一宮千桃のスピリチュアル☆シネマレビューPART.58「想いのこし」

突然死んでしまった魂の未練をかなえる
感動号泣必須の感動作!!

突然死んでしまったら、大抵の人はこの世に未練が残るだろう。その未練のために多くの魂は天上に行けず、浮遊霊としてこの世をうろうろする。そのさまよう魂を天に上げて浄化させてくれる人というのはいて、それが霊能者と呼ばれる人だ。本作はその浮遊霊たちの未練、言えば「想いのこし」を浄化していく話を、極めて感動的に、かつエンターテインメントに仕上げた秀作である。

お話は、シングルマザーのユウコと彼女の職場の仲間3人が交通事故に遭い、即死。その事故の原因となったダフ屋のガジロウは霊能者ならぬ、チャラい男で、快楽主義的に日々ちゃらんぽらんに生きている最低男だった。しかし、死んで霊となったユウコたちの姿を見れるのはガジロウだけ。ユウコたちはガジロウに自分たちのこの世での思い残しを解消してもらおうとするのだが・・・というもの。

私たちは目にみえない存在に、
逝ってしまった魂に見守られている

いや、もう、号泣でしたね。
こういう話はよくあるものだと思うんだけど、やはり、すでに死んでしまっている・・・ということがなんと涙を誘うことか! そう、もうどうやっても今生では会うことができないのだ。

でも、その死んだ魂は残した家族や恋人、仲間、友人たちのことを想っていて、その強い想いは残してきた人たちに必ず伝わる! というのは嬉しくて、それを見せられると人は泣いてしまうのではないだろうか。私たちは目に見えない存在に常に見守られている、だから大丈夫なんだ、と安心させられるから。と、ここまで書いて映画を思い出しちゃって涙がどあーっと出てしまいました・・・体勢を立て直して涙目で再開(笑)。

最初に私の涙腺がゆるんだのは、結婚式を控えたルカが、死んだけど式を挙げたいということで、ガジロウが花嫁となって式を挙げるのだが、そこで夫が泣きながらおっちょこちょいだった恋人に「死んだらだめだよ、ルカ・・・」と言うのだ。まるでいたずらしたらだめだよ、みたいな感じで死んだらだめだ、と言うので、その子どもみたいなもの言いに思いがけずうるっとして自分でも驚いた。そう、死んだらだめなんだよっ。
またうるうるっしてきました!

それから、好きな野球部の男の子の試合を見守るケイのエピソード。ここからはタラタラ涙が。そして、やはりラストですね。広末涼子(広末巧い!!)と息子とのエピソードではボロボロ号泣状態! ああ、この泣けて泣けての感じ、なんかの映画に似てるなあ、と思っていたら、監督が「ツナグ」の平川雄一朗。あーっ「ツナグ」と雰囲気が似てるのだ! 「ツナグ」も死者と生者の世界を描いてて号泣でしたもの。

岡田将生の花嫁姿、ポールダンス!
広末の抑えた演技と役者陣大奮闘!

さて、本作。見所多数ながら、役者が奮闘してます。
まず、ガジロウ役の岡田将生。彼、演技力あるね。すごく最近いいです。「告白」以来のチャラい男ガジロウ役、意外にはまってたし。が、何より驚いたのはウエディングドレス姿が凄まじく美しかったこと! 大柄な美女というのはこういうのを言うんだな、と感心(笑)。そしてポールダンス姿!! これも美しかった!! ポールダンスはユウコの職場がポールダンスを見せるバーということで、女優陣+岡田くんはポールダンスを大特訓。皆素晴らしいショーを見せてくれる。特に広末は素晴らしかった!! 彼女は演技も上手で、ちょっと別格のノリですね、最近。

はーっ。もう久々に泣きながら原稿書いてしまいましたが、すっきり(笑)。
本作を観て思いっきり泣いて、すっきりしてくださいな。
そして、私は見守られている、だから大丈夫。と、安心して生きていってくださいね。

■11月22日(土)~全国ロードショー

■監督 平川雄一朗
■原作・脚本 岡本貴也
■脚本 HARU
■出演 広末涼子 岡田将生 木南晴夏 松井愛莉 巨勢竜也 鹿賀丈史
■118分

©2014「想いのこし」製作委員会
公開日 :2014年11月22日