「創造性」を解放する光
創作意欲は上昇しているものの、思い通りの表現がすぐにできないもどかしさ。当たり前とはいえ、描いては破りの繰り返しというものは、本当に苦しいし辛い作業です。だからいままでも、ほんのちょっと挑戦してみては、すぐにやめてしまい、そこからはできない言い訳を続けてきたのですが…
しかし今回は違いました。なにせ封鎖していた扉は爆発して吹っ飛んでいる訳ですから、スースーの解放しっぱなしです。ここでやめる気はまったく起きませんでした。
「絶対に表現してみせるっ!」
イメージに近づくよう試行錯誤を続けていたとき、私はパステルと出会います。それは6年前のクリスマスイブのことでした。
クリスマスイヴの夜。ケーキもないしプレゼントもない。(寂しくなんかない!)ここ数年、恒例になってしまったプロレスのクリスマス興行をテレビ観戦したあと(寂しくなんかない!)ふとパソコンに目をやるとモニターが薄紫色の光に包まれフワフワと輝いています。
「これは何かしらをネットで調べろということですね?」
誰に尋ねているのやら?(笑)
しかしそう思った私はパソコンを立ち上げ、ネットで検索を開始しました。
どんなキーワードを打ち込んだのかはまったく覚えていません。しかし検索結果のひとつをクリックすると、そこに一枚の絵が現れました。
パステルで塗られた山と空と雲の絵。
お世辞にも上手いとはいえませんでしたが、その絵にあった光の表現にハッとしました。
パステルという画材を知らなかったわけではありません。もちろん知っていましたが、使用することはほとんどありませんでした。専門的な理由は割愛しますが、パステル画は印刷に向いていなかったため、私の頭から「パステルで描く」という選択肢が除外されていたのです。
「パステルかぁ…すっかり忘れてたよ。ん?ひょっとしてこの絵、パステルを塗ったあとに…消している?そうか!塗ってダメなら消せばいいんだ!!」
思い出した画材!そして逆転の発想!!
押入れの奥を探すと…ありました!ちょっとだけ使ってそのまま放置していたハードパステルの24色が!
早速、パステルを削って指で色を伸ばし、そして消しゴムでそっと消してみると…
空間に溶け込むような白色はまさに光をイメージしています。光の洪水のイメージにかなり近い表現です!
「これだっ!!」
クリスマスから始まりひたすら習作を重ねること二週間。大晦日もお正月も忘れていました。そして気が付くと私は30枚以上のパステル画を描いていました。
最初の頃は光の表現に夢中で気づいていなかったのですが、練習用に購入したスケッチブックを一冊使い終わる頃、その絵のなかに光以外の「あるもの」が存在していることに気づきました。
それは「言葉」でした。