「新しい問題があるたびに勉強するのがいい」。ホリスティック医療の大家、帯津良一先生の養生法PART.1

最新号TRINITY vol.49にて、養生法や24時間の生活について、快く答えてくださった帯津良一先生。TrinityWEBでは、本誌未掲載のインタビューをご紹介します。

ストレスは人間の宿命
それならば退けようがない

編集部(以下編):帯津先生の養生法は、毎日の晩酌と仰っています。好きな食べ物を喜んで食べることもポイントだそうですが、好きなだけ食べても良いのでしょうか。

帯津先生(以下帯):満腹になっちゃうことは、あまりいいもんじゃないですよ。これは貝原益軒(※1)も言っていることで、中国医学的にも満腹になると、胃が膨らんで、胃の気が巡らなくなるのですね。少し余裕があったほうがいいし、その状態でご馳走様っていうのが良いと思うんですよね。
※1 貝原益軒…江戸時代の本草学者、儒学者

編:日常生活においてストレスは切り離せませんが、帯津先生はストレスも晩酌で解放していらっしゃるのでしょうか。

帯:昔、作家の五木寛之さんとよく対談しましたが、彼は、ストレスは人間の宿命だと仰るのです。ストレスがあって生きているのだから、それが良い、悪いって言ったってしょうがないんだって。ハッキリしてますよね。なるほど宿命か、と私も思ってね。宿命だったら無理に退けるものでもないでしょう。

編:先生は、診療に加えて、取材を受けられたり、執筆したりと大変お忙しくされています。なぜそのように活動的でいられるのでしょうか。

帯:昔の婦長に怒られたことがあるんですよ。私が“忙しい、忙しい”って言うでしょ。だから婦長が“断ったらどうですか”って言うんだけどね。どれもいい仕事なんですよね。何がいいかっていうと、新しい問題が起こるたびに勉強するじゃないですか。考えるし。原稿依頼を引き受けるのは、原稿を書くことによって勉強しますし、いろいろな文献を読むしね。ぼんやりしているよりは、それがいい。

77歳、年中フル活動
だから晩酌が旨い

編:先生が実践されているのは、健康法じゃなくて養生法だと仰います。それは、人生の目的を見つけることも含まれますか。

帯:そうです、自己実現ですよ。自己実現に終わりはないので、常に前進しないと。死んでも前進するという感じなんですよね。だから病気がない状態を得るために、あれを食べちゃいけないとか、これを食べなきゃいけないっていうのはね、次元が低いと思うんですよね。

編:最後の晩餐だと思って食事を美味しくいただくことですね。

帯:そうそう。だからいつも私は夕飯を大事にしている。病院内で食べる時ももちろんそうだし、外食でもね。
最近の同窓会は、皆、定年ですでに仕事を辞めていて、昼間にやるから行けないんだよね。同窓生のなかでフルに働いているのなんて私だけだよ。77歳でしょ。ほとんどの人は第一線を退いて、なかには週一回どこかの教授をやったりしているけど。私はね、仕事を辞めると酒が旨く呑めないよ。働くからこそ、旨いんだよね。

~続く~

<プロフィール>
帯津良一先生
帯津三敬病院 名誉院長。1936年生まれ。東京大学医学部卒。ホリスティック医学を実践するがん診療の第一人者。日本ホリスティック医学協会会長。

取材協力:帯津三敬病院 http://www.obitsusankei.or.jp/

帯津先生のインタビューが掲載されている本誌TRINITY vol.49はコチラ
Photo: Kazuki Maeda