日本人の繊細でシンプルな感覚を活かした日本人だけがつくり出せるもの

日本人の繊細でシンプルな感覚を活かした日本人だけがつくり出せるもの

デザインの今後の可能性を探る

21_21 DESIGN SIGHT では、「日本のデザインミュージアム実現にむけて展」を開催。
生活のすべてに関わるデザインは、暮らしに喜びをもたらすだけでなく、産業の発展にもつながり、豊かさを生みだします。
デザインミュージアムは、優れたデザイン文化を次世代に継承するためのアーカイブとなる
と同時に、私たちの今後の生活を考えるうえで必要とされる場所になるのではないでしょうか。

2007 年に開館した21_21 DESIGN SIGHT は、これまで「安藤忠雄 2006 年の現場 悪戦苦闘」「チョコレート」をはじめ23 の企画展を開催し、トークやワークショップといった教育プログラムにも力を入れてきました。こうした活動には、デザインミュージアム設立の機運を高めたいとの思いがあります。
本展では21 世紀のデザインミュージアムに求められる役割について、〈過去/現在/未来〉という時間への眼差しに基づく新たな視点から、当館で開催した展覧会を例に考えていきます。生活、文化、社会と深く関わってきたデザインの今後の可能性について、多くの方々と考える機会となる企画展です。

デザインが繋ぐつくり手と受け取り手

本展の企画者にとって、すべての始まりは三宅一生氏による2003 年の新聞記事「造ろうデザインミュージアム」でした。それから10 年、ミュージアム設立を目指してさまざまな動きが起こる中で、私たちに何ができるのか。その答えが、これまでの展覧会と付随する活動を再構築する本展です。企画は、故事に由来する「隗かいより始めよ」という方針で一致したのです。
デザインはこれまで、モノづくり〈MAKING〉を中心に捉えられてきましたが、それ以前にモノとコトと仕組みを発見する〈FINDING〉、同時に地域を世界につなぐ〈LINKING〉というテーマが必須だと考えました。
そして真に創造の名に値する〈CREATING〉には、田中一光氏をはじめとして今は亡き6名の表現者を含んでいます。なお、各展覧会の解題とバナーは企画者が作成したものです。
デザインの送り手が現場でどんなに悪戦苦闘しても、受け手にとってデザインは愛、夢、そして贈物でありたい。それでこそ、語り尽くせないデザインの魅力が生まれるでしょう。送り手と受け手と語り手の間にあるデザインミュージアム。本展によって、だれもがその入口に立ちたいと思ってくだされば幸いです。
(森山明子さん、佐藤 卓氏、深澤直人氏)

日本人の繊細な感性を活かす

佐藤 卓氏メッセージ

日本にはまだ、本格的なデザインミュージアムがひとつもありません。このことは、意外と知られていません。
日常会話において「デザイン」という言葉は、今や「美術」や「芸術」という言葉よりもあたりまえに使われるようになったにもかかわらず、絵画や彫刻などの美術館は各地域に数々ありますが、コレクションの域を越えたデザインミュージアムは1つも無いのです。
その理由としては、多々思い当たることがあります。美術には歴史があり、デザインは歴史が浅いという誤解もあるでしょう。近代デザインは、生活のためというよりも、経済を回すための道具としてしか理解されていない側面も否定できませんから、そもそもデザインとは何なのかが一般的にはよく分からないものに至っていることも事実としてあると思います。それはつまりデザインというものを、未だにカテゴリーとして理解しようとしているからに他なりません。
しかし、よく考えてみてください。デザインを必要としない物事は、はたして人の営みの中に存在するでしょうか。実は我々が日常使っている言葉そのものもコミュニケーションを成立させる重要なデザインですし、それを目に見えるものにした文字は正にデザインの象徴です。実は、政治・経済・医療や街の仕組みすべてにデザインが必要なのです。このようにデザインはカテゴリーではない、ということが近年急速に分かってきました。いったいデザインとは何なのか。それを示し、保存し、考え続ける装置として今、デザインミュージアムを日本につくる必要があるのです。

 

深澤直人氏メッセ―ジ

世界から見ても、日本人も皆、日本にデザインミュージアムがないことを不思議に思うだろう。これだけ美意識が高く、精緻せいちなものづくりに長け、持続可能な生活の基盤を築いてきた国民性と、豊かな四季と自然を持つ国土が生活そのものの美と深く関わり、質素であっても豊かでまじめな気質は、たぐいまれな美の文化と生活の道具に見出した美学を育んできた。その事実は既に世界がみとめたものであり、それこそデザインそのものといえよう。
人とものとそれを取り巻く状況や環境の相互の調和と釣り合い、そしてそれぞれの関係を美と定め、全体として完結した世界を目指してきた。近年になっては、かたちや姿、色、装飾をデザインと定義してきた概念も変わりつつあり、機能は残りつつも、かたちを論ずる部分は減り、ものと人、物と物がどのような関係を持つかをデザインすることが求められるようになった。

繋がりやコミュニケーションのデザインといってもいいだろう。さらに自然との共生もデザインの大きな柱となり、相互の円滑な関係性はデザインによって成されるようになってきた。
このように、生活の変化に歩調を合わせながら概念を少しずつ変えてデザインをずっと見つめ続けて行く場としてのデザインミュージアムの存在は、日本独自の仕組みと形態を有し、且つ、世界との繋がりを切らすことのない新しいものとして誕生すべきときが来ていると思う。

■ 開催概要
タイトル 21_21 DESIGN SIGHT 企画展「日本のデザインミュージアム実現にむけて展」
会期 2013 年10 月25 日(金)~2014 年2 月9 日(日)
休館日 火曜日(12 月24 日は開館)、年末年始(12 月27 日~1 月3 日)
開館時間 11:00~20:00(入場は19:30 まで)
入場料 一般1,000円、大学生800円、中高生500円、小学生以下無料
*15 名以上は各料金から200 円割引
*障害者手帳をお持ちの方と、その付き添いの方1 名は無料
その他各種割引についてはウェブサイトをご覧ください。
会場 21_21 DESIGN SIGHT (東京ミッドタウン・ガーデン内)
〒107-0052 東京都港区赤坂9-7-6 Tel.03-3475-2121
アクセス 都営地下鉄大江戸線・東京メトロ日比谷線六本木駅、千代田線乃木坂駅より徒歩5 分
WEB http://www.2121designsight.jp/
SNS [Twitter] https://twitter.com/2121DESIGNSIGHT
[Facebook] https://www.facebook.com/2121DESIGNSIGHT
主催 21_21 DESIGN SIGHT、公益財団法人 三宅一生デザイン文化財団
後援 文化庁、経済産業省、東京都、港区教育委員会、公益財団法人 日本デザイン振興会、
日本デザイン団体協議会
特別協賛 三井不動産株式会社
協力 旭紙業株式会社、キヤノンマーケティングジャパン株式会社、株式会社 竹尾、
ベンキュージャパン株式会社、株式会社 ユポ・コーポレーション(五十音順)
企画:森山明子、佐藤 卓、深澤直人 企画協力:川上典李子
グラフィックデザイン:野間真吾(佐藤卓デザイン事務所) 会場デザイン:NAOTO FUKASAWA DESIGN
照明デザイン:海藤春樹 会場構成協力:五十嵐瑠衣
21_21 DESIGN SIGHT ディレクター:三宅一生、佐藤 卓、深澤直人
同アソシエイトディレクター:川上典李子
21_21 DESIGN SIGHT 企画展 「日本のデザインミュージアム実現にむけて展」
Press Release 2013/10/24 P.3