東日本大震災からの奇跡の復活~『紙つなげ! 彼らが本の紙を造っている 再生・日本製紙石巻工場』

東日本大震災からの奇跡の復活~『紙つなげ! 彼らが本の紙を造っている 再生・日本製紙石巻工場』

出版界と製紙業界を襲った未曾有の大惨事は、やがて感動の嵐になっていった!
2011 年3 月11 日に発生した東日本大震災により、甚大な被害を受けた日本製紙石巻工場の奇跡の復興を追ったノンフィクション! 「雑誌が発行できない」、「発売日をずらせ」、「工場は死んだ」……。

日本製紙石巻工場とは?

百田尚樹『永遠のゼロ』(講談社文庫)、沖方丁『天地明察』(角川文庫)、東野圭吾『カッコウの卵は誰のもの』(光文社文庫)、池井戸潤『ロスジェネの逆襲』(単行本・ダイヤモンド社)、桜木紫乃『ホテルローヤル』(単行本・集英社)、『ONE PEICE』、『NARUTO―ナルト―』(ともに集英社)、「TIME」(雑誌・タイム社)など、日本の出版用紙の約4 割を担っている日本製紙の基幹工場。

ほかにも広告用紙、新聞用紙、雑誌用紙、コピー用紙など、1日85 万トンの紙を生産している。東日本大震災で工場は津波に飲みこまれ、機能が完全停止。石巻市の3 分の1 の人が関連しているこの工場が閉鎖されれば、石巻市の復興もありえない。多くの人は感じた、「工場は死んだ」「1 年かかっても機械は動かせない……」と。

2013 年4 月11 日。各地の書店に行列ができた。この日発売される村上春樹の新作『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』を買うための列だ。出版不況といわれる中、本の発売日がこれほど話題になることは珍しい。このニュースを興奮気味に見守っている人々が東北にいた。日本製紙石巻工場の従業員たちだ。

2011 年3 月11 日、宮城県石巻市にあり、石巻湾に面して立地していたこの工場は津波に飲みこまれ、構内は流れ込んだ死体が累々としていた。工場の機能は完全に停止した!
石巻市の3 分の1 の人が関連しているこの工場が閉鎖されれば、石巻市の復興もありえない。しかし、その惨状を見た者たちは、「工場は死んだ」「1 年かかっても、機械は動かせない…」「日本製紙は石巻を捨てるだろう」と感じるほどだった。

不可能と思われた復興までの道のり

出版業界では、3 月末時点で発売延期となった雑誌は234 誌、発売中止となった雑誌は16 誌にのぼった。印刷・出版業界では、「雑誌の発売日をずらすしかない」、「本の紙が足りない」「雑誌のページを減らさないといけない」といった話が飛びかい、出版に携わる多くの人間が、この時にはじめて紙がどこで作られているのか知った。「石巻だったんだ。知らなかった……」と。

そんななか、震災後2 週間余、余震の続く3 月29 日に工場入りした日本製紙社長の芳賀は、復興を宣言。さらに、工場長の倉田は、出版用紙を生産するマシーンを半年で再起動させる目標を立てた。その日から、日本製紙石巻工場の苦しくも栄光の闘いは始まった。幸い従業員には死人は出なかったが、電気もガスも水道も復旧していない状態での作業は困難を極めた。だが、それぞれの部署がそれぞれのやるべきことをやったことで、多くの従業員が無謀だと考えていた半年間での復旧が実現した。

その様子を従業員の一人は「駅伝と同じで、自分がギブアップをしたら迷惑がかかる。みな、意地になってタスキをつないでいた」と語った。日本製紙の全面協力のもと、多くの従業員へのインタビューを行い、徹底した取材で活写した衝撃のノンフィクション。
あなたも必ず泣きます!

■佐々涼子(ささ・りょうこ)さんプロフィール
1968 年生まれ。早稲田大学法学部卒業。日本語教師を経て、ノンフィクションライターに。新宿歌舞伎町で取材を重ね、2011 年『たった一人のあなたを救う駆け込み寺の玄さん』(KK ロングセラーズ)を上梓。2012年『エンジェルフライト 国際霊柩送還士』で第10 回集英社・開高健ノンフィクション賞を受賞。さまざまなメディアで取り上げられ、現在は7.5 万部を突破。ロングセラーとなっている。

『紙つなげ! 彼らが本の紙を造っている 再生・日本製紙石巻工場』
著者:佐々 涼子
出版:早川書房
価格:1,620円