珈琲を飲み損ねたことから始まる奇妙でユニークな一日『コーヒーをめぐる冒険』

珈琲を飲み損ねたことから始まる奇妙でユニークな一日『コーヒーをめぐる冒険』

ドイツ映画界の救世主

2013年ドイツ・アカデミー賞主要6冠制覇!
眩しいほどの才能に溢れたドイツの新鋭監督ヤン・オーレ・ゲルスター
鮮烈なるデビュー作!

“ドイツ映画界に救世主が現れた!”──2013年、そんなセンセーショナルな言葉がメディアに躍り、眩しいほどに輝く新しい才能の誕生にドイツ中が沸いた。人々を夢中にさせた新鋭監督の名は、ヤン・オーレ・ゲルスター。ドイツ映画テレビ・アカデミーの卒業作品にして初監督作となる『コーヒーをめぐる冒険』が、海外で熱狂的な人気を呼び、30を超える映画祭で数々の賞を受賞したのだ。ドイツ国内でも、大ヒットを記録、ドイツ・アカデミー賞9部門にノミネート、作品賞・監督賞を含む主要6部門を獲得するという快挙を成し遂げた。

世界のアートを牽引してきたフランスでも、ヌーヴェルヴァーグが生まれた時のようなフレッシュさ、ジム・ジャームッシュのデビュー作を感じさせ、ウディ・アレンのようにチャーミングな映画とまで絶賛された。さらにヨーロッパ映画大賞では、作品賞をはじめ4部門にノミネート、その勢いは止まらない。

そして2014年春、ヨーロッパに大いなる笑いと、キラリと光る希望を吹きこんだ新しい風が、日本に届く!

 

いつもと違う奇妙な一日

コーヒーを飲みそこねた朝からはじまり、
どこか普通じゃない人たちと出遭う1日
ツイてないけれど、なぜかホッとひと息つける物語

2年前に大学をやめてから、ベルリンでただ“考える”日々を送っているニコ。恋人の部屋でコーヒーを飲みそこねた朝、ツイてない1日が幕を開ける。車の免許は停止になり、銀行のキャッシュカードはATMに吸い込まれ、アパートの上階に住むオヤジに絡まれる。親友マッツェと街に繰り出せば、ダイエットに成功してまるで別人の元同級生ユリカ、クサい芝居の売れっ子俳優等々、ひとクセある人たちが次々に現れる。さらに退学が父親にバレ、ユリカに誘惑され、行く先々でコーヒーにふられ──と災難は続き、逃げ出した夜の街で、ナチス政権下を生き抜いた老人と出遭う。果たして、ツイてない1日の幕切れは──?

法律を学んでいたが何だかイヤになり、生きる目標を見失って、ただ今・人生・一時停止中のニコ。これは、そんなニコに少し揺さぶりをかける、ある1日の物語。どこか普通じゃない人たちと出遭い、ちょっと奇妙な出来事を通り抜けたことで、喜び、傷つき、戸惑いながらも、次の道へと続く扉が、ぼんやりと見えてくる。

誰にでも身に覚えのある、何をすれば良いのか分からない不安な時期と、そこから抜け出す瞬間が、力の抜けたユーモアにアイロニーがピリッときいたタッチで繊細に描かれる。「大丈夫、また歩き出せる」という安堵感と未来への可能性が、ニコと私たちを励ましてくれる──そんな、少し苦いけれど心まで温めてくれる、一杯のコーヒーのような物語が完成した。

美しいベルリンの風景

シャープなモノクロ映像で迫る、
アートと歴史、過去と現在が溶け合った、
幻想的で美しい本当のベルリン

ニコを演じるのは、ドイツで高い人気を誇る『素粒子』のトム・シリング。等身大の青年を演じ、ドイツ・アカデミー賞主演男優賞を獲得した。その他、ニコの人生に句読点を与える、ちょっとヘンな人たちを演じるために、総勢20数名の個性豊かなドイツの名優たちが集まった。

モノクロのシャープな映像で捉えられたベルリンの街も、本作の重要なキャラクター。街のシンボルであるテレビ塔、かつて東西を隔てたフリードリヒ通り駅と壁跡、サブカルチャーの聖地“タヘレス”などが登場する。ベルリンという街は、実はちょっとしたワンダーランド。そこかしこに歴史が生きていて、過去と現在が交錯するのだ。そんな街の真実に迫るために、ナチス政権時代の水晶の夜事件など歴史の事実も盛り込まれている。観光では決して見ることのできないベルリンを体感することが出来るのだ。

本作では、名作映画へのオマージュを探すのも楽しい。例えばオープニングはジャン=リュック・ゴダールの『勝手にしやがれ』を彷彿とさせ、シナリオにはフランソワ・トリュフォーのエッセンスが散りばめられ、おばあちゃんのシーンに流れる『惑星ソラリス』のサウンドトラックに心癒され、『タクシードライバー』のロバート・デ・ニーロのモノマネにニヤリとさせられる。さらに監督が大好きだというサリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」のスピリットも物語に注入されている。ドイツ・アカデミー賞音楽賞を獲得したクールな音楽は、若きミュージシャンによるオリジナルのジャズ。
今日も、飲めそうで飲めないコーヒーを求めてさまよう──それが人生──なのかもしれない!?

 

『コーヒーをめぐる冒険』
2014年 春 渋谷シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開
http://www.cetera.co.jp/coffee/
© 2012 Schiwago Film GmbH, Chromosom Filmproduktion, HR, arte All rights reserved

セテラ・インターナショナル創立25周年記念作品
監督・脚本:ヤン・オーレ・ゲルスター
音楽:ザ・メジャー・マイナーズ/シェリリン・マクニール
出演:トム・シリング『素粒子』/
マルク・ホーゼマン/フリデリーケ・ケンプターほか

原題:OH BOY/2012年/ドイツ/85分/ドイツ語/モノクロ
日本語字幕:吉川美奈子/

協力:Goethe-Insutitut Tokyo東京ドイツ文化センター
配給・宣伝:セテラ・インターナショナル/宣伝協力:Lem