいのか不安」といった社会からの声があるといいます。

これには、販売当初より大きな反響とともに賛否の声が寄せられており、定額で分かり易いという声がある一方、仏教界からは宗教をビジネス化しているという批判が起こっています。

私ども公益財団法人 全日本仏教会は、宗教行為としてあるお布施を営利企業が定額表示することに一貫して反対してきました。お布施は、サービスの対価ではありません。同様に、「戒名」「法名」も商品ではないのです。

申し上げるまでもなく、お布施は、慈悲の心をもって他人に財施などを施すことで「六波羅蜜(ろくはらみつ)」といわれる修行の一つです。なぜ修行なのかというと、見返りを求めない、そういう心を持たないものだからであります。そこに自利利他円満の功徳が成就されるのです。

今回の「Amazonのお坊さん便 僧侶手配サービス」の販売は、まさしく宗教行為をサービスとして商品にしているものであり、およそ諸外国の宗教事情をみても、このようなことを許している国はありません。そういう意味で、世界的な規模で事業を展開する「Amazon」の、宗教に対する姿勢に疑問と失望を禁じ得ません。しっかりと対応していきたいと考えます。

今回のことを通して、私ども伝統仏教界は、お寺は相談しにくいという声を真摯に受けとめ、社会のニーズに耳を傾け、これからの教団・寺院運営に反映していかなければならないことを付言しておきたいと思います。