誓いを破ると神罰が下る、ちょっと怖いお守り
牛王宝印の秘密

大事に祀ったり、身に付けたりする「お守り」。その中でも有名な「牛玉宝印(ごおうほういん)」と呼ばれるお札についてご紹介しましょう。
誓いを破ると神罰が下る、ちょっと怖いお守り<br>牛王宝印の秘密

 

【色々なお守り】

神社やお寺で授与される「お守り」。現在、お守りとしてイメージされる、布の袋に入ったタイプは比較的近年に考え出されたものであり、昔はお守りといえば、紙に文字が書かれたいわゆる「お札」が一般的でした。

現在でも、京都の料理店などでは「火迺要慎」という文字が書かれたお札を貼っているところが多いですが、これは「文字自体に意味があるお守り」の典型といえるでしょう。

ちなみに「火迺要慎」は、「ひのようじん」と読みます。

京都の「愛宕神社」で授与されるこのお守りは、火災から守ってくれる御利益があるとして、火を使う料理店をはじめとして、一般家庭でもキッチンなどで張られることが多いものです。

読み方は難しいとはいえ、ある程度意味がわかるものですが、一方で、まったく意味がわからない模様で書かれたお札も多くあります。その中でも、最も有名といえるのが「牛玉宝印(ごおうほういん)」と呼ばれるお札です。

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【様々な御利益がある牛王宝印】

このお札は「厄除け」に御利益があるとされており、全国各地の神社やお寺で授与されていますが、その大元は和歌山県の「熊野三山」だといわれています。

こちらのお札は「烏文字」という、どちらかというと絵のような「不可思議な模様」で構成されているのです。熊野本宮大社のものは、1枚のお札の中に「八十八匹の烏」が描かれていることから、「おカラスさん」とも呼ばれています。

厄除けだけでなく、火の気のあるところに祀れば、火難を避け、家の入り口に祀れば盗難を防ぎ、病人の枕元におけば病気平癒、さらに船に乗るときに所持しておくことで、船酔いを防いでくるということで、「万能のお札」ともいえるのですが、いつしか「お守り以外の使われ方」もするようになってきました。

 

【戦国時代のあの人も使った誓約書】

その別の用途とは「誓約書」。牛王宝印の裏側に「契約内容を書いて、署名し血判を押す」ことで、熊野の神様がその誓いを見守り、もしもこの誓いを破ってしまうと、すぐに「神罰が下る」とされたのです。

この風習は、鎌倉時代頃から始まったとされますが、戦国時代の武将なども、牛王宝印を用いた誓約書を書いていたことがわかっています。「織田信長や、前田利家、黒田官兵衛」といった歴史上の有名人たちが血判を押したとされる、牛王宝印が残っているのです。

鎌倉時代から300年以上たった戦国時代でも、この風習が廃れていなかったことを考えると、それだけの説得力があったと考えられますが、その背景には「熊野権現への誓約を破ると、熊野大神の使いである烏が一羽亡くなり、本人も血を吐き地獄に堕ちる」という信仰があったのではないかと言われています。

神罰どころか、「すぐに地獄に落ちてしまう」という、かなりパワフルなものであり、それだけ恐れられていたことがわかります。おそらく、この使いの烏との関わりで、烏が多く書かれた牛王宝印が誓約書として使われるようになったのでしょう。

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【正体のわからない熊野権現は死の神だった?】

ちなみに、そんな恐ろしい「熊野権現」とは一体何者なのかというと、その正体ははっきりとしません。

「熊野本宮大社、熊野速玉大社、熊野那智大社」の3社を総称して、「熊野三山」と呼び、その三山のご祭神を総称したものが「熊野権現」と呼ばれています。

熊野三山は現在では神社の体裁をとっていますが、基本的に「神仏習合の聖地」であり、古来は浄土の地とされていたことから、「死と関係の深い神様」だったのかもしれません。

烏が描かれていることから、「八咫烏」との関係や、また牛王宝印という名前から、「素戔嗚尊の誓約(うけひ)」と関係があるのではないか、という説もありますが、どれもが推測であり、これといった定説は存在していないようですが、それでも、現在に至るまで牛王宝印を使った誓約は続いています。

今では「結婚式で使われる」ということで、昔ほどの深刻さはないかもしれませんが、「離婚の際には神罰を受ける」かも知れないと思うと、ちょっと怖いかも知れません。

誰かと本気で約束をする必要があるという方は、日本全国にある熊野神社を訪れて牛王宝印を手に入れてみてはいかがでしょうか?

血判までは大げさですが、こちらを使って誓約書を作るというのはなかなかインパクトがあると思いますよ。

熊野神社289678919

 

Damnation descends When break the oath.
Amulet and Agreements fusion.

 

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