“現代”と“孤独”を痛々しいほどに描き出す~巨匠・蔡明亮監督最後の作品『郊遊<ピクニック>』

“現代”と“孤独”を痛々しいほどに描き出す~巨匠・蔡明亮監督最後の作品『郊遊<ピクニック>』

台湾の巨匠
蔡明亮最後の傑作

2013年9月、ヴェネチア国際映画祭で突然発表された蔡明亮(ツァイ・ミンリャン)監督の引退。
1992年の長編第一作『青春神話』に始まり、『愛情萬歳』『河』『西瓜』など数々の傑作を発表してきた台湾の巨匠の長編第10作にして、掉尾を飾る映画作品が、本作『『郊遊<ピクニック>』である。

第一作から描きつづけてきた“現代”と“孤独”を、これまで以上に大胆な描写で、繊細に、豊饒に映し出す圧倒的な映画の力。有無を言わさず目に灼きつける強靭さと、いくつもの物語を包含する自由さ。映画史上に残る驚異的な長回しのラストカットにいたるまで、ワン・カット、ワン・カットに映画が立ち上がる。まさに「ここまで来た」と感嘆せずにいられないツァイ・ミンリャン最後の傑作である。

現代の台北
果てなき孤独を照らす、異界の光

父と、幼い息子と娘。水道も電気もない空き家にマットレスを敷いて三人で眠る。父は、不動産広告の看板を掲げて路上に立ち続ける「人間立て看板」で、わずかな金を稼ぐ。子供たちは試食を目当てにスーパーマーケットの食品売り場をうろつく。父には耐えきれぬ貧しい暮らしも、子供たちには、まるで郊外に遊ぶピクニックのようだ。だが、どしゃ降りの雨の夜、父はある決意をする……。

映画監督として最後の作品となる、本作で初めてツァイ・ミンリャンが描く子供の姿。それはまるで、まだ人ならざるクリーチャーのように異界からの光を放つ。だが、子供は、やがて人になり、人間の絶対的な孤独を知る。人であるということは、孤独であることと同義だと言うように。

金馬奨でついに主演男優賞を獲得した
李康生

主演はツァイ・ミンリャン作品の顔である李康生(リー・カンション)。第一作『青春神話』からツァイ監督の作品で“小康(シャオカン)”という青年を生きてきた彼が、父親役を演じていることに感慨を抱かないファンはいないだろう。リー・カンションは本作でついに、デビュー21年を経て、中華圏で最も歴史ある映画賞である金馬奨の最優秀主演男優賞を受賞。

審査委員長のアン・リー監督は、「驚くほどに素晴らしい演技」と絶賛した。出演は他に、ツァイ作品を支えて来た三人の女優、陳湘琪(チェン・シャンチー)、陸弈靜(ルー・イーチン)、楊貴媚(ヤン・クイメイ)。

幼い娘と息子を演じるのはリー・カンションの姪と甥である。スタッフには、エドワード・ヤンや侯孝賢(ホウ・シャオシェン)作品などの台湾ニューウェイヴから香港映画、日本映画でも活躍する音響の名手である杜篤之(ドゥ・ドゥージ)を始め、『青春神話』からツァイ作品に欠かせない台湾映画界の重鎮カメラマンの廖本榕(リャオ・ペンジュン)らが結集している。

<以上プレス資料より転載>

『郊遊<ピクニック>』
8月下旬、シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開!
http://www.moviola.jp/jiaoyou/
(C)2013 Homegreen Films & JBA Production

監督:蔡明亮(ツァイ・ミンリャン)
脚本:董成瑜(ドン・チェンユー)蔡明亮(ツァイ・ミンリャン)鵬飛(ポン・フェイ)
撮影:廖本榕(リャオ・ペンロン)、宋文忠(サン・ウェンチョン)、
音響:杜篤之(ドウ・ドゥージ)郭禮杞(クォ・リーチー)、絵画:高俊宏(ガオ・ジュンホン)
出演:李康生(リー・カンション)、楊貴媚(ヤン・クイメイ)、陸奔静(ルー・イーチン)、
陳湘琪 (チェン・シャンチー)
配給:ムヴィオラ

2013年|台湾、フランス|138分|DCP|カラー|1:1.85|中国語
後援:台北駐日経済文化代表処

2013ヴェネチア国際映画祭 審査員大賞 受賞
2013金馬奨 最優秀監督賞・最優秀主演男優賞 受賞