口伝で継承された宇宙の真実とは?ヘルメスの教えを現代に伝える原典「キバリオン」

ザ・キバリオン「引き寄せの法則」の原典PART.2

偉大な賢者の指導者ヘルメスとは?


第2回「キバリオンの歴史とヘルメスについて」

その後の数千年にわたり、世界中のあらゆる人種・国家・民族の生き方や考え方に多大な影響を与えた思想が、古代エジプトに生まれました。神秘家達の総本山がエジプトにあり、入門者はその神殿によって学び、各界のマスターとなり四方へと旅立って行き、その教えを広めたとされています。その教えを説いた、誰一人としてその存在を越えることはおろか、並ぶことすら出来なかった偉大な人物がヘルメス・トリスメギストスです。

【①原文】
There is no portion of the occult teachings possessed by the world which have been so closely guarded as the fragments of the Hermetic Teachings which have come down to us over the tens of centuries which have elapsed since the lifetime of its great founder, Hermes Trismegistus, the “scribe of the gods,” who dwelt in old Egypt in the days when the present race of men was in its infancy. Contemporary with Abraham, and, if the legends be true, an instructor of that venerable sage, Hermes was, and is, the Great Central Sun of Occultism, whose rays have served to illumine the countless teachings which have been promulgated since his time. All the fundamental and basic teachings embedded in the esoteric teachings of every race may be traced back to Hermes. Even the most ancient teachings of India undoubtedly have roots in the original Hermetic Teachings.

【②訳】
人類の揺籃期である古代エジプトに住んだとされる”神々の書記”、偉大な創始者、ヘルメス・トリスメギストスの時から現代まで数千年の時を経て、私たちへたどり着いたこのヘルメスの教えは、他に例をみないほど守られ、継承されてきた。
エイブラハムと同時代の人であり、もし伝説が真であるならば、偉大な賢者の指導者であるヘルメスはかつて、そして今もなお、オカルティズムの中心となる偉大な太陽である。その光は彼の時代以降広められてきた無数の教義を照らしてきた。
あらゆる深遠な教えに内包される全ての基本的で基礎的な教えはヘルメスへとさかのぼる。インドに伝わる最古の教義でさえ、その源は間違いなくヘルメスの教えに帰結するのだ。

ヘルメスが説いた錬金術の真実

【③解説】
最近のさまざまな実験において「人の意識が、物質に影響を及ぼす」ということが分って来ました。
「見えないものが、形あるものに影響を及ぼす」
ヘルメス・トリスメギストスは錬金術の始祖とされていますが、ヘルメスの説いていた錬金術とは、まさにこのことを示していました。

決して何かの金属を金に変えるための教えではなく、人の持つ精神の力を変容させることで、さまざまなものをつくり出せることについて説いたものでした。

では、ヘルメス・トリスメギストスとは、いったいどんな人物だったのでしょうか?
ヘルメス・トリスメギストスとは、「三倍に偉大なヘルメス」という意味があります。それはギリシャ神話のヘルメス神と、エジプト神話のトート神がヘレニズム時代に融合し、その力を併せ持つ神人であったためと言われています。一説にはこの世に3回転生した偉大な賢者であったとか、ピラミッドを建築した人物だとか、数百年以上生きたとか、真実は謎に包まれ、さまざまな説があります。

その中でも明らかなのはヘルメスの教えの「錬金術」「占星術」「読心術」は形を変え、その後の「化学」「天文学」「哲学・心理学」などへと発展して行ったことでしょう。私たちが活用している多くの学びが、ヘルメス・トリスメギストスによってもたらされたというのは驚くべきことであり、その源泉を理解することは、大いなる叡智に触れることでもあります。

「口伝」で継承されてきた宇宙の真理

それだけ偉大であったヘルメスですが、「エメラルドタブレット」以外、彼自身が残したとされる文章はほとんど残っていません。一説にはヘルメスの教えを学ぼうとした人々は迫害され、真実は秘密裏に「口伝」によって継承されて行きました。なので数年前に流行った、宇宙の7つの法則の1つである「引き寄せの法則」を扱った本の名前が「シークレット」と名付けられたのです。

「hermetic」という語は現代でも「密教」「密閉された」「神秘学・錬金術」として使われています。ヘルメスの教えは師から生徒、秘伝者から入門者に口伝によって伝えられ、文字によって残されるものは「KEY(鍵)」を持つものだけが理解出来るよう、占星学や錬金術の用語で隠されたのです。

「キバリオン」はヘルメス錬金術の基本原理を構成しているものです。卑金属を金に変える「賢者の石」こそ、ヘルメス哲学特有の比喩と言えるでしょう。

なので「キバリオン」も原文は、あえて曖昧とも取れる文で構成されていますが、それは読み手の奥深くにある「真実の扉」へと導いてくれる珠玉のメッセージ集なのです。

ここに書かれているメッセージは、数千年前に書かれたにもかかわらず、私たちに新鮮な気づきを与えてくれます。それは、そこにゆるぎない宇宙の真理があるからに他なりません。

次回からはいよいよ、ヘルメス思想の中核である「THE ALL」についてお伝えして行きます。

メタ・シークレット・ユニバーシティー
よしだ ひろちか