『ルーンマスター杉原梨江子 ~北欧の聖なる文字ルーンからの伝言~』 第16回

ガムラ・ウプサラ

スウェーデンの原風景といわれるガムラ・ウプサラ(photo by Rieko.S)

ルーンをめぐる聖なる旅

みなさま、こんにちは。
しんしんと雪の降りつもる日々、いかがお過ごしでしたか? 先日は朝になると、木に降り積もった雪の重みで枝が折れていましたね。クスノキの枝が雪道に折り重なるように倒れていました。常緑の葉がいのちの輝きを残して、横たわっているのを見ていると、ちょっと寂しくなりました。でも、このクスノキは春になればまた芽を出し、折れてしまった枝の分まで生き生きと伸びていくでしょうね。

今日はみなさまを北欧の聖地にご案内したいと思います。昨年7月、私は森の美しいスウェーデンとノルウェーを訪れました。そう、ルーン文字の故郷……。現代にも、北欧の神々が降り立つ場所はあり、精霊のささやきが聴こえる森があるのです。

今日お連れするのは、神々の大地「ガムラ・ウプサラ」。ここにはかつて、神々の神殿が立っていたと言い伝えられています。神殿は黄金で覆われ、壁面には3人の神様の像が彫られていました。中央に雷神トール、左右に最高神オーディンと富の神フレイ。神殿のそばには太い枝を広げた大きな木が立ち、一年中緑を青々と湛え、そばには泉があったとされています。その大樹は宇宙樹ユグドラシルを思わせますし、泉は運命の女神ノルンが水をくむウルズの泉を想像させます。スウェーデンの原風景といわれる地に立ってみたい……そう思い立ち、ここまで来てしまいました。

建物はほとんどなく、なだらかな3つの山がつらなっています。一つめの山から二つめの山、三つめの山へと登ったり降りたり。頂上に立つと、緑と森と空と、黄色い野の花の草原がただただ広がっていました。二つ目の山で瞑想をしました。目を閉じ、風を感じていると、ここには今も神々がいるのではないか、と思えてきます。神殿に刻まれた3人の神様はルーンを守護する神様でもあるんですよ。

ガムラ・ウプサラ

山の頂上から見たのどかな風景(photo by Rieko.S)

北欧の神々を象徴するルーン文字

ハンマーのルーン文字

【Nハンマーのルーン/ニ-ド】

秘める力は雷神トールのハンマー、ミョルニル。敵に向かって投げれば的中し、すぐにトールの手元に戻ってくる百発百中の武器。
★魔法のチカラ:打破する力、自己変革、弱さや恐れとの決別、無敵の勇者

言霊のルーン文字

【A言霊のルーン/アンスル】

このルーンを守護しているのは北欧の最高神オーディン。知識と詩の神でもあり、言葉を巧みに操り、言霊の力を発揮する神様です。
★魔法のチカラ:言葉の力、声の力、コミュニケーション力、話し上手、交渉上手

富のルーン文字

【F富のルーン/フェオ】

富と豊穣の神フレイと妻ゲルズとの夫婦愛の象徴的ルーン。ゲルズにひと目惚れしたフレイが強引に結婚を承諾させたが、その後は仲睦まじく、豊饒をもたらす夫婦として、人々に崇拝されました。
★魔法のチカラ:富、お金、人脈、富によって伴侶を幸福にする力、隠れた才能の浮上

<観光情報―ガムラ・ウプサラに行くには?>

ストックホルム中央駅から列車で約40分、ウプサラ中央駅下車。駅前の市バス110番、115番ででガムラ・ウプサラ下車。所要時間約15分。博物館:夏5~8月は毎日10:00~16:00 入場料:60SEK(いったん出ても、券を見せれば何度でも入場してよい)※2013年7月現在

ルーンマスター、聖樹・巨樹研究家 杉原梨江子
プロフィール・お知らせはこちら
©RIEKO SUGIHARA 2014