和歌山県・太地町のイルカ漁がもたらすもの~地球上での共存共栄を目指すためには

水族館のイルカは光を失っている……

毎年冬に行われる日本の和歌山県太地町のイルカ漁……。
今年もまた、イルカ猟が繰り広げられて多くのイルカたちが命を落とし、食用肉となり、また一生牢獄で暮らす水族館へと売られて行きました。
この非人道的な行為に対して世界が注目しています。

わたしは1997年、太地でオルカ(シャチ)の家族が入江に追い込まれ、水族館に売られて行った悲しい現場に居合わせたことがあります。とても涙を誘う現場でした。
その水族館に売られて行ったオルカたちは数年のうちにすべて命を落としました。
オルカは通常人間と同じほどの寿命を持つと言われます。
あれから15年以上たつというのに、同じ行為がまだ海中で続いています。

先日アメリカで公開された『ブラックフィッシュ』という名のドキュメンタリーが話題を呼んでいます。

捕獲されたオルカが、観客の目の前でトレーナーを殺したショッキングな事件をもとにつくられたドキュメンタリーですが、水中哺乳類がいかに知的で感情を持つ生き物なのか、そして水族館で彼らがどれだけ苦痛の日々を強いられているのかを教え、現状を変えて行こうとする希望をつなぐ映画でもあります。

野生の生き物を人間の娯楽の道具として虐待することや無意味な殺戮は、今の時代にはそぐわなくなってきています。

私たち人間のマスの意識が早急にかわっていくためにも、今回の太地でのイルカ猟の事実やブラックフィッシュのドキュメンタリーは多くの方に知っていただきたいことです。

イルカと会いに、大海原の海へ出かけて野生のイルカと出会ってほしい。
それは、価値のある,意識を変容するほどの深い体験となりうるのです。
野生のイルカと泳いだ人には、水族館にいる捕らわれのイルカが既にその光を失っていて,虐待に近い行為だということが一目瞭然です。

 

イルカがもたらす愛に溢れる空間

福島原発事件があったとき,日本人の意志の強さ、人間性の高さが賞賛され、世界中から多くの助けの手が差し伸べられました。
そんななかで再開された太地でのイルカ猟。
日本人の無知で傲慢、非人道的な行為に多くの人が心を,日本を批判しています。

現在、日本に登録されている水族館は65。そのうち57%がイルカショーの展示をしています。そのほとんどは太地や富戸で生け捕りにされたイルカたちなのです。最近では中国やアラブ首長国などからも買い付けオーダーがあるそうです。

私たちひとりひとりの人間が、エゴやお金からではなく、愛からの選択をする地球……。
この地球を分かちあう他の動物や、植物とコミュニケーションをとれる人がどんどんと増えて、お互いを尊重し、仲良く生きる共存共栄の地球を、今こそビジュライズするときですね。

来月2月,ハワイ島コナですばらしい影像アートショーが2週間開催されます。
水族館のイルカショーより、影像や音による3Dのアートでの表現はよりインスピレーションと癒しに溢れ、意識の目覚めをうながすでしょう。
マヤの言葉で流れを意味する「zuvuya」。
http://www.zuvuyaproject.com


写真左から、Zuvuyaのディレクターのタイスさんと娘のタニアときくちゆみさんとコナで

未来の水族館の姿をここに見るようで感動する作品です。
実際に海で野生のイルカと泳ぐ機会が無い方も多いはず。その場合、こうした3Dの疑似体験で、よりリアルで深い体験となり得ることを証明するでしょう。
そして未来の水族館が,動物の犠牲の上になりたつ利己的なものではなく、彼らの世界をアートと科学を駆使して表現される日が1日も早く実現しますように。
★バックナンバーを見る→連載記事:野崎友璃香