アンガーマネジメントVol.36 ~ 効果的なクレームの入れ方 ~

“良クレーマー”になるには?

よく「クレームを言う客の対処法」は聞くのですが、「いいクレームの入れ方」というのは余り聞きませんね。今回はそんな「効果的なクレームの入れ方」をご紹介します。
自分の権利を主張するのは大切ですが、モンスターにならずに、まずは下記2つのポイントを押さえて下さい。

ポイント1:冷静な態度で、なるべく丁寧な口調で話す。
相手だって人間です。甘く見られたらダメだ!といって必要ないのに威圧したり乱暴な言葉遣いをすると、相手にこちらの伝えたい事が伝わりません。
乱暴な振る舞いをすると、相手は「闘うか・逃げるか」のどちらかを本能的に選択したくなります。あなたの狙いは相手に自分の言い分を聞いてもらうこと。冷静に淡々と事実を語ると、逆に相手は「この客巻けない……」と感じるでしょう。冷静に話されると結構コワいものです。

ポイント2:言いたい事は1つに絞る。
エキサイトしてくると、あっちもこっちも!と色々な枝葉を積んで火を燃やそうとしてしまいます。でもクレーム内容は1つに絞って下さい。

私が先月体験したお話をします。
携帯電話のキャリアをA社からB社に変えるついでに、機種も変えました。ところが、そのB社で抱き合わせ販売をされたのです。
私は以前営業をしてましたし、携帯やネット回りも無知な方ではありませんが、気付いたらいらないポケットwi-fiを契約してしまっていたのです。(私に非があったというご批判は甘んじて受けましょう)
家に帰って気付いたので、商品を受け取りに行く予定だった翌日に「これは解約して下さい」と伝えると「通信業法でクーリングオフができません」と担当者も引き下がらないので私もかなり頭に来ました。

何を解決したいのかを優先して考えよう

まず、この時点で何も意識しないとこんなクレームを入れたくなる訳です。
「私がポケットwi-fi既に持ってて、あげくにテザリングできる携帯も契約してるって伝えてるのに、何でまた更に一台買わせる訳?こんな最悪なサービス受けたの人生で2回目位だわ。おまけにすっごいケバい化粧。キャバクラじゃないんですけど?この店舗ではこういう営業の仕方をしろって教育してんの!?」
こういう風にあれもこれも出て来たら、まずその中で一番伝えたい事は何なのか考えます。
私の場合「抱き合わせ販売されたので、ポケットwi-fiを解約してもらう」のが論点でした。
なので、ネットなどでこれが解約できる事例を一応集めつつ、この事のみを相手に伝える訳です。

その時に「会社の教育がなっとらん!」とか「化粧ケバいんだよ!」というのは論点から外れます。私はB社の教育を改革するつもりも、お姉ちゃんの化粧の仕方を指導したい訳でもありません。
「センターに問い合わせています」などのらりくらりとされたのですが、こちらも3日間と期限を設けていたので、それまで毎日進捗状況を電話で聞いたら前日に来店不要であっさり解約できました。

また先日研修を担当していた際、「タクシーの運転手にこちらが低姿勢で話しかけているのに、向こうから上から目線の言葉遣いをされてムカついた」という方がいました。この場合、
①こちらが低姿勢だったのに関わらず、向こうの態度が横柄だから頭に来たのか
②上から目線の言葉遣い自体に頭に来たのか
と考えます。そうすると、ほとんどの場合②になります。
なので、どうしてもタクシー会社にクレームを言いたくなったら「こっちが敬語で話してやってんのにねぇ〜!」といった余計な一言は付け加える必要はありません。

あれも言いたい!これも言いたい!となってくるのが人情ですが、1つに絞る位に意識を持って行ってちょうどいいんです(それでもおそらく気付けば3つ位相手にぶつけているでしょう)。
相手に関係ない事をぶつけるほど、自分の論点もズレて解決が難しくなります。このテクニックを使うような状況が来ないのが一番ですが、もしクレームを言いたくなったら、論点を1つに絞り、冷静さを保つよう心がけて下さい。