若さと美しさ……四季ごとに女性に変わっていく少女を繊細に描く『17歳』

フランソワ・オゾン監督の意欲作

全世界が待ち望む、フランソワ・オゾン監督最新作
センセーショナルにしてエレガント、
刺激に満ちた新たな挑戦が幕を開ける──!

新作を発表するたびに、全く違うジャンルの新しいテーマを打ち出し、世界を驚きと興奮で包み続けてきたフランソワ・オゾン監督。深い感動をもたらした『まぼろし』、絢爛豪華なミステリー『8人の女たち』、ハートフルコメディ『しあわせの雨傘』などが大ヒットを記録、オゾンは他に比べる者のない真の異才として、日本でも熱い人気と深いリスペクトを獲得している。

そんなオゾン監督の待望の最新作が完成、第66回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に正式出品された。映画を見ることにかけては熟練した目を持つカンヌの観客たちが、オゾンの次なるテーマに息をのんだ。女性心理を巧みに描いてきたオゾンが、17歳の少女の大きく変化していくセクシュアリティに真正面から向き合うという、センセーショナルな試みを果たしたのだ。

毎回ガラリとテイストを変えるオゾン監督作だが、全作を通じて最大の共通点がある。それは、計算され尽くした映像と脚本によって、作品全体から極上のパフュームのごとく香り立つ、至上のエレガントだ。いつものごとく洗練され、いつになく攻撃的な、オゾンの新たなる挑戦が幕を開ける──!

少女と女の狭間
名門高校に通う17歳のイザベルは放課後のベッドで何を思うのか

イザベルは、すべてに恵まれた少女だ。名門高校に通い、母親は大病院のドクター、生活に困ったことなど一度もなく、休みのたびに家族で長期のバカンスに出かける。両親の離婚で実の父とは別れたが、母親の再婚相手と何の問題もない。気品に溢れた美しさで異性から注目を浴び、17歳の誕生日を迎える直前には、夏のリゾート地で初体験を終えた。だが、秋の訪れと共にイザベルは変わっていく。

放課後、SNSを通じて知り合った不特定多数の男たちと密会を重ねるようになったのだ。ある日、初老の男が行為の最中に急死、イザベルはその場から逃げ去るが、まもなく警察によって彼女の秘密が家族に明かされる。快楽のためではなく、ましてや金のためでもないと語り、あとは口を閉ざすイザベル。いったい彼女に何が起きたのか──?

17歳、それは少女と女の間に挟まれた、揺れ動く1年間。その年齢だけが持つ瑞々しさに溢れ、根拠のない自信による不遜さと傲慢さを放ち、ひたすら刺激を求める無鉄砲さに身を任せ、それでいて中身は呆気ないほど幼い。そんなイザベルを、「愚かだ」と達観する人もいれば、「若いって素晴らしい」と憧れと嫉妬で見つめ、「もう戻れない」とため息をつく人もいるだろう。だが、四季の移り変わりと共に物語が進むうちに、私たちは気づく。時に強く、時に儚く、時に迷えるイザベルの眼差しが揺り起こすのは、私たち自身の17歳であることに。眠りから覚めた17歳の自分と向き合うという、かつてない刺激的な体験を与えてくれる、それが『17歳』である。

カンヌで大絶賛された、オゾンの新たなるミューズ
フランス映画界の次世代スターの誕生

イザベルに扮するのは、本作が映画初主演となるマリーヌ・ヴァクト。
「彼女の瞳のなかに、内なる世界と神秘を感じた」と語るオゾンが見出した新たなるミューズだ。モデル出身で、イヴ・サンローランの香水のイメージモデルでも注目を集めたが、なんといっても本作のカンヌ上映で世界的なブレイクを果たした。かつてカトリーヌ・ドヌーヴが主演したルイス・ブニュエル監督の傑作『昼顔』に並び賞され、「うっとりさせるような美貌」「まばゆい演技」と、各国のマスコミから大絶賛された。今、フランス映画界の次世代を担う存在として、最も期待されている女優である。

その他、『ふたりの5つの分かれ路』『輝ける女たち』のジェラルディン・ペラスがイザベルの母を、『サラの鍵』『タイピスト!』の味わい深い名優フレデリック・ピエロが義父を演じている。また、『まぼろし』『スイミング・プール』に出演、大女優にしてオゾンの永遠のミューズ、シャーロット・ランプリングが重要な役どころを演じ、ミステリアスな17歳の心理に、ひとつの答えを提示している。

4つの季節の終わりに流れる、フランソワーズ・アルディの揺れる思春期の歌。
高校生たちが語り合う、天才詩人アルチュール・ランボーが「17歳ともなれば、まじめ一筋ではいられない」とうたった詩「物語」。若さと美しさをキーワードに、幾層にも緻密に構成されたオゾン・ワールドが、ここに完成した。

 

『17歳』
2月15日、新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座ほかにて全国ロードショー
http://www.17-movie.jp/
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