一宮千桃のスピリチュアル☆シネマレビューPART.52 「ジャージー・ボーイズ」

一宮千桃のスピリチュアル☆シネマレビューPART.52 「ジャージー・ボーイズ」

伝説のポップグループ「フォー・シーズンズ」の
栄枯をこの上なく面白く描いた秀作!

「ザ・フォー・シーズンズ」・・・?
60年代に(ビートルズ以前)絶大なる人気とヒットを放ったポップグループ。彼らの話がブロードウェイでミュージカルになっていて、それをクリント・イーストウッドが映画化したという。
ふうん・・・。そのグループもミュージカルも全然知らん。しかも、主演の4人は観たことも聞いたこともない俳優ばかり。
うーん・・・と思ったものの、クリントの映画なのでとりあえず足を運ぶ。
そして、134分という長丁場、私は一分なりとも退屈せずに、心奪われて、ワクワクしながら映画を楽しんだのである(笑)。

しかも、知ってましたよ! フランキー・ヴァリ! 前半で主役の少年フランキーのミドルネームを「イタリア系なら絶対ヴァリよ!」と後の妻になるメアリーがつけるシーンで「えっフランキー・ヴァリの話か!」と驚いたのでした。でも、声の高い大御所歌手、としか記憶が無かったので、ヒット曲「シェリー」や後半に登場するあの有名な「君の瞳に恋してる」がかかった時には、「えーっ!!この曲ってフランキー・ヴァリの曲だったのぉ!」と驚愕したのである。
というわけで、なんかパズルがカチッと合わさったような気持ち良さも味わえて、ひとつ賢くなったな、てのと彼のとった選択に痛く心動かされたのだった。

人を「許す」ことができる人を
神様は大好きなのだ

さて、話は1951年のニュージャージー州から始まる。
イタリア移民の子であるフランキーは歌手として成功したいと思っているが、日々やってることはチンピラまがいの犯罪。しかしリーダー格のトミーはフランキーの才能を信じて常に彼を助け励まし、バンド活動を精力的にやっていた。
ある日彼らのバンドにボブという新メンバーが加わり、彼の作る曲によってフランキーたちは「ザ・フォー・シーズンズ」として世に出ていくことになる・・・。
4人の激動の半生を歌を挿入しながら流れるように魅せる。50~70年代の風俗も楽しい。見所のひとつだ。

そして、私が一番心動かされたのは、トミーの莫大な借金によって、バンドが解散することになってからの展開だ。フランキーは借金がばれてトミーがすがるように「友達だろ?」と泣きつくのに「友達? お前は俺の子どもの誕生日にカードひとつ、プレゼントひとつくれたことがあったか? 俺を気遣ってくれたことは? お前はいつも他人と争って、自分が優位にたつことしか考えていない! それが友達か!?」と罵倒する。しかし、彼はトミーの借金を、地方をどさ廻りして一人で何年もかかって完済するのだ。
まあ、もともとバンドに誘ってくれたのもトミーだし、トミーがいたからこそ、フランキーは歌手になれたとも言えるのだが、フランキーの選択は考えさせられる。ここで、自分がトミーの借金を返すことによって、その後のフランキー・ヴァリというソロ歌手の成功があったと思うからだ。そういう意味ではトミーはフランキーにとってのソウルメイトなのだろう。
また「許す」ということができるフランキーは成功して当たり前とも思う。今も現役の歌手(79歳)というのも驚きだが、むべなるかな、である。
人を許すことができる人を、神様は大好きなのである。

かつて私の友人の韓国人が「何かあった時には自分が損したほうがいいのね」と言っていた。当時「へっなんで?」と返した私だったが、今ではその言葉が良く分かる。
そんな彼女の言葉を思い出した作品だった。

いろんな人生指南が詰まっている映画である。

『ジャージー・ボーイズ』
■監督 クリント・イーストウッド
■脚本 マーシャル・ブリックマン リック・エリス
■出演 ジョン・ロイド・ヤング エリック・バーゲン マイケル・ロメンダ ビンセント・ピアッツァ クリストファー・ウォーケン マイク・ドイル
■9月27日(土)~ 大阪ステーションシティシネマ他全国ロードショー(丸の内ピカデリー、新宿ピカデリー他)
© 2014 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC ENTERTAINMENT
■134分
■公式HP Jerseyboys.jp
■配給 ワーナー・ブラザース映画