「お客さんに合わせて臨機応変に」テツandトモさんに聞く“コミュニケーション”

テツandトモさんインタビュー PART.2

お笑いコンビとして全国で活躍するテツandトモさん。前回は、ステージに立つ際に緊張を克服する方法について伺いました。

イベントでは来てくださった方、全員と目を合わせる

──ステージでは、お客様の反応を見ながら対応していく臨機応変さが求められると思います。そのような、相手に対する気遣いはどのように身につけられたのでしょうか?

トモさん たとえばショッピングセンターの吹き抜けのステージで行うと、2~3階などすごく上から見てくださる方もいれば、後ろのほうで30~40分立ちっぱなしの方、お子さんを肩車して見てくださっている方もいらっしゃいます。

どんな位置にいらっしゃる方でも、皆さんに楽しんでいただきたいという気持ちでステージに出て行って、全員の方と目を合わせるように心がけていますね。あと、下ネタをやらない、頭をバシバシ叩いたりするネタをしない。お子さんたちが安心して見られるようなものをやっていこうということは、昔から決めていました。

テツさん 子ども番組のレギュラーをやらせていただいた経験は、ものすごく大きいですね。僕は、小さい頃に「体操のお兄さん」に憧れていた時期もあったので、子ども番組のお話をいただいた時はすごく嬉しかったんです。

下ネタを言って笑わせるのは簡単なんですけれど、子どもたちは動きをよく見てくれるので、「どんな変な動きをしたら子どもたちは気に入って、真似してくれるんだろう」というところを突き詰めていきました。変な動きをネタに取り入れているのは、そういうところからです。

お客様の世代、ニーズに合わせてネタをつくる

トモさん 営業を始めたばかりの頃は、よくわからなくてどこでも同じネタをやっていたんです。たとえば、女子中高生が笑ってくれるようなネタをおじいちゃんおばあちゃんの前でもやっていたんですよね。でも、もしかしたら嫌な思いをして帰っている方もいるかもしれないと思ったんです。

すべての世代が笑ってくれるネタばかりあれば、それがベストなんですけれど。「昆布が海の中で出汁が出ないの、なんでだろう~」というネタは、皆さん笑ってくださるのですが、なかなかそういうネタを見つけるのは難しい。

ですから、おじいちゃん、おばあちゃんはどういうネタなら笑ってくださるのか、子どもだったら、女子中高生だったら、大学生だったら、僕ら世代だったら……、と考えるようになりました。

そして、会場入りしてから、「今日は子どもが多いから子どもが喜んでくれるネタを多めに入れよう」と臨機応変に変えていくようになりました。いろいろなネタを試しながら、試行錯誤してこのスタイルが出来上がってきたかなという感じですね。

みんなが思っていることを代弁すると笑いにつながる

──実際に客層に合わせたつもりでもウケなかったという場合もありますか?

テツさん やっている最中に状況が変わって、ネタを切り替えるということもあります。トモが状況を見て臨機応変に変えていくんです。

だからたまに、トモの歌とは違う動きを僕は始めてしまっていることもありますよ。生のステージはハプニングも起こりますからね(笑)。

トモさん たとえばショッピングセンターだと、途中でいろいろな館内放送が流れるんですよね。

テツさん 抽選会をやってて「一等、○○当たりました~」とか、迷子の放送が入ったりして。そうすると、僕たちも「迷子の○○君、大丈夫ですか~?」って、そこに便乗してのっかってみたりしますね。

トモさん そういう時はネタをやり続けるのがいいのか、何が正解かまだわからないんですけれど。でも、おそらく皆さんが思っているだろうなということを僕らが代弁することによって、笑いにつながると思います。その辺は日々勉強していますね。

 

<プロフィール>
 
テツ and トモ
‘98年2月にコンビ結成。「なんでだろう~」が’03年新語流行語大賞、年間大賞受賞。同年、「第54回 NHK紅白歌合戦」に出場。現在、全国各地でお笑いと歌のステージを展開している。’14年2月発売のシングル「桜前線」で本格的に歌手活動をスタートさせた。
http://www.tetsu-tomo.com/

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Photo:Tomoya Suzuki
Text:Yuki Namiki