一宮千桃のスピリチュアル☆シネマレビューPART.43 『観相師―かんそうし―』

一宮千桃のスピリチュアル☆シネマレビューPART.43 『観相師―かんそうし―』

顔にはその人の全てが表れる
天才観相師が巻き込まれる波乱万丈歴史絵巻

顔を見るだけで性格から寿命まで見抜くという天才観相師が、この映画の主人公だ。
私も顔相には興味があって、顔相関連の本を何冊も読んで研究したことがある。それで、顔相だけではなくて、頭の形や声、体つき、手、歩き方、服装、靴、時計、鞄などの持ち物からだいたいその人の性格や人柄や信条あたりは分かるようになった。

「四十歳からの顔は自分でつくるもの」、と良く言われるが、本当に、歳がいってからの顔には「その人」がずばり出ると思う。どのような人生を送ってきたのか、面白いように顔は全てを語っている。

私も十代のぼんやりした顔から独立した今ではずいぶんはっきりした顔になってきたもので、別人のような変わりようである。

劇的クライマックスに驚愕しつつ
非情に胸痛み救いに安堵する

さて、映画の話に戻ると、舞台は十五世紀半ばの朝鮮王朝時代。くだんの天才的な眼力を持つ観相師が、都に上り観相業で一旗挙げようとするのだが、宮廷の王位略奪争いに巻き込まれ……というもの。

この作品は当時実際にあったクーデターをモチーフにしていて、話は歴史に奔流されるがごとく波乱万丈な展開を迎える。

史実を元にしていると知らなかったし、コメディタッチで進んでいくので、気楽に面白可笑しく観ていたのだが、クライマックス思ってもみなかった方へ進んで、しかも韓国映画、そこまでやるか!? と言うこれでもかっこれでもかっという非情な展開になって、震え上がってしまった。まあ、そこまでやるからこそ、強い感動が得られるのだけど……。韓国映画というものは、本当に容赦なく人生の非情を見せ付けられる思いが毎度する。
しかし、ちゃんとラストは時間を経て、という救いがあるのがまた韓国映画の特徴でもある気がする。

人生の無常観に浸れる喜び
名優たちの演技合戦も堪能できる力作

本作の見所は、お調子者の観相師が都で成功して宮廷に仕えるようになっていく過程、そこで発揮する観相見の諸々。そして、王位を狙う王の弟による謀反とそれを阻止しようとする観相師の微力ながらの奔走。しかし、歴史はその全てを飲み込んで無力な人々をなぎ倒して平気な顔で去っていく、その無常、だろう。

優れた韓国映画というものは、人生を思わせる。そして、「ああ、無常」と思わせられる。しかし、「ああ、人生ってほんと無常だなあ……」としみじみ浸れる喜びというのもあり、それを得られるのも、また韓国映画なのだ。あっ優れた、ね。

韓国人の女優として初めて好きになって(初めて見たのはアメリカ映画だったけど、監督は韓国人だった)、ずっと今でも一番好きな韓国人女優キム・ヘスが出演していて、相変わらず美しかったのが印象深い。
登場する俳優たちのりっぱな顔を観ながら、演技合戦+あれこれ顔相を読む楽しみもあった、歴史娯楽の力作である。

『観相師-かんそうし-』 
6月28日(土)シネマート心斎橋、京都シネマ、OSシネマズ神戸ハーバーランドから公開
http://www.kansoushi.net/

監督:ハン・ジェリム
脚本:キム・ドンヒョク
出演:ソン・ガンホ、イ・ジョンジェ、ペク・ユンシク、チョ・ジョンソク、キム・ヘス、イ・ジョンソク
2013年/韓国/139分/スコープサイズ/5.1chデジタル
配給:ツイン
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