生き残った苦悩…僕に課された使命~『消えた画(え) クメール・ルージュの真実』

当時13歳だった少年が 大人になり、カンボジアの歴史を明らかにする

本年度アカデミー賞〈外国映画賞〉ノミネート作品 第66回カンヌ国際映画祭<ある視点部門>グランプリ受賞 第38回トロント国際映画祭 正式出品作品 第51回ニューヨーク映画祭正式出品 『アクト・オブ・キリング』はインドネシアで共産主義者を虐殺した側の「演劇療法」だったが、これはカンボジアで共産主義に虐殺された側の「箱庭療法」だ。人民の血を吸った土人形で取り戻そうとする失われた少年時代が胸に迫る。 ————町山智浩(映画評論家) リティ・パニュは思いもつかないやり方で歴史を再現し、カンボジアの虐殺や人々の記憶を、丹念にそして緻密に掘り起こし、驚くべき作品をつくり上げる。 −−−ジョシュア・オッペンハイマー(『アクト・オブ・キリング』監督)

“悪”は人々の美しい思い出まで支配できるのだろうか? 数百万人の死者が眠る大地から作られた人形たちと、 狂気により葬られたフィルムが、いま、光と闇の記憶を語り始める−−−

映画監督リティ・パニュは、幼少期にポル・ポト率いるクメール・ルージュによる粛清で最愛の父母や友人たちを失いました。クメール・ルージュ支配下に数百万人の市民が虐殺され、カンボジア文化華やかし時代の写真や映像はすべて破棄されたのです。その失われた映画や写真は果たして甦るのか? 奇跡的に収容所を脱出し映画監督になったリティ・パニュは「記憶は再生されるのか」というテーマを追求し、あの体験をいまに伝えることを自らに課してきました。そして本作で、ひとつの答えに辿りついたのです。 犠牲者の葬られた土から作られた人形たちが、35年前の虐殺の成り行きを語り始め、発掘された映像によってその悲劇が紐解かれていく……。

世界がディスコや『スターウォーズ』に夢中になっていた時代 カンボジアで何が起きていたのか……

13歳でクメール・ルージュの大虐殺から生き延びた少年が到達した かつて誰も見たことがない光景 昨年のカンヌ国際映画祭〈ある視点部門〉で上映、名匠リティ・パニュが初めて自らの過酷な人生を、土人形に託して描いた作品として絶賛されグランプリを受賞しました。繰り返される人間の愚かさと醜さを、それとは正反対の繊細さと表情豊かな人形で表現し、本年度のアカデミー賞外国映画賞にカンボジア映画として初めてノミネートされ、公開が熱望されていた『消えた画 クメール・ルージュの真実』。 フィクションとドキュメンタリーというジャンルを超えて、これまで数多くの作品でカンボジアの悲劇を描いてきた、リティ・パニュ。カンボジアの幸せな家庭に育ちながら、クメール・ルージュの支配により、たったひとり13歳でカンボジアを脱出するという、誰も経験したことのない人生を本作で初めて描きました。

「すべてのファシズムはウソから始まる」 歴史は繰り返されるのか

1975〜1979年 カンボジア クメール・ルージュによる虐殺の記憶…… 色鮮やかなカンボジアの文化が、クメール・ルージュによる“黒”と紅い旗とスカーフだけの世界に突然、一変。人形と交互に現れるプロパガンダ映像に登場するポル・ポトはいつも笑顔。ベトナム戦争を背景とした冷戦下の大国の対立に端を発した、クメール・ルージュによる悲劇。なぜ、陰惨な歴史は繰り返されるのか。リティ・パニュとフランス人作家、クリストフ・バタイユによって書かれたことばが、犯罪と歴史の記憶を暴いていく。   『消えた画(え) クメール・ルージュの真実』 2014年7月上旬、ユーロスペースにてロードショー! http://www.u-picc.com/kietae/ 脚本・監督:リティ・パニュ ※2014年6月下旬、「抹殺(仮)」として現代企画室より、翻訳書が出版決定 製作:カトリーヌ・デュサール テキスト:クリストフ・バタイユ ナレーション:ランダル・ドゥー 音楽:マルク・マーデル 人形制作:サリス・マン 撮影:プリュム・メザ 編集:リティ・パニュ、マリ=クリスティーヌ・ルージュリー 共同製作:CDP(カトリーヌ・デュサール・プロダクション) アルテ・フランス ボファナ・プロダクション 原題:『L’Image manquante (英題:The Missing Picture)』 2013年/カンボジア・フランス/フランス語/HD/95分 協力:東京フィルメックス、現代企画室、シネマトリックス、ユーロスペース 配給:太秦 © CDP / ARTE France / Bophana Production 2013 – All rights reserved