モンスターの正体~米国発マイケル・フレミング・コーチング PART.5

モンスターの正体~米国発マイケル・フレミング・コーチング PART.5

「魔物」はいったいどこにいる??

冬のオリンピックを観ていた時に度々聞こえてきた、「オリンピックには魔物がいる」という言葉にちょっとひっかかりを感じていました。多分、いつもとは違う盛り上がりや緊張の中に生まれる特有の心理状態や雰囲気のことを言っているのでしょうが、あたかもそれが、コントロールの利かない“超常的な何か”でもいるかのような、「魔物」という表現にひっかかっていたのです。

でもそんな時にフィギュア・スケートの金メダリスト・羽生選手が、「魔物は自分の中にいるものですから。」と言い切っているのを聞いて、ホッとしました。

そう。
魔物は、自分の中にいるのです。
これを知っているのといないのとでは、生きる上での心の強さが、断然違ってきます。

私は元々、超常的な存在や現象を扱う読み物や映画が大好きでした。この世には悪魔や幽霊や天使がいて、人に取り憑いて酷い事をしたり、包み込んで導いてくれたりする。これらは、自分を超えた存在、自分のいる次元よりも深く高く、あるいは低く邪悪で、あるいは、とにかく自分よりももっと何か、大きな物がいる、という発想が背景にあり、ロマンチックだしスリリングだし、わくわくするものだと思います。

今でも楽しみとして、あるいはまた、ひとつの可能性として、こういった世界は私の中に肯定されたまま存在してはいるのですが、アメリカでマイケル・フレミング・コーチングのトレーニングを受けて以来、この、外部にコントロールの利かない何かがいる/ある、という発想への考え方が、全く変わってしまいました。

「私のガーディアン・エンジェルは、“私”でした!」

マイケルのトレーニング・スクールでは、臨床的なセッションを通じて様々な学びが得られるのですが、ある日、初めてマイケルのコーチングを受けるという女性の、興味深いセッションに立ち会いました。

彼女は元々とても『スピリチュアル』で、自分の守護天使と頻繁にコンタクトを取る能力があると言っていました。天使に助けを求めると、叡智溢れる答えが返ってくるし、時にはその天使の、高い波動と温かく柔らかい温もりまで感じる事もあると言います。
しかしながら彼女は、傷つきやすさと脆弱な心を抱え、悩んでもいました。

彼女はマイケルの指導に従い、彼女の抱える「課題」/繊細さと弱い心へと降りてゆきました。その過程で彼女は、何度も天使の存在を認識しましたが、マイケルに、その天使の本当の姿を探求するように促され、彼女はゆっくりと、その天使へと、意識の焦点を定めてゆきました。

始めは、眩しい光やはじけるような喜びと愛の気配に圧倒されつつ、自分のイメージする慣れ親しんだ天使の姿を見ていると言って、その有様を描写されていましたが、もっと深くへ、と促されるままにその存在へと降りていった瞬間、彼女は、あっ!という顔をして、突然、体を震わせて泣き始めました。

そして、こう言ったのです。

「私のガーディアン・エンジェルは、”私”でした!」

そうです。
彼女は、自分の内に宿る大きなエネルギーや強さ、愛、喜びなどを、自分の物、自分の生まれもった底力であるということに気付かず、それを外部から来てくれた天使として、認識していたのです。

マイケルのセッションで自分の深い領域に触れた彼女は、今まで自分を支えてくれていた存在は、他でもない、自分自身の強さと叡智だったと悟り、自分の脚で立つ強さを、取り戻すことが出来たのです。

心のモンスターの正体は?

マイケル・フレミングのコーチングで、“投影”と呼ぶ現象があります。
これは、人が自分の中にある、まばゆいばかりの無限の可能性や愛、情熱、創造力などを受け止めきれず、それをホログラムの様に外部に投影して、自分ではない外部の存在、例えば天使や神の存在として見い出すことです。

“投影”にはネガティブな側面もあり、それは自分の中の劣等感や怒りや残酷さ等ネガティブな要素を外部に転写し、悪魔やモンスター、あるいは悪意のある隣人といった、コントロール不可能な災厄として解釈するというケースです。

彼女が、自分の内に眠る大きなエネルギーを天使と感じたように、人間の底力は全知全能の可能性を持つ巨大な素質なのですが、同様に、モンスターとして転写される自己の内に潜むネガティビティもまた、心や人生に大きな影響を及ぼしうる、やっかいな存在です。

私は、時々報告される超常的な物の目撃例や体験例、人生に影響を及ぼしうると言われる様々な外因、例えばカルマや先祖の因縁、誰かのエネルギー、呪いや星の配置や悪魔などの存在を、完全に否定するつもりはありませんが、そういった物に「何かされている」、と解釈する前に、より身近な、自分自身の持つパターンを顧みて欲しいと思うのです。

私はマイケル・フレミングのトレーニング・スクールで、こういった心のモンスターの殆どが、生後三年までの間にシナプスに刻まれた、トラウマを起因としたネガティブな学習体験なのだと教わり、また臨床的なセッションの経験を通じて、そうしたモンスターの発生元へと降りてゆき、そのシナプスのパターンを根幹的に癒す事が可能であることを体験し、見てきました。

アメリカですから、悪魔に憑かれていると信じて助けを求めに来る人もいますけれど、そういった人々もまた、自分の内の悪魔が、実は赤ん坊の頃にうっかり自分を転ばせてしまったお母さんの、驚きと恐れの顔をしている事に気付いたりするのです。

まだ出来立てで繊細な神経を持つ赤ちゃんにとって、お母さんの心に起こる感情の波は非常に強大に感じられる為、時にはそんな些細な事が、深いトラウマとして、その後の人生や心に影響を及ぼす事もあるのです。

コントロール不可能な、恐ろしくて強大な力を持っていたルシファーが、実は愛するうっかり者のお母さんだったとわかった時の、クライアントさんの笑いと涙は、思わずもらい泣きをする程ホッとするものですし、それによってご自身の力を取り戻す姿は、実に美しく感動的で、立ち会うたびに一緒に泣いてしまうのです。

(大竹サラ-米国ATPマイケルフレミング認定コーチ&レプレゼンター)