「杏仁豆腐は咳に効く!?」昔の人の賢い知恵~杏子の種子の潤いパワー

すっかり寒さが厳しくなった今、咳が激しく夜も眠れない方へ。痰を出しやすくし、咳をしずめる目的で処方される薬。『キョウニン』という漢方をご存知でしょうか?何とこの『キョウニン』。漢方での咳止め作用は、肺を潤すことによって痰を出やすくしようとするもので、しかも便秘薬では腸を潤すことによって排便を容易にしよう、という考えのもとに配合されているのです。
「杏仁豆腐は咳に効く!?」昔の人の賢い知恵~杏子の種子の潤いパワー

 

咳の症状に用いられる「キョウニン水」

先日、当店に「咳が激しく夜も眠れないため、病院で咳止め薬を処方してもらいました」というお客様が来店されました。

お持ちになられた薬の説明書には10種類前後の去痰薬や気管支拡張剤などの薬が並んでいましたが、そのなかでふと目に留まったのが、「キョウニン水」です。
キョウニン水は日本薬局方に記載されている薬ですが、その材料は意外と身近なものです。

キョウニン水の原料となるキョウニンは、杏(アンズ)の種子です。アーモンドのような形をしていて、ベンズアルデヒドという成分が特有の香りを醸し出します。

キョウニン水の説明書の効能効果の欄には、「急性気管支炎に伴う咳嗽及び喀痰喀出困難」と記載されています。すなわち、痰を出しやすくし、咳をしずめる目的で処方される薬です。

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漢方でも肺と腸の症状に用いられる

キョウニンは漢方でも同様の目的で使用されます。キョウニン配合の麻杏甘石湯(マキョウカンセキトウ)は漢方の咳止め薬として有名で、主に小児喘息、気管支喘息に用いられます。また、風邪薬としても麻黄湯、神秘湯などに配合されています。
さらに漢方では便秘薬にもキョウニンが用いられ、高齢者の便秘によく適用される麻子仁丸、潤腸湯に配合されています。

咳と便秘は無関係のように思えるのですが、この全く異なる二つの症状に共通点は存在するのでしょうか?
漢方でのキョウニンの咳止め作用は、肺を潤すことによって痰を出やすくしようとするものです。一方、便秘薬では腸を潤すことによって排便を容易にしようという考えのもとに配合されています。

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すなわち、キョウニンは、肺と腸を共に潤す働きをする薬と位置づけされているようで、無関係に思えた「咳止め薬にも便秘薬にも配合される理由」がこれで納得できました。

また、デザートとして食べられる杏仁豆腐は、現在ではアーモンドを原料に作られるものも多いと聞きますが、本来は鎮咳去痰作用を目的とした薬膳料理としてキョウニンからつくられていました。「杏仁豆腐をおいしく食べて咳を止める」という昔の人の賢い知恵は、ぜひとも見習いたい発想です。

 

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