「コミットした人生を生きる」という幸せ。「ソウル・オブ・マネー」リン・トゥイストさん講演レポート

世界的に活躍するファンドレイザー(資金調達の専門家)であり、書籍『ソウル・オブ・マネー』の著者であるリン・トゥイストさんが、先週「地球市民として生きる」のイブニングレクチャーを行われました。その模様をレポートします。

頭のなかに流れる
心配のノイズから自由になる方法

ファンドレイザーは、寄付や資金を集めるのが主なお仕事。今回の講演でリンさんが強く推していたのは、「コミットした人生を生きる」ということでした。

『お金のこと、子どものこと、仕事、将来、結婚のこと…。私たちは小さいことにとらわれがちで、いつも頭のなかにノイズが流れています。ですがこれらはネガティブな祈りなのです』

心配することは、ネガティブな結果になってしまうことを祈っているのだと語るリンさん。だからこそ、もっと大きなものに委ねる、コミットメントした人生を生きることが大切だそうです。

『私自身も、ワールドハンガープロジェクトに参加すると決めてから人生も変わりました。“世界の飢餓を終わらせる”というコミットがあるから、毎朝起きるのが楽しくて、毎日どこへ行き、何をすればいいかも示されるのです』

リンさんが語る「コミットメント」とは、「立場」をとるということ。
右と左、上と下というように、一部の立場をとれば対極の立場があり、世の中はその視点の違いが葛藤を生んでいるそうです。
その立場について力強いコミットメントをした例として挙げられたのが故マンデラ大統領でした。

マンデラ大統領のコミットメント
「憎んでいたことを許してください」

『マンデラ大統領は、監獄での17年間、2人の看守にしか会いませんでした。その2人は、マンデラ氏に虐待など辛くあたるわけですが、ある時マンデラ氏は“この看守を愛する方法を見つけよう。なぜ彼らが私を憎むのか、白人の人を理解し、愛する立場をとろう”とコミットしたのです。

憎む気持ちを捨て、ただ愛するという敬虔な気持ちを持って理解しようと自分の場を整えたんですね。そのコミットメントがムーブメントを動かし、アパルトヘイトを終わらせました。

大統領就任式で、彼は2人の看守を主賓に迎え、“17年間、私が気づきを得るまで憎んでいたことを許してください。私は彼らを許し、受け止めます”と、皆の前で語りました。その言葉に、看守たちも、式の来客たちも皆が泣いていたのです』

コミットした人生は、私たちを心配から引き上げ、小さな文句を決意に変容してくれるそうです。愚痴を言う前に、コミットのために何かしようという行動に移すことができると語るリンさん。

講演の後、参加者は周りの人たちと自分のコミットメントをシェア。
マンデラ大統領のように、許しを体現することは決して並々ならぬコミットメントだと思います。ですが、一人ひとりの力は小さいけれど、リンさんのお話が小さな一歩を踏み出す勇気をくれました。

<プロフィール>
リン・トゥイスト Lynne Twist

世界的な活動家で資金調達の専門家。そしてコンサルタントでもあり著述家。NPO法人「ハンガー・プロジェクト」において、資金集めの責任者として活躍し、2億ドル以上もの資金を集める。40年以上にわたって多くの世界的な飢餓撲滅・熱帯雨林保護・女性と子供の健康と経済や社会的地位などの問題を解決する活動に中心的な存在として携わってきた。主な著書は「ソウル・オブ・マネー」。人々や組織がお金との調和した関係を築くための教育、支援などを行なっている。

取材協力:JMA・アソシエイツ http://www.jma-inc.jp/