一宮千桃のスピリチュアル☆シネマレビューPART.60 「ゴーン・ガール」

鬼才デヴィッド・フィンチャー監督が「結婚」の本質をある意味描ききる

「結婚」の本質を描いたサイコ・スリラー
ただただ展開に夢中になる、稀な傑作!

女は怖い。結婚したくなくなる。「ゴーン・ガール」を観た後でそう思う人は少なくないと思う。

本作のテーマは「結婚」だと思うんだけど、私はこの映画は「結婚」の本質をある意味描いていると思う。それは…「地獄」(笑)。
ああ、だから私は結婚できないのね(笑)。
サイコ・スリラー作とプレスには書かれているが、サスペンス作品なのであまり多くは語れないんだけど、本作の夫には結婚は「地獄」と化すのである。
怖気が走るラストも驚愕。約2時間半、少しも退屈させたり気を抜かせることなく緊張の糸を張ったまま一気に魅せ切る手腕は、さすがのデヴィッド・フィンチャー。露悪的な演出は相変わらずで好きにはなれないけれど、本作は文句なく面白い! ただ見入ってしまう。えっ、どういうこと? どうなるの?と早く早く先を先を!と展開に夢中になる。これは稀な傑作である。

さて、お話を少し。
大恋愛の末に結ばれたニックとエイミーは、ニューヨークからニックの故郷であるミズーリの田舎町に移り住む。熱愛の夫婦のはずだったが、結婚5周年の朝にエイミーは忽然と姿を消す。リビングには争った跡と血痕。事件と失踪の両方から捜査が始まるが、ニックが第一容疑者として疑われる。ミズーリの田舎町でのエイミーの失踪は注目を集め、次第に全米の目が事件やニックに注がれることになる……。

結婚は一番嫌いな相手とするもの                魂の「砥ぎ石」としての結婚

「Trinity WEB」をお読みの皆さんはよく分かってらっしゃると思うんだけど、「結婚」する相手というのは、小林正観さんによると「一番嫌いな相手とするもの」とのこと。その嫌いな相手はお互いにとって「砥ぎ石」となり、ぶつかったり喧嘩したり、我慢したり、受け入れることで、お互いが成長する。だから皆大好きな相手と結婚したと思っているけれど、実は自分の魂の成長のために一番嫌いな相手を選んでいると言うのだ。
このことを知った時は驚いたがものすごく納得した。だって私たちは魂を磨くために、いろんなことを経験するためにこの世に生まれてきてるんだものね。
ほとんどの人がする結婚というシステムが魂の砥ぎ石でないわけがないもの。

と、考えると。ニックとエイミーはベスト・カップルなんである。素晴らしく学びの多い結婚をしたわけなんだから。原作者にそういう意識はないかと思うが、スピリチュアル的には結婚の本質を見事に描いた作品である。

主演の二人が好演エイミー役の                ロザムンド・パイクお見事!

ニック役のベン・アフレック、エイミー役のロザムンド・パイクともに好演。とくにロザムンド・パイクは今までの優等生的なイメージをかなぐり捨てての熱演。日本人受けしない正統派美人顔だが、本作で一皮むけたことは確か。ベン・アフレックは太めでだらしなくなってきた体とともに、アホな夫をリアルに演じた。
アメリカの、失踪事件に対する対応やマスコミの過熱ぶりも興味深く描かれた、文句なしのエンターテインメント作となっている。


 

■12月12日(金)よりTOHOシネマズ日劇、TOHOシネマズ梅田ほか
全国ロードショー
12月11日(木)前夜上映決定(一部劇場を除く)

■監督 デヴィッド・フィンチャー
■原作・脚本 ギリアン・フリン
■出演 ベン・アフレック ロザムンド・パイク ニール・パトリック・ハリス タイラー・ペリー キャリー・クーン キム・ディケンズ
■149分

(c)2014 Twentieth Century Fox.