16人に1人に発症する乳がん。2~3mmの腫瘍を摘発!人間ドックの最先端マシンPEM(乳房専用PET)とは?

Trinity49でご紹介した、「人間ドック」企画。今、女性が特に気をつけたい病の一つが乳がんです。乳がん検査といえば一般的なのが、マンモグラフィや超音波。けれども、マンモグラフィは痛くてどうしても嫌という方があり、超音波は技術者の能力に左右されることが大きいそう。そこで、より精度の高い検査結果を出すために、今注目を浴びているのが「PEM(乳房専用PET)」という機器です。まだ日本では所有しているクリニックもわずか。なかでも、日本で初めてPEMを導入した「ゆうあいクリニック」院長・小澤幸彦先生、診療部部長・桑田有希子先生に、最先端の検査についてお伺いしました。

写真:ゆうあいクリニック内観

早期発見できれば
治療も少なくて済む

編集部(以下編):実際に人間ドックを受診する女性は、何歳くらいの方が多いのでしょうか。

小澤先生(以下小):当院の場合は50代以降の方が多いですね。親戚や身近な方にがんが見つかって、ご自身も心配になったなどのきっかけがあって来院される方も多いです。実際には、がんの発見率は1~2パーセント程度で、ほかの病気が見つかったりします。症状を自覚してから検査を受ける場合、たいていは進行していることが多いです。
乳がんの場合も、「PEM」で発見できる大きさと、触って自分で気づいて発見した時の大きさは全く異なります。「PEM」なら早期の乳がんを発見でき、がん細胞が乳管内で止まっていたり、リンパ節にも入っていなければ、治療も大掛かりにならなくて済みますよね。当院では、他の病院から検査の依頼を受けて行う臨床検査が8割くらい。がんの疑いがある方が多数来院されます。


写真:PEM

編:乳がん検査といえば、マンモグラフィや超音波検査が一般的だと思うのですが、PEMはどのような機器なのでしょうか。

桑田先生(以下桑):PEMは、「乳腺専用PET検査」と呼ばれ、乳房内の細胞のぶどう糖代謝の様子を画像化し、全身PET検査よりも細かく乳房の評価ができます。検査時の痛みも少ないのが特徴です。
PEMは40代を過ぎたら一度は受けたほうが良いですね。日本では今、乳がんになる方が増えており、16人に1人は75才までに乳がんを発症するとされ、将来はもっと多くなると考えられます。特に欧米よりも若い年齢で乳がんの発症ピークがありますが、30~40代だとマンモグラフィでは評価しにくい事もあり、超音波検査もよい検査ですが、さらにPEMを加えるとより安心です。

検査機器にも長所と短所がある。
組み合わせればより精度が高くなる。

編:検査結果をさらに確実なものにするために、併せて受けたい検査としてPET/CTがあるそうですね。

小:PET/CT は、PETとCTが一つになった検査機器です。CTによる形態診断とPETによる機能診断が一度にでき、全身を画像によって診ることができます。
CTは骨に囲まれた箇所が見づらかったり、撮影時間が短いので身体を動かしてはいけないなど、機械によって長所と弱点がありますから、検査を組み合わせて行うメリットはあります。


写真: PET/CT

編:40代以降の女性は、更年期など、今までなかった不調が出始める時だと思います。自分の身体とのより良い向き合い方を教えてください。

桑:脳や筋肉は鍛えることで機能も改善しやすい可逆性のある箇所ですが、年齢と共に減少する女性ホルモンは止められるものではありません。自然なことなので、抵抗しないほうがいいと思うのです。それを受け入れる準備も40代から行うと良いのかなと思います。60、70代になって “まだやれる”と無理をして、怪我をしてしまったり、お酒を飲みすぎたりする人もいるのですが、逆にコントロールできる能力も出てくると思うので。40代、50代は、自分の限界を受け入れながら、検診を受けることや、生活習慣を変えることなど、何を取り入れるといいのかを考えられる年代だと思うのです。

~了~

<プロフィール>

小澤幸彦先生/「ゆうあいクリニック」院長



桑田有希子先生/「ゆうあいクリニック」診療部部長

写真提供・取材協力:ゆうあいクリニック http://www.shinyokohama.jp/

Photo:Kazuki Maeda (人物・検査機器)