「私」に関する他者からの意見は、いつも私を「悟り」へ導いてくれる。

バイロン・ケイティさんインタビューPART.3
Byron Katie

全ての人、物は、
自分自身を投影している

編集部(以下編)「ストレスとなる考えはあなたを人から引き離す」と仰っていますが、人と感情的なつながりを感じる必要がありますか?

ケイティ(以下ケ)「人」は、私たちが信じている「人」なのです。彼らは私たちの想像以外の何者でもありません。全ての人(自分を含む)、全ての物は自分の投影なのです。ですから、マインドは一つだけが存在するということに気が付けば、取り組まなければならないのは常に自分一人なのだということに気がつきます。

やがては自分自身を愛することになり、自分の考える全ての考えを愛することになります。全ての考えを愛すると、考えがつくり出す全てのものを愛することになります。考えがつくり出した世界を愛することになります。

最初は、考えがつくり出す全てのものを愛することは、人とのつながりように感じます。奥深く全ての人間とのつながりを感じることは素晴らしいことです。でもそれは、マインドがマインド自身とつながったこと、それだけになるのです。最高の結びつきは、一切の分離や境界なく全てのマインドがマインド自身とつながること。すると、全てのマインドが愛されます。

あなたが信じる「私」が
私なのです。

編:バイロンさんは、「人に執着するのではなく、考えに執着する」とも仰っています。

ケ:それは本当です。たとえば私は、あなたが信じる「私」なのです。たとえ、それが真実でなかったとしても。あなたの信じている「私」が、あなたの世界の「私」なのです。だから、あなたの考える「私」に執着している限り、私のことを知ることができません。

私を好きか嫌いかは、あなたが信じている「私」に対する感情です。私もあなたのことを知ることができません。あなたの本質を知るだけで十分。選択の余地なくあなたを愛することを知っているだけで十分なのです。私はその愛に仕えるのです。私はその愛のなかに存在する全てのものを愛します。

誰かが自分を否定したら…
自分のなかをまずは確認する

編:「誰かに自分のことを認めてもらおうとしなければ、私はあるがままの価値ある存在でいることができます」とのことですが、誰かがバイロンさんを批判したらどう反応しますか?

ケ:もし誰かに「ケイティ、あなたは私の話を聞いていない」と言われたら、その人に同意するかどうか、自分のなかで確認します。そして相手に真実を話します。相手の言っていることが正しいと確認できたら、全神経を集中させて話を聞かなかったことを謝ります。

自分を「今、この時」に戻してくれたことを感謝し、たとえば「その通りね。あなたが話していたとき自分の子どものことを考えていて、あなたの話を聞いてなかったわ。もう一回話してくれるかしら? 今度はよく注意して聞くようにします。あなたとこの件について心からお話ししたいと思っているの」と言います。

Byron Katie

相手の言うことが真実でなければ
もっと話をよく聞いてみる

ケ:もし、その人の言っていることが自分にとって真実でなかったら、こんな風に言ってみるかもしれません。「時々マインドは漂流してしまう時があるようです。でも、あなたの言ったことはよく理解したと思います。私が良い聞き手でないと感じているなら謝ります。なぜ、私が良い聞き手でないと感じるのか、良かったらもう少し話してもらえますか?」。

そして、その人の言うことを良く聞くようにします。もしかしたら自分が気づいていないことがあり、何かを学べるかもしれません。たとえ、その人が話してくれることが自分にとって後に役立つことでなかったとしても、「ケイティはこうあるべきだ」と信じているその人のことを知ることができます。ポジティブであろうとネガティブな意見であろうと、人が私をどう見ているかについていつも興味があります。

防御は、自分のなかの戦争の始まりです。自分のなかの防御も言い訳も、勝とうとしたり正当化することによって、「悟り」を中断することになります。もし私が正しければ、相手が間違っていることになります。これが、私たちのつながりを中断してしまうのです。「私」に関する他者の意見は、いつも私を「悟り」へ導いてくれます。ですから私は人の話を大切に聞きます。そして一つのマインドにだけ取り組めばいいのです。私独自のマインドに。

~続く~

 

<プロフィール>
バイロン・ケイティさん
Byron Katie
1986年に「現実に目覚める」体験をして以来、「シンプルな4つの問いかけの力で人生が一変する」という独自のメソッドを紹介。現在、世界31言語、数百万の人々に紹介し、ストレスや苦しみの原因に気づき、やがてそれらのストーリーから自由になる手助けをする。
http://www.thework.com/nihongo/