心のなかの不安感、心配、怒り、憎しみの感情を減らすには。ダライ・ラマ法王講演レポート

ダライ・ラマ法王 2013年 来日講演会レポート PART.5
ダライ・ラマ法王

自己中心的なものの考え方は、恐れ、怒り、憎しみのもと

「自己中心的な態度があまりに強いと恐れの気持ちが生じ、それによって怒りの気持ちが生じるというように非常に悪いサイクルが転がりだしてしまうわけです。

それによって私たちはそういった怒りや憎しみなどのいわゆる『煩悩』と呼ばれているような破壊的な感情が沸き起こってきてしまうということになってしまうわけです。これらのすべてはあまりに過度な自己中心的なものの考え方から生じています」

他人の幸せを心から願うことで本当の友人関係を育める

「しかしその逆に、他の人の幸せを心から願うという気持ちを持っていると、他の人たちは自分の一部なのだというふうに考えることができるようになります。その結果として、私たちはより広いゆったりとした心持ちを維持することができるようになるのであり、この地球に住んでいるすべての人、人間たちは自分の一部なのだと感じることができるようになるわけです。
そのようにして、自分の周りの人たちとの間に非常に親密な感情を育むことができるとき、私たちは信頼感に基づいた本当の友人関係というものを育んでいくことができるわけです。

そしてそれと同時に、自分の心の中に存在していた不安感、心配、そして怒りや憎しみの感情を少しずつ減らしていくことができます」

I think, in mental level, I think it is also system such as too much self-centered attitude here. Then actually you yourself put distance from others. So that creates sometimes distrust. If you have distance from others, that distance develops fear, and that develops anger. So these, we usually call destructive emotion, is very much originated from self-centered attitude.

On the other hand, if you have a sense of concern for other people, if you consider others as a part of you and respect entire humanity as a part of being, then, it will develop the feeling; automatically feel close to each other. And that way, trust will increase and automatically reduce fear and anger.

~PART.6に続く~

 
(2013年11月25日 東京ダライ・ラマ法王来日講演「日常の中で活かす仏教の智慧~ダライ・ラマ法王と語ろう~」より。※英文はダライ・ラマ法王がご講演で話された内容そのままを転載。)
取材協力:ダライ・ラマ日本代表部事務所 http://www.tibethouse.jp/

ダライ・ラマ法王14世(His Holiness the 14th Dalai Lama)
1935年チベット東北部にあるタクツェルという村落に生まれる。2歳の時、ダライ・ラマ13世の生まれ変わりと認められ、15歳で政治・宗教両面の国家最高指導者となる。1959年に亡命し、インドのダラムサラに亡命政権を樹立。チベット問題の平和的解決を訴え続け、1989年ノーベル平和賞受賞。2011年8月には政治的地位を主席大臣のロブサン・センゲ氏に委譲。78歳となった今もチベット人をはじめ世界の多くの人々の精神的指導者として活躍している。