心理セラピストが語る!「私、記憶を消したい!」~消せない記憶~

心理セラピストが語る!「私、記憶を消したい!」~消せない記憶~

消したい記憶ありますか?

記憶を消したいという人が多いです。
思い出しただけで具合が悪くなるような、吐き気を催すような思い出、もしかしたらあなたも1つや2つくらい持っているかもしれません。僕もそんな記憶はたくさん持っています。

その影響か、毎晩のように悪夢を観て苦しくなったり、逆に目覚める事が怖かったり。いっそ記憶を消すことが出来たらどんなに楽か……。
そんなふうに考えたことはありませんか?

「催眠で記憶を消して下さい!」という声もたくさんあるようです。僕もたまに言われます。確かにヒプノセラピストは記憶に関する技法も存在します。しかし、はっきり言っておきますが、記憶を強引に消そうとするのは実は問題解決にはつながらないということは覚えておいて下さい。催眠で記憶をコントロールするのは、セラピストにもよりますが、せいぜい「3という数字を一時的に思いだせなくする」とかその程度だと思って良いと思います。しかも半永久的といったことはまずありません。

そんなわけで今回は「記憶を消したい!」というテーマのお話をします。
先ほど記憶を強引に消そうとしても解決につながらないと言った意味を説明します。

まず、記憶って完全には消せないと思って下さい。PCをイメージして戴くとわかりやすいと思います。ファイルをゴミ箱に入れて削除すると、そのデータは消えて無くなります。たぶん、記憶を消したいというのはそういうことをしたいのでしょう。しかし、PCのデータって、実は削除してもデータが消滅したわけではないのです。ちょっと詳しい人だと、完全には不可能でもある程度データを復元できますよね。つまりデータは残っているのです。人間の記憶も似ていて、「記憶を消す」という表現は正確ではないのです。
「思い出しにくい状態になっている」という解釈の方がわかりやすいかもしれません。

だから、強引に記憶を操作したところで記憶は基本的に抹消される事はありません。
逆に、何だかわからない不快感や不安などが残ってしまう場合もあります。俗に言うトラウマと呼ばれるものですね。心が壊れてしまいそうなほど恐ろしい事や不快な事を潜在意識は意識に上がって来ないように隠してしまう事があります。抑圧してしまうという事ですね。だからカウンセリングというものが存在するのです。抑圧された記憶を恐怖を取り除きながら、受け入れながら、認識が誤解していないかどうかなどをチェックしながらセッションを勧めて行くのです。そんなやりとりの中から「気づき」を得て、人間的に成長して行くのです。

そのようなわけで「記憶を消したい」と言う方には「それはお勧めできません」とお答えするカウンセラーやセラピストが多いと思います。

記憶を消すことで本当に問題が解決するの?

人間は成長する生き物です。色々な事を考え、経験し、失敗を繰り返し、過去を見て、現在を見て、未来を見て、自分の生き方を常に軌道修正して行く。これが人生なのです。時には理不尽な事も、不運な事もあると思います。消したい過去を消せなかったり、忘れては困ることを忘れてしまったりする。それが人間なのです。

「そうは言うけど、それはあなたが本当に耐えられないような辛い目に合った事が無いから簡単に言うのよ!」と反論したくなる気持ちはよくわかります。人生には個人差が大きくありますものね。しかしながら、人類はそういったネガティブな過去をより良い未来にしていこうと前向きに世代交代を繰り返して来たのです。だから過去に引きずられないでください。気合いで乗り切れと言うつもりはありません。辛い時はやっぱり辛いのです。ただ、だから人生が終わってしまったわけではないという事だけは絶対に忘れないでください。

あなたの価値ある有意義な人生を、より充実させるように意識を向けて下さい。
あなたは独りではないのです。過去を消すよりも、自分を見つめ直すこと、どうありたいかを考えること、困った時に助け、助けられる仲間を作ること。そういうベクトルに意識を向けて下さい。辛い過去もあなたの人生の味をより良くするためのスパイスにするために。