天才たちに愛される、その秘密に迫る 驚きと情熱のドキュメンタリー「世界一美しい本を作る男 シュタイデルとの旅」

「世界一美しい本を作る」と称されるドイツの小さな出版社シュタイデル。
ノーベル賞受賞作家ギュンター・グラス、アメリカを代表する写真家ロバート・フランク、シャネルのカリスマデザイナー カール・ラガーフェルド・・・天才たちに愛される、その秘密に迫る驚きと情熱のドキュメンタリー。

完璧を追求する男

経営者ゲルハルト・シュタイデルは、印刷機から出てくる写真や原稿を一枚一枚チェックする完璧主義で“本”作りに情熱を注ぐ。

今や有名写真家が作品を出版する為に何年も待ち、扱うのはノーベル賞作家の新作からシャネルのカタログまでと幅広く、世界中にコレクターがいるシュタイデル社の“本”。ずっと変わらず自らアーティスト達と綿密な打合せを繰り返し、収録作品、使用する紙、インクの選定まで徹底的にこだわって”本”自体をアート作品へと昇華させていく彼の妥協なき本づくりの姿勢は、効率重視の出版業界においてユニークなビジネスモデルとしても注目されている。
”本”と”芸術”、そして”仕事”への愛情に満ちたシュタイデルの世界へようこそ。

世界を旅する男

ニューヨーク、ロサンゼルス、パリ、カタール・・・。6 0 歳を過ぎてもなおシュタイデルは精力的にアーティストたちのアトリエへ自ら足を運ぶ。「旅は好きじゃないが、会って打合せをするのが一番。2、3ヶ月かかる仕事が4日間の旅で終わる」と写真家ロバート・アダムスのキッチンで打合せの合間に語る。

そして保険総額が78万ドルにのぼるヴィンテージプリントを抱えると、ロバート・フランクとの打合せのためにノバスコシアの田舎町へと飛び立つ。中東カタールの砂漠の豪華トレーラーで石や土の色を活かした自然な装丁を提案し、パリではショー直前のカール・ラガーフェルドと次の印刷の打合せをする・・・シュタイデルの旅はクリエイティブな発見と驚き、そして普遍的な人とのつながりの大切さを教えてくれる。さぁ旅に出よう。

ゲルハルト・シュタイデル  本に魅せられた男

1950年ドイツのゲッティンゲン生まれ。1967年にデザイナー、出版者としてのキャリアをスタート。
1968年、ケルンで開催されたアンディ・ウォーホルの展覧会で、強烈な色使いに魅了され、その高い印刷技術への感動をウォーホルに直接伝える。
同年、地元のゲッティンゲンでシュタイデル社と印刷所を創設。芸術家のヨーゼフ・ボイス、クラウス・シュテークの版画やポスター制作を経て、1972年に初となるアートブック「Befragung der Documenta」を手掛ける。また1974年には政治に関する文書の制作も業務に加え、1980年代初めから文学と厳選されたアートや写真の作品集も増えていく。
1996年から、シュタイデル社はドイツ国外に向けて写真集の出版に特に力を入れる。書籍の編集から、ディレクション、レイアウト、印刷、製本、出版までを自社で行う「総合的」なアプローチは他社では見られない。文学作品では作家のギュンター・グラス、同じくノーベル賞受賞者であるアイスランドのハルドル・ラクスネス作品のほか、社会思想家オスカー・ネークトの著作など、英語とドイツ語の作品に力を入れている。
シュタイデル社の近年のクライアントは、一流の写真家や主要な美術館である。

 

「世界一美しい本を作る男 シュタイデルとの旅」
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