ライフスタイルデザイナー高橋克彰の“ウェルネスのセンスを磨く” PART.25~コーヒーは身体に良いの?悪いの?

度々話題になるコーヒーは健康に良いか悪いか……実際の臨床データを元に検証します!

コーヒーってどうなの?

前回、バレンタインデー前に「チョコレートは健康に良いか?」という、チョコレートについての記事を書きましたが、チョコレートと並んで「健康か?不健康か?」という話題に上がりやすいのが「コーヒー」ですね。
みなさんはコーヒーが健康に良いと考えていますか?それとも悪い?

コーヒーは昔から基本的に身体に良くないという考えが主流でした。
ぼくもコーヒーには否定的な考え方でした。しかし、ここ最近コーヒーの人への有効性を示す研究が多く出ており、ぼくも考え方を変えつつあります。ぼくのなかでは現状6:4で肯定的です。
期待されているコーヒーの有用性を紹介しましょう。

 

カフェインへの期待と注意点

コーヒーの成分といえばカフェインですね。カフェインはだれもが経験的に知っているように、強い覚醒作用と集中力を持っています。
ぼーっとした朝の目覚めの一杯に、また仕事中に眠くなってきたら一杯、というように、交感神経を活発化して気分をアゲアゲにしてくれます。ところが最近の研究では、副交感神経にも働きかける、すなわちリラックス作用も同時にもたらしてくれることが分かってきているようです。
つまり、コーヒーを飲むその時の状況に応じて自律神経にバランス良く働きかけてくれるということですね。

カフェインのもう一つの嬉しい効果は、脂肪燃焼を促進してくれることです。運動の20分~30分前に飲むと良いと言われています。砂糖やミルクを入れてしまうと本末転倒ですので、ブラックで飲む方がよいです。

が、運動前のコーヒーはあまりオススメしていません。ぼくの経験からお話しすると、まずコーヒーは利尿作用が強いため、運動中にトイレに行きたくなります。ランニングをするときなどは、できる限り足を止めずに長い距離を走りたいですが、尿意が来てトイレに行ってしまうと一旦ランニングをストップせざるを得ません。

もう一つは、コーヒーを飲んだ後に運動をすると、どうもお腹が緩みやすかったり、痛くなりやすいのです。これはぼくに限ったことなのかもしれませんが、やはりカフェインは刺激物ですので、消化器官への負担は少なからずあるのでしょうね。ですので、消化器官のあまり強くない方は、運動前のコーヒーは控えめの方がよいかもしれませんね。

最近の研究において、糖尿病にカフェインが期待されています。糖尿病は血糖値を下げるインスリンというホルモンが出にくかったり、インスリンの効きが悪くなって、血糖値が常に高い状態になって様々な弊害をもたらす病気ですが、カフェインにはインスリンを分泌する膵臓の細胞を保護したり、インスリンの効きを良くする作用があることが、マウスでの実験で確認されています。人間にも同様の効果を期待したいですね。

様々な期待が寄せられるカフェインですが、睡眠の観点では注意が必要です。
さきほどコーヒーのカフェインはリラックス作用も有していると言いましたが、とはいえやはり覚醒作用が力を持っています。寝る前のコーヒーは眠気を妨げてしまい、利尿作用によって睡眠を途中で遮断してしまいます。これはコーヒーに限らずカフェインを含むお茶などもそうですね。

 

注目が高まるクロロゲン酸

コーヒーには、「コーヒーポリフェノール」が多く含まれています。ポリフェノールはもうご存知の方も多いと思いますが、植物に含まれる有用成分ですね。抗酸化作用が非常に高く、ガンや動脈硬化の予防、若さを維持するのに欠かせない栄養素の一つです。そのコーヒーポリフェノールの中でも最近とくに注目を集めているのが「クロロゲン酸」。
テレビのコマーシャルなどでクロロゲン酸の名前を耳にした方もいると思いますが、クロロゲン酸はHDL(善玉コレステロール)の機能、つまり血管内をキレイに掃除してくれる機能を高めて、動脈硬化を予防してくれます。

また、食前にクロロゲン酸90mgの摂取により食後の血糖上昇を15~20%抑制したりする臨床データがあり、カフェインと同様、糖尿病の予防に期待されています。

そしてクロロゲン酸のもう一つの嬉しい効果は「メラニン抑制」です。
メラニンはお肌のシミの原因となっている物質ですが、クロロゲン酸にはこのメラニンの生成を抑える働きがあることが示唆され、美白化粧品の成分としても注目されています。

しかし、クロロゲン酸には一つ問題があって、この成分はコーヒーの生豆に多く含まれるが焙煎したコーヒー豆には少ししか含まれていないと言われています。通常コーヒーは焙煎した豆で抽出しますので、普通にコーヒーを飲んでいる分には残念ながらクロロゲン酸の摂取はあまり多くは望めません。
クロロゲン酸を積極的に摂りたいと思ったら、クロロゲン酸を添加した飲料やサプリメントが有効でしょう。

 

コーヒーの本当のメリット

これら以外にも肝疾患や頭頸部ガンなど、様々な疾病予防に期待がされているコーヒーですが、ぼくがコーヒーに大きく期待を寄せるのは、チョコレートと同様に「コーヒーを楽しむ時間」です。
ぼくが仕事をさせてもらっている会社には、嬉しいことに本格的なエスプレッソマシンが設置されています。自分で作ることも、また友達に作ってもらうこともあり、できたてのエスプレッソを片手にリラックスしながら友達との会話を楽しんでいます。休日は友達とくつろげるカフェに行くこともあります。この精神的なゆとりと社会的交流をコーヒーがもたらしてくれています

ぼくはサプリメントアドバイザーという立場もあってどうしても細かい成分の話をしてしまいがちですが、「ウェルネスの観点ではどうなのだろうか?」と頭では常に意識しています。
コーヒーが身体にとってプラスかどうかは、自分はまだ確信ができていません。カフェインをあえて省いたデカフェ飲料が多く存在するように、カフェインにはまだ身体への問題がぬぐいきれていないからです。
しかし、ウェルネスで考えた場合にコーヒーは価値ある存在だと、ぼくは思っているのです。